WOWOWでは、6月8日(月)に「第69回トニー賞授賞式」を日本独占生中継する。
トニー賞は映画のアカデミー賞、音楽のグラミー賞に並ぶ、アメリカのエンターテインメント界で最高峰の権威を誇る、演劇、ミュージカルの賞。
該当期間中にニューヨーク・ブロードウェーの劇場で上演された公演作品が対象となり、渡辺謙主演の「王様と私」がミュージカル主演男優賞を筆頭に9部門にノミネートされていることが日本でも話題になっている。
また、毎年、豪華な顔触れの受賞者やゲストたちがステージ上で華麗なショーを展開し「授賞式自体がブロードウェーショー」として注目されている。
日本のスタジオでは、案内役に宮本亜門と八嶋智人、スペシャルサポーターに井上芳雄、ゲストに黒柳徹子、そして柚希礼音を迎え、授賞式の見どころや会場の熱気を伝えていく。
‘14年に続き、中継のスペシャルサポーターを務めるミュージカル俳優の井上が、授賞式を前に意気込みや注目ポイントを語った。
井上は「まずは、とにかく渡辺謙さん! 再演作品のノミネートという点でも興味があります。また、評価は高いがいまだ無冠のケリー・オハラ(『王様と私』でミュージカル主演女優賞ノミネート)が今度こそ受賞なるか、なども現地では話題です」と語る。
昨年に続いてサポーターに就任したことに「うれしいです。ことしは渡辺謙さんがミュージカル主演男優賞にノミネートされて、トニー賞を知らない人にも注目していただけると思います。海外の情報は知らないことも多いので、資料を読んだりCDを聞いたり準備をしています」と喜びを言葉にした。
渡辺のノミネートに「トニー賞はいわば演劇界のオリンピックですから、本当にすごいことです。アジア人がブロードウェーで演じることは、言葉の壁があったり大変と聞いています。遠い世界で行われていることだと思われていたのが『そうでもない、希望はある』と謙さんが可能性を見せてくれるでしょう! 一方で、自分も同業者ですから、『自分じゃないのが悔しい』という複雑な思いもありますけど(笑)。いつかは自分もノミネートという夢は捨てずにいますが、タイミングですかね」と包み隠さず思いを告白した。
また、授賞式の司会を務めるアラン・カミング、クリスティン・チェノウェスにも言及。「アランは映画『チョコレートドーナツ』('12米)などでご存じの方も多いと思います。受賞式で司会の2人が何のパフォーマンスをするのかを期待してます」。
日本の中継の宮本、八嶋については「亜門さんは、ブロードウェーミュージカルとなるとテンション高くなりますよね。八嶋さんは昨年の中継後に舞台の稽古に行かれましたが、トニー賞がいい刺激になったと言っていました」と明かす。
「ことしの当日は僕もミュージカル『エリザベート』の舞台稽古中。エネルギーをもらって刺激を受け、舞台に対するいい影響があるんじゃないかな。当日は『ブロードウェー、すげえ!』と打ちのめされたいです」と待ち遠しい様子。
言葉の端々に「日本ミュージカル界」への強い思いを感じさせる井上だが、今考える課題とは何か。
「日本はミュージカルとストレートプレー(舞台)が別ジャンルになって、壁があると感じます。例えばミュージカル『デスノート』に吉田鋼太郎さんが出演するのが話題になったりするのも、その表れですよね。アメリカでは軽々とミュージカルとストレートプレーの壁を飛び越えていて、謙さんもそう。分野外として可能性を断ち切るのではなく、乗り越えて挑戦していくことが大切だと思います」と分析。
課題を打開するため「昨年からあった思いですが、“日本のトニー賞”を作りたいです。賞は、演劇界を盛り上げる起爆材になるはず。選考基準の設定など難しい部分はありますが、演劇界全体で一丸となって目指していくことで結果的に俳優個人にもいい影響を及ぼすと信じています」と提言した。
トニー賞中継のお薦めの楽しみ方について「授賞式は、ノミネート作品をダイジェストで見せるパフォーマンスに注目してほしい。ブロードウェーや演劇に詳しくなくても、そこは番組内でたくさん解説していきます。できれば事前番組を見たり、ノミネート作品をチェックしたりして、自分の価値観を信じて、どの作品が受賞するか推理しながら見るのも楽しい。人が人に与える賞ですから、受賞スピーチにも、それぞれの人生が出ます。そんな人間ドラマを知るのもすごく面白いので、朝早い放送ですが、僕たちと一緒にリアルタイムで見ていただきたいです。朝8時集合で!(笑)」と呼び掛けた。
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