「大器晩成」で話題の中島卓偉が新作を語る<後編>

2015/04/07 18:00 配信

音楽

4月18日(土)より全国5か所で中島卓偉が音楽監督を務めるイベント「MUSIC FESTA」が開催。渡瀬マキ、LoVendoЯほかアップフロント所属アーティストが出演する

※「『大器晩成』で話題の中島卓偉が新作を語る<前編>」に引き続き、4月8日(水)に通算15枚目のオリジナルアルバム『煉瓦の家』をリリースする中島卓偉に話を聞いた。

――全15曲の中にはストーリー性が面白い曲もあれば、“中島卓偉”の生き様を感じる曲もありますね。中島卓偉ってどんな人?って思った方は、最後の3曲「煉瓦の家」「東京タワー」「PUNKY SIXTEEN BOY」を聴けば…。

そう、最後に自伝的な3曲が続く流れにしたかったんです。実を言うと、結局、何が人の心に届くかっていうことは一生分からなくていいと思ってるんですよ。売れるために、とか、人の心に届くためにって書くのはもちろんなんですけど。自分の人生の中で起きたことって、忘れてしまうことの方が多いし、起きたことだけど自分の中で消化されていないことっていっぱいあると思うんです。日記こそ書かないけれど、自分はそういうことを書きとめておくシンガーであってもいいのかなと。プライベートを一切出さない歌詞を書く人と、むき出しに書いていく人に分かれるとすれば、自分は書いていく男でありたいなって、自然にそういう流れになってきましたね。

――まさに最後の「PUNKY SIXTEEN BOY」は、福岡から上京して新聞配達をしながら夢を見て…というご自身の16歳当時のことが描かれていますね。自分とは違う人生を歌っているのに不思議に感情移入する、というかぐっと引き込まれます。

僕も洋楽のコンサートを見に行った時に、歌詞の意味を知った上で聴いてぐっとくるのは、不思議と大衆に向けて作った歌より、その人の個人的な感情が表れている歌だったんですよね。“俺の人生に置き換えているわけでもないのに、なんでこんなに感動するんだろう?”って。この何年かで、そういう自問自答があったことも影響していると思います。

――アルバムタイトルにもなっている「煉瓦の家」はどういうイメージから?

タイトルは、さっき語った英語の歌詞が少なくなってきたところで日本語のタイトルにしたいと思って。レンガっていうのはブリティッシュの音楽が好きだから。子どものころから見ていた’60年代のバンドのレコードのジャケットには、レンガの街並みがよく写っていて、イギリスってレンガの街なのか…って憧れがあったんです。で、いざ行ったら、本当にレンガばっかりだった。だから、レンガ=イギリスっていう自分のルーツのようなものを感じていて、いつかテーマ性のある作品でレンガを使いたいと思ってたんですよね。それで、昨年7月の「どんなことがあっても」、12月の「続けろ」の2枚のシングル、そしてこのアルバムまでの流れはレンガをテーマにしようって決めて。ジャケット写真やアーティスト写真、ミュージックビデオを撮りました。そんな中で「煉瓦の家」っていう歌詞が書けたんです。

――おとぎ話の「3匹の子豚」は関係ないんですか?

もちろん「3匹の子豚」の話も子どものころから好きなんです。ワンブロックずつ積み上げていくというのが人生に通じるというか、コンクリート一枚じゃないっていうところにものすごく惹かれます。人生の中で一つ一つ積み上げていく上で、時には崩されることもある。でも、崩されてもひびが入っても修復していくイギリスの建物とかも同じですよね。そういう考えで歌詞が書けないかなっていうところから生まれた歌詞なんです。

――デビューから15年、積み上げてきたわけですもんね。

そうですね。今後もそれが崩れていくことも、壊れていくこともあると思うし、どこまで積み上げるんだっていうことなんですけど。このアルバムを出したからってこれで積み上がったレンガの家が完成か?っていうとまた違うんです。そういう、途中経過というかいい意味で通過点になるようなアルバムですね。前作の『BEAT&LOSSE』が15周年のアルバムだとしたら、今作は16年目の入口になるような、2枚でVol.1とVol.2みたいな感覚です。最近、ハロプロのアイドルのファンの方にも街で声を掛けられたり手紙をもらうことも多くなってきて本当にうれしいなと感じています。ぜひ、アルバムを聴いていただいて、イベントや秋のツアーにも来ていただきたいなと思います。