バスケットボールの最高峰・NBAのオールスターゲームが、日本時間の2月16日(月)に開催される。第64回となる今回の舞台は、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン。放送に先駆けて、WOWOWの“NBAファミリー”としてNBA中継に出演している金子ノブアキを直撃。オールスターゲームの注目選手と、シーズン後半戦からプレーオフにかけての見どころを語ってもらった。
――金子さんが応援しているゴールデンステイト・ウォリアーズからは、2選手の出場が決定していますね。
こんなに人気が出ると思ってなかったんで、ステファン・カリーにびっくりしてるんですけど(笑)。オールスターファン投票でレブロン・ジェイムスをまくりましたからね、最後に。2年前まで出ていなかったですから、ここまでチームを背負うとはね。打って良し、パスして良しなんで、華があるし。本当に天才肌のプレーヤーですね。お父さんもデル・カリーっていう有名な選手で、子供のときからずっとコートにいたっていうんですよね。クレイ・トンプソンも半端ないんでね、最近。びっくりした、1クォーターだけで37得点って。1本も外してないんですよ!3ポイントも9/9で全部決めて。あの試合でトンプソンも値打ちがさらに上がって、名実ともに本当の二枚看板になったかな。ウォリアーズからオールスターに2人選出されるっていうのが、クリス・マリン(※1)とティム・ハーダウェイ(※2)っていう'90年代前半の選手以来なんですよ。
――そのころといえばマイケル・ジョーダンとシカゴ・ブルズの時代ですが、ウォリアーズのファンだったんですか?
僕はそのころ小学生で、そのころからウォリアーズファンなんです。マイケル・ジョーダンが凄過ぎたんで、天邪鬼で(笑)。ブルズが2連覇の時期だったんですよ、リアルタイムで見始めて2~3年目とかで、ひいきのチームを見つけようと思って。ウォリアーズはラン&ガンスタイルで、当時から超オフェンシブで、ディフェンスはザルだったんですけど(笑)。クリス・ウェバー(※3)やラトレル・スプリーウェル(※4)も入ってきて、さらに派手になったんだけど、空中分解を派手にしまして(笑)。そんな苦い過去があって、そこから復権まで20年掛かりましたね。でも、ここまで超Aクラスのチームになるとは思ってなかったんで、ファンが一番驚いてると思います。
――他のチームで注目している出場選手はいますか?
ジミー・バトラーかな。ブルズにとっては大きなことですよね、デリック・ローズが落選して、バトラーが出場するっていうのは。これからのチーム作りに影響してくるんじゃないですかね。ブルズにとってはとても好材料だし、層が厚いっていうことだから。ジョアキム・ノアもいるしね。パウ・ガソルの加入で、ノアは居場所がなくなり気味で精彩を欠いてはいるんですけど、シックスマンになるって自分で言ってるらしくて。ふて腐れてるわけじゃなくて、ちゃんとポジションを回すためにも、ガソルが先発するなら自分が控えに回るってことだと思うんですけど。そういうところも含めて超ブルーカラーで、ノアはすげぇ好きなんで、オールスターに出てほしかったですね。
――イースタンだと、クリーブランド・キャバリアーズからはレブロン・ジェイムスとカイリー・アービングが出場しますね。
まぁ、ケビン・ラブはいませんけど。僕もラブにはがっかりなんでね、ことしは!ディフェンス全くやらないで、キックアウトパス待って3ポイント打つだけだからさ。レブロンも役員待遇でキャバリアーズに入れたのに、赤っ恥ですよね。強豪に来てディフェンスしないんじゃ意味ないんで。また弱いチームでスタッツだけ残す感じで、『決めれば?』って感じですよね(笑)。そのぐらい冷ややかな視線を送ってます(笑)。ティモフェイ・モズコフは入って良かったんで、ああいう選手がもう一枚いた方が、絶対に勝ち星は増えますよね。ニックスからやって来たJR・スミスもいい感じですよね。(メーンキャスターの長澤)壮太郎さんも言ってたけど、トライアングルオフェンスから解放されて伸び伸びやってますよね(笑)。『分かんない!』って出てきちゃったみたいな(笑)。
――ニューヨーク・ニックスから出場するのはカーメロ・アンソニーだけですね。
カーメロは、オールスターに出るのが今季最後の楽しみでしょうね。カーメロが得点王を獲った2年前までは良かったんだけど。俺見に行ったんですよ、ニューヨークに。ジェイソン・キッドがまだいて、JR・スミスがシックスマン賞を獲った年だったんで、超盛り上がってて楽しかったですね。今のニューヨークはお通夜だって言ってましたね。観客が頭から紙袋かぶっちゃって「見ない!」って。会場には来てるんだけど(笑)。それがニューヨーカーのいいところで、愛はあるから。来るけど「見ない!見たくない!」って、穴からのぞいて見てるんだけど(笑)。僕はやっぱりパトリック・ユーイング(※5)とかジョン・スタークス(※6)とかの時代がリアルタイムなんで。プレーオフでスタークスがジョーダンの上からダンクを決めた“ザ・ダンク”っていう超有名なプレーがあって、その写真とユニフォームがマディソン・スクエア・ガーデンに飾ってあるんですよ。その前でみんな写真撮るんですけど。まぁトンネルは長いでしょうね」
(金子ノブアキがNBAを語る!【中編】へと続く)
(※1)クリス・マリン/キャリアの大半をウォリアーズで過ごした名シューター。'84年のロサンゼルス五輪、'92年のバルセロナ五輪の金メダリスト
(※2)ティム・ハーダウェイ/ウォリアーズ、マイアミ・ヒートなどで活躍した超攻撃型ポイントガード。'00年のシドニー五輪の金メダリスト
(※3)クリス・ウェバー/リーグ屈指のパワーフォワードとして活躍。'93年にウォリアーズに入団し、同シーズンの新人賞を獲得した
(※4)ラトレル・スプリーウェル/'92年にウォリアーズに入団したシューティングガード。'94~'96年に3年連続でオールスターに選ばれた
(※5)パトリック・ユーイング/リーグ史上屈指のセンター。'96年にNBA50周年を記念した“50人の偉大な選手”に選ばれ、'08年に殿堂入り
(※6)ジョン・スタークス/ウォリアーズやニックスで活躍。激しいディフェンスが持ち味で、'96~'97シーズンにはシックスマン賞を受賞した
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