大竹省二監督、團伊玖磨作曲の“幻の音楽映画”を年末OA

2014/10/31 22:29 配信

映画

BSジャパン年末特番「シンフォニー・ジャパン~53年目の目覚め、そして新たな響き~(仮)」制作発表記者会見に登場した(左から)千住明氏、桐島ローランド氏、近衛はな

BSジャパンでは12月29日(月)に年末特番「シンフォニー・ジャパン 1961~2015」を放送することが決定した。制作発表記者会見が都内で行われ、出演する作曲家・千住明氏と写真家・桐島ローランド氏、ナビゲーターを務める近衛はなが登場した。

タイトルにもある「シンフォニー・ジャパン」とは、'61年にイタリアの国際テレビ映画祭で金賞を獲得した音楽映画。当時の外務省が、海外に日本を紹介する目的で製作された。写真家・大竹省二が監督を務め、高度経済成長期の日本の躍動する姿を切りとり、作曲・指揮を担当した團伊玖磨が映像に彩りを添えた。ほか、監修に市川崑、プロデューサーはイアン陸奥陽之助が務めるなど、当時の音楽界・映像界の気鋭たちの総力を結集した作品といえる。

「シンフォニー・ジャパン」は豪華スタッフ陣で作られた作品にもかかわらず、国内で一般公開されることなく忘れ去られてしまっていた。ところが、'13年に映画会社の倉庫でフイルムが発見され、ことしになって團の原譜も発見されたことから、デジタル処理により53年ぶりに復元された。

同番組では、この復元された“幻の映画”をテレビ初公開。合わせて千住氏と桐島氏によって製作された現代版「シンフォニー・ジャパン2015」もオンエアする。さらに、'61年版のスタッフ陣の友人や家族を訪れ、当時を振り返るインタビューも行う。

実際に「シンフォニー・ジャパン」を観賞した近衛は、「当時の大人たちの“本気”を感じた」と感動した様子。また、「この番組で生まれるものから、次の50年後の世代に“本気”が伝われば」とナビゲーターとしての意気込みを語った。

2015年版で音楽を担当する千住氏は、團の原譜を見て「手書きで、しかもペンで書かれている。言語もイタリア語に統一されていて、譜面(ふづら)がとても緻密で美しかった」と絶賛。「今回作る曲は、今の流行を反映し、皆さんにとっての“心のタイムカプセル”になればという思いで書いています。『シンフォニー・ジャパン』はこれから、家元のように継承されていく存在になるのでは」と目を輝かせた。

'61年版では発展を続ける日本の産業がメーンに描かれていたが、今回は「『伝統』がテーマ」と言う桐島。「東京だけでなく日本の姿を、きれい事だけでなく日本の愚かな一面も出したい。それと、産業や文化だけでなく自然も。本当は屋久島で撮りたかったんだけど、それには予算が(笑)」と会場を笑わせた。桐島の撮影は4Kカメラで行われる。