「マッサン」堀井新太が一馬の思いを語る

2015/03/04 14:50 配信

ドラマ

「マッサン」で一馬を演じる堀井新太(C)NHK

NHK総合ほかで放送中の連続テレビ小説「マッサン」で、風間杜夫演じる森野熊虎の息子・一馬を演じる堀井新太にインタビューを行った。堀井は政春(玉山鉄二)とエリー(シャーロット・ケイト・フォックス)の一人娘・エマ(優希美青)と思い合っていながら出征するという難しい役どころを熱演。撮影現場での共演者とのエピソードや、「マッサン」の見どころについてうかがった。

――今回の一馬という役を演じてみて、どのようなことを感じましたか?

役を通して、いろいろ勉強させていただきました。16週目の一馬はすごく「…」のせりふで表現することが多いんです。熊虎を殴ったときも、こうまでしてもう一回家族として再生してやっていきたいと思っている、親父に愛されたいと思っているし愛したいと思っているとか、いろんな感情が知ることができて、本当に勉強になりました。また、一馬は義理堅く、お世話になったことを自分が返していこうとする男なので、お芝居じゃなくて本当の感情を共感することができましたね。

――主演のシャーロットさんと玉山さんとの共演はいかがでしたか?

シャーロットさんの演技は、全てが本物のような気がして、そこにエリーさんがいるんじゃないかという初めての感覚に陥りました。自分が包み込まれて、その世界でまるで芝居していないような感覚になったのは初めてです。お芝居だけど、本心であり続けているような人でした。マッサン役の玉山さんは、すごく引っ張ってくれる人でした。お芝居をこうした方がいいとアドバイスをいただいたりとか、飲みに連れていっていただいたりとか、すごく優しい方でしたね。

――玉山さんからは、どんなアドバイスをいただきましたか?

一度失敗して、監督から怒られてしまったときがあったんです。そのとき、玉山さんから誘っていただいて「いろいろあるだろうけど、失敗してもいいんだ。みんな失敗するし、いい画撮るんだったら、自分の思うことを思い切りチャレンジした方がいい」って言っていただきました。そういうこと言ってくれる人はなかなかいないんです。そういうところに愛を感じましたし、こういう人になりたいって思いました。

――父親役・風間杜夫さんとのエピソードなどはありますか?

初めて飲みに連れて行っていただいたときに、「おまえ、一生役者やっていけよ。おれは今後この作品以外にもお前の作品見てやるからな」と言われたときには、風間さんが父親でよかったなって思いました。そのとき突然「おまえは来年消える!」って言われたんです(笑)。でもそのあと、「でもな、おれがこう言ったやつは、来年ブレークするんだよ」って。これまで風間さんに「消える」と言われた人は、ブレークされたそうです。そんなとてもありがたい言葉をいただきました(笑)。

――出征のシーンを演じた感想を教えてください。

とても難しかったですね。戦争に行った人の本当の気持ちは分からないので。その場にいる人たちとの関係を大事にして撮影に臨んだんですけど、やっていてとても悲しい気持ちになりました。もしかしたら当時の人は「よしやってやるぞ」って気持ちだったかもしれません。でも、僕は大事な家族やみんなと離れるのが寂しかった。それだけではなく、死んでしまうかもしれないという恐怖の気持ちもあるし、いろんな感情が入り混じった難しいシーンでした。

――優希さん演じるエマとのシーンはいかがでしたか?

最後、エマと別れるシーンがあるんですが、一馬はエマよりずっと年上だし、妹として見てきたからこそ悲しませたくないという気持ちがあったんです。一馬がエマに精一杯気持ちを伝えるシーンになっていて、一馬の気持ちの本質を知ることができる部分だと思います。本来、こっそり好きって気持ちを言うこともできるし、生きて帰ってくるってことも言えるのに、それを言わないのはすごく律儀ですよね。この森野家で、熊虎という親父の背中を見てこういう子が育ったんだなって思えるシーンだと思います。

――今回、「マッサン」を演じてみて感じたことを教えてください。

マッサン」が自分のターニングポイントになったと思います。クランクアップの際、尋常じゃくらいに自分の感情が高まって、泣いてしまったんです。この作品で、そうそうたる皆さんと一緒にやることができて、自分のこれからの役者人生の中の一つの武器になるものを身に着けることができたと思いました。皆さん、現場での姿勢とか、人として本当に素晴らしい方々なんです。見習って今後に生かして行こうと思いました。

――最後に、視聴者の皆さんに一言お願いします。

一生懸命やりました。見ている方がどう思うかは分からないので怖いという思いもあります。一生懸命やったけど、それが受け入れられるかはどうかは分からないですし。でも最終的には皆さんの心に、この一馬の思いが届けばいいなって思います。

関連番組