個性的な悪役俳優として活躍してきた八名信夫。CS放送の東映チャンネルでは、オリジナル番組「シネマ☆チョップ!」や「ピンスポ!」で八名のインタビューを放送する。
プロ野球「東映フライヤーズ」の投手として入団したものの、けがで選手生命を断たれて俳優に転身した八名。演技経験が無く、岡山弁のなまりもあり最初は苦労の連続だったという。
「ある時、先輩の悪役俳優の撮影を見ているうちに悪役だったら、ちょっとは画面に映るなと思って。僕が主役にやられて倒れたら迫力出ますよって監督に進言したんです」と悪役になったきっかけを披露。
鶴田浩二、高倉健、深作欣二監督ら名だたる映画人と仕事をしてきた。「飢餓海峡」では内田吐夢監督から多くのことを学んだとか。「同郷(岡山)ということもありかわいがられましたが、だいぶしぼられもしました。『お前にはチンピラの“におい”が無い。時間をやるからできるまで何回でもやってみろ』と」。その甲斐あって同映画でのチンピラのいやらしさがにじみ出ている“金の勘定の仕方”などのシーンは必見だ。
悪役の魅力は、どういう生まれでどういう育ち方をしたのかを考え、自分で役を作り上げていく面白さがあるところだという。「僕は洋画が好きでね。リチャード・ウィドマークとかジャン・ギャバンとか彼らのまねをしてたんです。だからボルサリーノの帽子がトレードマークになっています」と悪役のイメージの原点を打ち明けた。また、悪役を演じるうえで気を付けていることは目の使い方。「目を細くして、だんだんぐーっと開いていくんです。この何秒間にすごく不気味さが出るんです」と実演してみせてくれた。
「悪役の下手な映画は面白くない。自分は意外と三枚目なんだけど撮影所に入ってメークするうちに『主役とは話さんぞ、殺すぞあいつを』って気持ちを入れていきます。最初から(主役に)殺されに行っちゃ駄目なんです。殺しに行くんです。今の若い俳優たちは最初から殺されに行く。あれが違うんです。怖さを出さなきゃ。拳銃を持っても簡単に撃つんじゃなくて震えて弾が出なかったりとか、そういう芝居が画面の中に出てこないと」と現状を憤る。
八名にとって悪役とは「主役をいかにかっこよく見せるか、その中で自分をどうやって生かすかが勝負だね。悪の華を咲かさないとつまらないわけですよ。夢は主役をぶった切りたい!夢の夢ですよ(笑)」と信条を語った。
東映チャンネルでは八名の出演作品を放送。数々のやくざ映画や名作に登場して強烈な印象を残し、何と着ぐるみ姿で悪役を演じた「秘密戦隊ゴレンジャー」など八名の悪役七変化は見逃せない。
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