「ゴッドタン THE MOVIE2」監督が“劇団ひとりの奇跡”を語る(後編)

2015/03/02 22:18 配信

バラエティー

「キス我慢選手権 THE MOVIE2」のワンシーン。ハプニングシーンでも劇団ひとりが持ち前のアドリブ力を見せる!(C)2014「キス我慢選手権 THE MOVIE」製作委員会

2月27日にBlu-ray&DVDが発売された劇場版「ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE2 サイキック・ラブ」。佐久間宣行監督に作品の裏話を聞く後編では、監督も想定外だった劇団ひとりの行動、そして劇団ひとりが起こした「奇跡」について語ってもらった。

――前編ではまさかのゲスト出演となった伊藤英明さんについてお話いただきましたが、ほかにも福士誠治さんや近藤芳正さんら実力のある俳優さんが続々と出演されていました。むしろお笑い芸人さんがあまり出演されていないですが、何か理由はあるんでしょうか。

「これは劇団ひとりの追い込み方の話ともつながるんですが、この企画に出てくる人は劇団ひとり以外、全て“フリ”なんですよ。個々の出演者さんたちの魅力を引き出した上で、それも劇団ひとりを追い込むためのフリである、という、とてもぜいたくな話ですけど。だからお笑い芸人さんも『目立たないことをガマンできない人』はだめで、それができるのはマキタスポーツさんや東京03さんとか、あとは本人も状況を知らないような、飛び道具的に入る人になるかなと。あと、お笑い芸人さんがたくさんいると劇団ひとりが安心するから追い込めないんですよね」

――なるほど。その中で番組の準レギュラーともいうべき東京03さんも、それぞれインパクトのある登場でしっかりと存在感を示されていました。

「飯塚(悟志)さんなんか熱海までロケさせておいて、最初からアンデッドモンスター扱いですからね。飯塚さんから『佐久間さん、俺死んでるけど、殺されるシーンがない、アンデッドになってる理由すらないよ…』って言われたことを思い出しました(笑)」

――アドリブ劇であるからこそ、佐久間監督の予想を裏切る展開もあったと思います。

「いや、もう中盤の終わりぐらいからはどんどん予想を外れ出しています。最後の方は、もう劇団ひとりの“外し方”が完全に僕の想像を超えて、一気に突っ走ったまま終わりました」

――劇団ひとりさんの“外し方”で一番驚いたことはなんでしたか?

「そもそも省吾のキャラクターが違うものになったんですよ。最初僕が考えていた省吾は、もっと弱々しい童貞だったんだけど、外れだしてからは虚勢を張って突っ走る怖いもの知らずの童貞になっていったんです。これから『キス我慢選手権 THE MOVIE2』を見る人も、キャラクターの変わりようを見ていると“劇団ひとりのスイッチが入った瞬間”が分かると思います」

――中盤からは省吾が突然ヒーロー化するなど、展開がめまぐるしいです。

「でもね、どんどん劇団ひとりが想像を超えてくるうちに、僕もモニターで見ていてハイになっているというか、完全にゾーンに入っちゃっているんですよ。それが頂点に達した時に“キス我慢”の根底を揺るがすことが起こるんですが、見た瞬間、何も考えずに『オイオイオイオイ!』って声に出して言っていました。もうそこからはその場で新しいプランを書き始めて、予定調和なものから完全に逸脱しましたね」

――完全アドリブになったんですね。

「そう、だから事前に用意しておいたどのオチにもなっていないんですよ。一個、ゾンビの大群が出てくる展開も用意していたんですけど、オチを変えたから全員出る幕がなくなっちゃって、みんなその姿のまま撮影終了して。それも豪華版のメーキングに入っていると思うので、ゾンビがみんなでトボトボ帰る姿を見てほしい気もします」

――Blu-ray&DVDが発売されるに当たり、今一度ご覧になってみていかがですか?

「手前みそになるかもしれないけど、本当に面白いと思います。それはやっぱり自分の想定を完全に超えた作品になっていたからで、中でもやっぱり劇団ひとりが現場の誰よりもパンクだった、劇団ひとり対他全員でも完全に劇団ひとりが勝ったっていうのが本当に奇跡みたいなもので。“ゴッドタン”チームの家訓めいたものとして、“オチを決めておいて、準備を一生懸命する。でも現場で面白くなれば、準備した通りにならなくていい”というのがあるんですよ。『キス我慢選手権 THE MOVIE2』もそれは達成されていると思います。その結果、劇団ひとりも作品自体も皆さんの想像を超えるものに間違いなくなっているので、ぜひ見てほしいですね」

通常版と同時発売される豪華版(※Loppi・HMV限定販売)には、撮り下ろし企画や未公開シーン集などが収録された特典ディスクを封入。また3月3日(火)には、DVDレンタルがスタートする。