CS映画専門チャンネルのムービープラスで5月4日(月)に放送される「この映画が観たい#21 ~松本零士のオールタイム・ベスト~」の収録が行われた。
同番組はさまざまな分野で活躍する著名人に、かけがえのない“映画体験”とそれにまつわる人生のエピソードを語ってもらうのがコンセプト。松本は、子供の頃から大好きだったという「キング・コング」(‘33年)や漫画を描く上で気合いを入れてもらったという「若草物語」(‘33年)などの作品を挙げ、漫画家人生での出来事に絡めて映画への思いを語った。
人生で初めて見た映画について松本は「5歳の頃に兵庫県・明石で観た白黒アニメーションの『くもとちゅうりっぷ』(‘43年)ですね。実は偶然、同じ日、同じ場所、同じスクリーンで手塚治虫さんもこの映画を見ていたのです。もちろん、当時はまさか手塚さんと一緒だったなんて知りませんでした。それどころか、こんなに近くにいるとも知らず、普段から手塚さんの漫画を読んでいましたから(笑)。でも私が18歳の頃に同人グループ『九州漫画研究会』で漫画を描いていた時、すでに人気漫画家だった手塚さんが九州に脱走してきて、我々の研究会に声が掛かりました。その後、手塚さんと映画の話をしていたら『くもとちゅうりっぷ』を同じ日に同じ場所で見ていたことが分かって。お互いにびっくりですよ!本当に不思議な出会いでしたね。そんなこんなで意気投合し、その後は手塚さんと一緒に仕事をするようになりました」と、手塚治虫と松本零士という漫画界のニ大巨匠の不思議な縁(えにし)について語った。
また、小学生時代に学校の行事で連れて行ってもらったという「若草物語」から影響を受けたシーンについて「小説家を志していた次女は、裕福だった家が破産すると分かった時に『私には小説がある』と言って明るく振る舞うんですね。当時の日本は終戦直後で、私の家は路上で青果店を営み、極貧生活をしていました。映画と同じような状況下にあった私は“オレには漫画がある。いつの日か見ておれ!”と気合いが入り、漫画を描き続けることができましたね」と感慨深そうに語った。
最後に、今後の活動について「最近は私の作品の実写化の話がよく来ます。そんな時、1つだけお願いしていることがあります。それは、女優は私に選ばせて欲しいということです(笑)」と笑いを誘った。
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