小泉孝太郎「大きな転機」 医療ミステリー主演に決定

WOWOWプライムで7月12日(日)より小泉孝太郎主演の連続ドラマW「死の臓器」がスタートする。

本ドラマの原作は、臓器移植をテーマに臓器売買の闇と現在の移植医療の倫理をリアルに描き、人命の在り方を問う麻野涼の社会派医療サスペンス。

“腎臓摘出済み”女性の遺体発見と、ある医師の臓器移植手術による“人体実験”容疑という二つの事件から「臓器売買」の存在が明るみになっていく。

人間の陰謀や愚かさ、生きることへの希望、大病院や製薬会社の暗躍を映し出し、現代医療の倫理を問う作品となっている。

小泉は、女性の遺体を発見したテレビ番組制作会社のディレクター・沼崎を演じる。“真実の報道”にこだわる誠実な性格だが、一方で報道の正義に翻弄(ほんろう)され苦悩する役どころ。

さらに医療倫理のはざまで葛藤する医師役の武田鉄矢や、豊原功補、小西真奈美ら重厚なドラマにふさわしいキャストが名を連ねる。

演出は公開中の映画「脳内ポイズンベリー」など話題作を手掛けてきた佐藤祐市と「世にも奇妙な物語」(フジ系)シリーズを担当する植田泰史に決定している。

佐藤は、医学界のタブーに切り込む本ドラマへのオファーについて「WOWOWの連続ドラマWはいつかやりたかったので、決まった時は正直大変うれしく思いました。でも、原作を読んで『難しい作品だ』と感じました。臓器売買はもちろん違法行為ですが、“レストア腎移植(※)”という存在を初めて知ったからです。

グレーゾーンに相当する事象をどうやってエンターテインメントとして構築するのか。これが最大の問題です。作品を創るというのはいつでも挑戦と思っていますが、今回はハードルが高い」と不安をのぞかせつつ「とても難しいテーマを扱うからこそできる新しいドラマになればすてきだなと。地上波の連ドラとも映画とも違う、5話のドラマをいろいろなことに挑んで創り上げて行きたいと思っています！」と意気込む。

また、佐藤は「小泉さん、武田さんなど以前仕事をご一緒したキャストと再び仕事ができるのはとてもうれしい。コミュニケーションが大変重要になる現場で、互いを知っているというのは意思疎通を図りやすいいという意味で優位。

しかし、知っている相手だからこそ以前の仕事よりも良い作品に仕上げなくては、せっかくの優位性を生かした事にはなりません。これも挑戦。キャストも、そういう挑戦を楽しみながら現場に臨んでくると思います。楽しみです！」とキャストへの期待を口にした。

小泉は「WOWOWのドラマは骨太で見応えあるドラマを作っているということは感じていたので、30代半ばという年齢から考えても、こういった社会派ドラマをやりたいと感じていました。ちょうどマネジャーとそんなことを話していた3日後に、このドラマ出演のお話がありうれしかったです。

あとあと振り返った際に、30半ばでの大きな転機となるような作品にしたいです。今回演じる沼崎という役は、最終的にこれが正しいだという答えを出す役ではないので、自分がこれは正しいと思う部分もあればそうでないと思う部分もある。その中で揺れ動く沼崎というところを一番表現したい」と出演に並々ならぬ思い入れがある様子。

初共演となる武田については「百戦錬磨の方で凄まじい存在感があるので、考え過ぎずに直観を大事にして、新人の挑戦者として自分の感覚や感性のまま演じたい」と明かす。

最後に小泉は視聴者へ「今回の作品は本当にヘビーなので、正しいのか悪いのか、全て撮影し終わらないと答えが出ないと思っています。もしかしたら撮影し終わっても答えが出ないかも。答えが出なくても、この『死の臓器』という全5話の中で、皆さんがどう向き合ったかという感想を楽しみにしています。

今の日本の医療の現状を考えると、サイコロを上から見るのか下から見るのかで数字が違うように、視聴者の皆さんと僕も同じ答えが出ないかもしれない難しい作品ですが、だからこそ、このドラマの中で僕も皆さんも一緒にこのテーマで向き合える時間を共有できたらなと思っています。自分も撮影が終わった時にどう感じるのか、自分がどう思うのかを楽しみにしたい」とメッセージを寄せた。

※レストア腎移植…がんに侵された腎臓を摘出し、がんの病巣を取り除いたのちに腎臓を修復し、その腎臓をレシピエントに移植する術式。

【ストーリー】テレビ番組の制作会社のディレクター・沼崎恭太(小泉)は、富士の樹海で女性の遺体を発見する。法医解剖で凍死と判断されたが、片方の腎臓が摘出されていることも判明。刑事の白井(豊原)は心に何か引っ掛かるものを感じる。

一方、療聖会日野病院では、日野誠一郎(武田)の患者が人工透析を受けながらも命の限界が近づいていた。患者の娘は、日野に自分の腎臓を母に移植するよう懇願するが。日野は頑として受け付けない。

そんな中、救愛記念病院にけがした男女が搬送されてくる。男女にあったそれぞれの手術痕から院長の大田勇(小木茂光)は、この男女の間で行われた腎臓移植を知る。そしてその腎臓が金で売買されたことを知り、警察に通報。

執刀した日野は警察に任意同行を求められる。そのニュースに触発された沼崎は、樹海で見つけた遺体と臓器売買の関係について継続取材を決意。やがて医療現場の闇に近づいていく。