「ゴッドタン THE MOVIE2」監督が“劇団ひとりの奇跡”を語る(前編)

2015/03/02 22:02 配信

バラエティー

「キス我慢選手権 THE MOVIE2」のワンシーン。伊藤英明がまさかの参戦!(C)2014「キス我慢選手権 THE MOVIE」製作委員会

'14年に公開された映画「ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE2 サイキック・ラブ」が、2月27日Blu-ray&DVDで発売された。

テレビ東京ほかで放送中の「ゴッドタン」は、劇団ひとりおぎやはぎがメーンを務める人気バラエティー。同番組の企画「キス我慢選手権」は、さまざまなシチュエーションに置かれた芸人たちが、美女からのキスの誘惑をアドリブ演技を駆使しながら我慢し続けるという、一部の男性にはたまらないコンセプトで人気を博し、ついには映画化。

第2作目で伊藤英明や福士誠治ら豪華俳優陣のゲスト出演も話題となった「ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE2 サイキック・ラブ」では、謎の人物に支配された高校が舞台。主人公・省吾役の劇団ひとりは、何も知らされないままに超能力や不条理な現象が飛び交うSFストーリーの世界に放り込まれ、ヒロイン・上原亜衣らセクシー女優のキスの誘惑を交わしながら、全編にわたって迫真のアドリブ演技を披露していく。

そこで今回はBlu-ray&DVDの発売を記念し、佐久間宣行監督にインタビュー。演出・プロデューサーとして「ゴッドタン」を作り上げた中心人物が語る「キス我慢選手権」企画の核心、そして映画化に懸けた思いを語ってもらった。

――「キス我慢選手権」はテレビの企画から始まった人気シリーズで、劇場化作品としても2作目を迎えました。まず企画が始まったきっかけを教えてください。

「企画の原点は『劇団ひとりが極限の状態まで追い込まれたら、どんなアドリブを出してくるか』を見たいから、という考えでした。今回、映画を撮ってみてあらためて思ったことでもあるんですが、劇団ひとりは本来“危険な人”なんですよね」

――テレビに出始めたころは、結構危ないネタも番組で披露していました。

「そう、今やゴールデンタイムで司会するし、出した本はベストセラーになるし、NHKさんの大河ドラマ(「花燃ゆ」伊藤利助役)にも出ちゃったじゃないですか。でも、彼本来の芸風は人を選ぶ、パンクなものですよ。僕はそのパンクな部分がすごく好きで、アドリブ劇の“キス我慢”ではそれが存分に出るし、番組では彼のパンクさをずっと出し続けたいと思っていて」

――具体的にどうやってパンクな部分を出させようと?

「オチに『僕が一番見たい劇団ひとりのアドリブ』を置いて、逆算してそうなるように個々の仕掛けを準備します。アドリブで格好つけるのでも、切ない格好良さが見たいとか、苦悩にあえぐ格好良さが見たいとか、ばかばかしい格好良さが見たいとか、いろいろ願望はあって、そのための準備をテレビでも映画でもやっているという感じです」

――映画はテレビでの企画と同じように、劇団ひとりさんのアドリブを別モニターでおぎやはぎさんやバナナマンさんが見ているという、映画としては珍しい視点になっています。例えば別モニターをなくして、第三者視点のないアドリブ劇にもできたように思いますが。

「そこは最初に悩んだんですよね。テレビの様式でそのままやるか、“映画”にするか…ただやっぱり“キス我慢”の原点はテレビバラエティー番組であるということなんですよね。だから、“バラエティーのパブリックビューイング”という感覚で、お金が取れるものにしようと。だから“映画ならでは”をやることばかりを考えないようにしようと思いました」

――今回のシチュエーションは、主要なキャラクターが超能力を使える学園もののSFになっていましたが、その理由は?

「それは単に、僕がとにかくSFが好きだからですね。『キス我慢選手権 THE MOVIE2』は、僕がこれまでワクワクして見てきたSF作品の要素を、一気に全部入れているみたいなもんです。でも、そうすると正統派のSFじゃなくなっていましたね。なんででしょうか」

――シチュエーション作りのために参考にした作品はありますか?

「たくさんあります。超能力ものの要素でいうと『クロニクル』('13年)だったり、ループものとしては『ミッション:8ミニッツ』('11年)が頭にあったりしました」

――ヒロインを演じた上原亜衣さんも、感情のない女子生徒というSFっぽいキャラクターでした。

「独特な雰囲気があるんですよね。笑顔の時でも、目の奥に憂いがあるというか。上原さんみたいなキャラクターは今までの“キス我慢”にいなかったし、今回の設定にも合うだろうと。あと、劇団ひとりが“燃える”タイプの子だなっていうのももちろんあって」

――ゲストとして伊藤英明さんもまさかの出演を果たしました。

「この映画もBlu-ray&DVDの発売まで来ましたけど、なんで出てくれたのかまだ分からないです(笑)。ただ、とにかく“ゴッドタン”のファンで。なぜか僕にも『ゴッドタン作ってる人だ! 握手してください!』って言ってきて、『(立場として)逆ですよ!』って返したりしてました」

――伊藤さんが近年の映画で見せている、勢いのある演技がこの作品でも全開でした。

「伊藤さんはファンだからこそ、『この企画は“マジ”でやる』ということが分かっているからこその演技ですよね。だから初めから照れも戸惑いもなくて…現場の独特な雰囲気には驚いてはいましたけど、本当にやりやすかったです」

【後編に続く】