NHK総合ほかで放送中の大河ドラマ「花燃ゆ」のセット見学会が同局内のスタジオで行われた。
岡島太郎専任チーフディレクターはセットの見どころについて「そこにいる人物に思いを巡らせてどんな空間であるべきかを考えるようにしています。杉家は萩に現存しておりますので、おおまかな形は今セットにあるようなこんな感じだと思いますが、そのままという訳ではなく、中に暮らす人物がどのように動いてどのように生活しているのかをまずメーンに考えていった結果、こういう形になっていきました。離れは、萩の杉家にはなくて、調査の時に見た昔の平面図に離れの上の方が残っているんですね。そこからこんなような建物があったんではないかと想像して作りました。多分瓦だとは思うんですけど、茅葺きで離れを付け足してみました」と話した。
杉家のセットについては「光がたくさん入ってきて誰がそこにいても見える一つのステージにならないかなというのがありまして、本当はこの向かいに松下村塾があって、向こうにいる人たち、この中にいる人たちを一つの世界の中に見せることができないかなっていうところでたくさん窓を開けています。台所の方向からも居間からもお父さんたちの部屋からも四方が見える。2階に行くと全部が見える。そして外から来る人からも見える構造にできないだろうかと。やはり文が招く人たちを見て、皆が見えるところに、皆からも見えるようにという表現にならないかなというところから穴をたくさん開けました」と空間を大事にし、人が見えるセットにしたことを明かした。
杉家の前にある畑のセットについても「畑仕事に精を出していたということで、あまりお金がある家でもなかったようですし、土があれば畑にしていたんじゃないかということで、家の前にも畑を作っています。本が好きな父・百合之助のために畑仕事をしていても本が読めるように本を立てる台も考えてみました。梅の木は、季節に関係なく枯れているような感じで出しています。幹や枝ぶりが血液のような感じもするし、シルエットだと、書道の墨のようにも見えるし、生きて空に登っていくような感じもするし。枯れていても夏になると葉っぱを付け足してみたり、半分枯れていて半分生きていたりと、一本の木でもいろいろな表現をしているんですけど、新旧という表現にならないかなと。幕末ですし、古いものがだんだん新しいものに変わる。だけど幹自体は脈絡と時間に関係なく続いている。葉っぱが生えているところは、これから新しい時代を担っていく若者たち、そして古いものが同居できないかというところから考えました。杉家だけでなく、番組全体の象徴として表現できないかなという思いで、枯れている木と生きている木を一緒にしました」とこだわり抜いた思いを語った。
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