本より先に出会っていたら…?映画監督・角田光代誕生の可能性

2015/02/25 15:15 配信

芸能一般

映画を見ると“エンターテインメント”というものについて考えさせられると語った角田

CS放送のムービープラスで3月2日(月)に放送される番組「この映画が観たい」の収録が行われ、‘14年に自身の小説「紙の月」が映画化され話題になった作家・角田光代が取材に応じた。

「この映画が観たい」はさまざまな分野で活躍する著名人に“映画体験”とそれにまつわる人生のエピソードを語ってもらうムービープラスのオリジナル番組。

角田は自身の小説にも影響を与えたという「スラムドッグ$ミリオネア」(‘08年)や、本当は好きな作品である事を人に隠したいという「ピンク・フラミンゴ」(‘72年)などを挙げ、作家人生の出来事に絡めて映画への思いを語った。

「八日目の蝉」や「紙の月」など自身の著書が多く映画化されている角田は「自分が書いたものが映画になるのは純粋にうれしいし、お客さんとして楽しんで見ています。小説だと登場人物の心情をこと細かく説明せざるを得ないけれど、映画の場合はセリフではなく演出や役者さんの演技で表現することができますよね。監督の解釈によって哲学的なものになったり、自分とは違うイメージで描かれていたりすると、逆にすごく面白いなと思います。映画には映像でしか伝えられないものがあって、小説には文字でしか伝えられないものがある。その違いもまた、興味深いです」と述べた。

映画から自身の作風に影響を受けることもあるようで「『スラムドッグ$ミリオネア』はストーリーの伏線の使い方がうまいと感じましたね。すごく面白くて、こんな小説を書きたいと思わされました。まさにお手本のような映画です。私はプロットの段階で伏線を張るのが苦手だったので、この映画に出会ったことがきっかけで伏線を意識して書いた小説もあります。それがどの小説かは秘密です(笑)」と裏話も明かしてくれた。

幼いころから多くの本を読み、小学校一年生の時に先生から作文を褒められたことがきっかけで文章を書くことが面白いと感じた角田。すでに将来の夢は作家だったという。角田は「映画は、ちょっと特別なものだったんですよね。当時、映画が今と同じように身近な存在だったら映画にハマっていたかもしれない。でも私は、たまたま本に興味を持ったんです」と振り返る。

大学時代、教養のためにたくさんの映画を見たという角田だが、もし本よりも先に映画にハマっていたら、映画監督・角田光代が誕生していたのかもしれない。

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