「遺留捜査」上川隆也が激白1『糸村は正直ですよね』

2015/05/16 08:00 配信

ドラマ

「遺留捜査」で主人公・糸村聡を演じる上川隆也

5月17日(日)に放送される上川隆也主演のドラマスペシャル「遺留捜査」(テレビ朝日系)。これまで連続ドラマとして3シーズン、SPドラマとして今回で4度目の放送となるが、4年にわたって主人公・糸村聡を演じてきた上川に独占インタビューを敢行。

糸村を演じる上で心掛けていることや、演技論、今回のゲスト・鈴木福との共演の感想、フレッシュマンへのエールなどを前編・後編にわたって語ってもらった。

――これでSPドラマでの放送も4度目になります。まずは今の心境をお願いします。

まずは今まで続いている事に感謝ですね。連続ドラマからSPドラマへと形態を変えましたが、形はどうあれ「遺留捜査」という作品をまたお届けできる事がありがたいです。

――シーズン1から取材させていただいた側からしても、ここまでロングランシリーズになるとは予想できませんでした(笑)。

そうですか(笑)。正直、真っ当な刑事ドラマとはかなり色合いが違うドラマですからね。もちろんその部分すらも面白いと思って糸村の役作りを含め、ドラマに関わってきましたが、それがこうして'11年の春から数えて4年もの月日を、一つの作品と過ごせるというのは役者としてもありがたいこと。一作一作「次はこんな物語です」と、台本を頂戴するたびに本当にありがたいなと思って演じています。

――復活するたびに「糸村がすっと目を覚ます」とおっしゃっていたと思いますが、これだけ長く向き合っていると糸村の性格に引っ張られたりはしないんですか?

それはありません。舞台で同じ役を長い期間を演じて過ごしていても、その役に引っ張られるということはないんですよ。役は役で割り切れると言いますか、演じることで役に成り代わることを楽しむ事が好きなんです。

役に引きずられるというより、例えば舞台なら1ステージごとに、ドラマならシーンごとに、役にポンと成り代わることが面白みになっています。ですから、シーンが終わればその瞬間から上川隆也という人間でいられるんですよ。

僕自身、糸村という男を客観視している部分もありますし、「遺留捜査」が作られるたびに糸村が自然と頭をもたげるというのも、自分との距離感があるからこその感覚だと思います。

――では客観的に見て糸村の最大の魅力はどこでしょうか?

「正直」ですよね。魅力と言えるかは分かりませんが(笑)。そのせいで周りとの連帯感や協調性というものには欠けてしまうのかもしれませんけど。プロデューサーが彼を「小学5年生みたい」と表現されていましたが、否定するわけではなく、小学生というより彼は“混じりけのない感性や正直さで物事に当たっていく男”と捉えています。

だから、上意下達の世界である警察組織の中ではちょっとズレてしまうのかもしれません。でも、彼が追い求める先に彼の視点でしか見つけられないものがあるのは、目の前の物事に対しての雑念がないからなのだろうなと思うんです。そう考えると、やはり糸村は正直な男でしょうね。

――シーズン2から月島が舞台になりましたが、あらためて上川さんが思う月島の魅力とは?

最初に月島が舞台に選ばれた理由は、犯罪率の低さだったと聞いています。一日の一番大きな事件が自転車の盗難など、大きな犯罪が起こらないからこそ、そこで巻き起こる事件が引き立つ。

当初から人と人とのつながり、人の情(じょう)を描く刑事ドラマだったわけですから、その特色が月島という土地でならより色濃く描けるんじゃないかという読みが理由だったのだと思います。

ただ、糸村が月島に異動してから事件が起こり過ぎてしまいまして(笑)、それで最近は月島じゃないところが主な舞台になっているんじゃないかなと僕は勝手に想像しています。月島ばかり事件が起こると月島のイメージにも関わるでしょうし。ドラマに憧れて住んでくださる方もいるでしょうに(笑)。

でも、月島中央署のメンバーの人の良さというか、温もりのあるチームワークがあるからこそ、こうやって糸村が好き勝手に行動できるのかなとも思っています。これも月日が育んでくれたものだと思いますね。

たとえ糸村が月島を離れていたとしても、彼らは糸村をフォローしてくれるだろうし、糸村も月島の面々も忘れているわけではないというリレーションシップは間違いなくある。だからこそ得られた環境だと思います。

――今回も後半には「遺留捜査」らしい月島中央署のメンバーでのシーンもありますよね。

そうですね。でもあれ半分はアドリブなんですよ(笑)。台本があるのは前半だけで、みんながあとは好き勝手言っているんです。そういうことがポンッとその場の流れでできるというのも、とてもいい関係性だなと思います。

――そして何と言っても今回の見どころは鈴木福くん。福くんと共演されてみて、どこがすごかったですか?

何一つ遠慮する必要がなく、一人の役者として見られる存在だったというのが、僕にとってはうれしい驚きでした。

これまでも彼の作品をテレビで何作も拝見していましたが、今作を通してここまでプロなんだなと目の当たりにすることができました。シーンの合間に気を遣う必要がないんですよ。

例えば「ラッスンゴレライ遊び」をシーンの合間にやったり、雑談したりしながら過ごしていましたが、ふと考えるとこれってかなりすごいことなんだなと思うんです。

彼がもし集中力を維持できないような相手だったり、もう少し繊細な存在だったりしたら、僕らはシーンの合間にはちょっかい出したりできませんから。

むしろお芝居の合間は距離を取って、お芝居に専念してあげて、いいものを作るという形をとらざるを得ないということもあり得る。でも、そんなことすら気にする必要がなく、いつ話し掛けても、いつ雑談をしかけても普通に会話ができる。そして本番が始まればすぐに役者として向き合える。

これがどれだけすごいことなのか…。一つ一つの瞬間が感心の連続で、そのピークがクライマックスシーンにどこよりも色濃く表れたということでしょうね。

10歳の少年に仕上がりという言葉を使うのもどうかと思うんですけど、そういう言葉すら使いたくなるような出来映えです。ですから共演していて楽しかったですし、また作品を変えてご一緒したいとも思います。次の福くんがどんな福くんなのかを期待してしまうのは役者として当たり前の気持ちなんだろうなと思わざるを得ないですよ。

【「遺留捜査」上川隆也が激白2へ続く。同記事は5月16日(土)昼0時ごろ掲載予定】