12月20日(土)に公開される映画「バンクーバーの朝日」で妻夫木聡演じるレジー笠原の妹・エミー役を熱演した高畑充希。彼女がインタビューで演技に対する心構えや撮影当時のエピソード、そして同映画のスピンオフ・ムービー「メモリーズ・オブ・バンクーバーの朝日」の舞台裏を語ってくれた。
――映画公開と同日に日本映画専門チャンネルで放送される短編の撮影には、どのような気持ちで臨まれたのでしょうか?
短編については、監督からせりふが一言だけある、ということくらいしか知らされていなかったので、どういうストーリーなのか全くわからず「バンクーバー朝日」のメンバーの誰かに焦点を当てたスピンオフ・ムービーなのかと勝手に思っていましたが、本編とは全然違うファンタジックな内容で、せりふも「この街に続く、永い夜を終わらせてくれるの」とかなり重要なものでした。「撮影には気楽に来ていいよ」と監督に言われていたので、本当に気楽に来てしまったのですが、やっぱりしゃんとしなきゃと思いました(笑)。
――エミーという人物について、固まったイメージはあったのでしょうか?
撮影時はあまり意識していませんでした。こういう人だからこういう風に演じよう、というのはなく、目の前の人との関係性や場の雰囲気をしっかりと理解するということを意識していました。エミーはせりふが無くても登場しているシーンが多く、せりふで説明のない部分にも感情の動きや葛藤といったものがあり、そういう表現をする役は今まで演じたことが無かったので難しかったです。せりふに頼ってはいけないんだなと感じたのは初めてです。言葉ではないところでエミーらしさを出せればなと、悩みながら演じていました。
――本編では英語のせりふを喋る場面もありましたが、難しかったのでしょうか?
発音のレッスンは苦痛ではありませんでした。英語は全然喋れませんが(笑)。英語の先生に、音楽の経験があるからか耳で音を覚えるのが上手いと言われてうれしくなってしまって。とはいえ英語圏の方の発音には全く及ばないので、撮影の合間に外国人俳優の方々とお話をさせて頂いて、会話の内容は正確には分からないけれど何となく答えてみる、ということをしてみたり(笑)。英語のせりふの発音の仕方を聞いたりもしました。
――本編で好きなシーンは?
チーム「バンクーバー朝日」が試合に勝ったときに、観客に向かって一礼するシーンが好きです。私はエミーとして客席でその場面を見ているのですが、その時のライトだったり天候だったり、情景の全てが素敵で、実際に映像になったときもチームのみんなの、状況についていけていない戸惑いと照れくささが混じった、一見不機嫌そうなその表情がすごく良かったです。ちょっとマニアックなシーンですけど(笑)。
――以前から石井裕也監督のファンだそうですが、一緒に撮影をしてみた感想は?
一緒にお仕事ができる機会があるなんて、夢のまた夢という感じで想像すらしていませんでした。監督自身がスタッフや出演者の誰より集中力が高く、細かいところも全部見ている方ですので、頭からつま先まで全てを見られているという感じです。実際には見ていなかったのかもしれませんが(笑)。緊張感あふれる撮影現場でしたが、それでもとても楽しかったです。監督の作品は、大げさな演出ではなく、何気ないふとしたことでも大きく心を動かされる、というところが魅力です。
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