(松江&山下両監督が語る「東京都北区赤羽」【前編】より続く)
――では、ご自身が思われる「山田孝之の東京都北区赤羽」の良さとは?
山下:今まで僕は劇映画で、設計図があって、しっかり作るということをやってきたんですよね。でも松江くんはそこに被写体があってカメラがあるから撮るっていう、ドキュメンタリーの人。
今回、松江くんに助けを求めたことで、フィクションとドキュメンタリーがせめぎ合っているような、今までになかなか無い、互いの間隔を融合したものになったんですよね。そこが「山田孝之の記録」といえるところだと思います。
松江:山田孝之が赤羽にいるということが、十分大きな物語になってるんですよ。だからタイトルにも「山田孝之の」って付くし、山田くんの視点は常にカメラが説明できているから、洗濯しているだけでも面白い。
でも見ている人は「何だこれ?」ってモヤモヤする。そのモヤモヤはうれしいモヤモヤなんですよね。見たことないものを見せることがね。だってそれこそ、このメーンビジュアルの写真、山田くんの隣のおじさん誰? って普通は思うじゃないですか。だってこの人番組に出てこないんですよ!(笑)。それなのにメーンビジュアルで。
でも見ている人の中にそんなことを聞いてくる人は誰もいない。それはそういう世界観だからっていうことを理解しているからですよね。理詰めでこうだから、こういう風に面白いっていうことではないと思うんですよね。
でもそんな、一見不思議なことができたのは、山田くんだからこそって思います。
――最後にDVD&Blu-rayの見どころを教えてください。
山下:俺は「TOKYO NORTH SIDE」MV完全版!! 震えましたね(笑)。これ、CD発売されないけど、カラオケにあったらMV見ながらフルで歌いたいね。カラオケボックスクオリティーとしては最高なので(笑)。初めて聞いた時、吉井(和哉)さんの新曲かな? って思いましたもんね(笑)。でも、よくよく聞いてみるとふざけてるし、これは何だろうなあって思って(笑)。
松江:意味がありそうで意味が無いよね。赤羽の話自体もそうだからね。山下くんも各話見るたびに「この回、何も意味ないねー!」って言ってたもんね(笑)。
山下:ひたすら0×0×0っていうかね(笑)。
松江:でも僕はそこがいい! 映画と違って、番組は放送している期間、見ている人がどんな風に変わっていくのか、その生活込みのものだから。たとえば、この番組を見て、赤羽に行って、おさい銭を入れてみるとか。時間がすごく独特な流れ方をするなと。
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