“今はちょっと切ないです”松方弘樹の映画への思い

2015/02/27 10:51 配信

映画

魅力あふれる松方弘樹のスター性は健在©東映チャンネル©東映

東映にゆかりのある人物が登場して貴重なエピソードを披露するトーク番組が、CS放送の東映チャンネルで3月からスタートする。第1回のゲストは松方弘樹。デビュー時の思い出や出演作品の裏話を熱く語った。

松方は意外にも歌手になる予定だったという。「子どものころは父親(近衛十四郎)を見ていて、俳優さんってあんまりもうからない職業だと思っていました(笑)。当時は歌手になりたくて上京したんです。東映の社長に会う機会があり、18歳でレコード会社から歌手デビューする前に、17歳で東映からデビューすることになったんです。俳優になるなんて考えていなかったので本当にあわてました(笑)」とデビュー秘話を明かした。

菅原文太とも「仁義なき戦い」で共演。「最初の頃はライバル心を燃やしていましたが、共演するうちに意気投合して、非常に共感も持ちました。僕は同シリーズ3作に出させていただきましたが、毎回死んで毎回違う役で出演しているんです。普通の主役だったら『松方ばっかり出ていておかしいじゃないか』って言いますよ。菅原文太のすごいところは『弘樹ならいいじゃないか』って言ってくれた度量の大きさ。そして平然と使ってくれた深作欣二監督もすごいなって思っています」と彼らへの尊敬心を語った。

「北陸代理戦争」では何げないシーンにも役者としての熱意が垣間見られる。「意識して体をゆすったり、足の組み方もいろいろ考えたり、演じたモデルにもお会いしてこういう癖があるなっていう特徴をつかんで役柄に反映させていました」。

そんな勉強熱心な姿勢はそのキャリアの中で培われたという。「当時の映画会社は自前のスターを育てようっていう思いがまだあって、各部署にプロフェッショナルがいたんです。時代劇などはそのスタイルや立ち回りなど伝統が受け継がれていて、僕らはそういう伝統を受け継ごうと必死にやってきました。いい勉強をさせてもらいましたし、楽しかったですね」と目を輝かせる。一方で「その喜びが大きい分、現状の映画界のことを思うと物足りなさを感じています」と憂える一面も。

番組ではほかにも大川橋蔵、鶴田浩二、高倉健らそうそうたる先輩との秘話や俳優としての転機など興味津々なエピソードを織り交ぜて“松方弘樹ヒストリー”が楽しく語られていく。東映チャンネルでは父親と共演した「柳生武芸帳 独眼一刀流」やデビュー作の「十七才の逆襲 暴力をぶっ潰せ」なども放送。新作Vシネマも楽しみな松方のレジェンドは続く。