北海道の名もなき田舎町にある“便利屋”の日常を描くコメディードラマ「ドラマ24『不便な便利屋』」(テレビ東京系)。
いよいよクライマックスに突入した同作の脚本・監督を務める“ミスター”こと鈴井貴之監督に見どころを聞いた。
――物語も佳境に入り、とうとう最終回を迎えますが、物語が進むにつれて主人公・竹山純(岡田将生)の表情や心境の変化がうかがえます。
この話の構想を練っていた時から、主人公の成長物語を描こうということは決めていたんですよ。というのも、舞台となった北海道・赤平という町はもともと僕の生まれ故郷で、数年前に財政破綻の危機を迎えたんです。町の人達は給料をカットされたりして、湿っぽくなっているのかと思っていたら、すごく明るいんですよ。
そこで、彼らから「過ぎたことをくよくよ悩んでいてもしょうがない」ということを学びました。未来ではなく、今どうやっていくかという強さをね。この町の人々を投影させた物語を、主人公の成長を通して描けたらなあと思ったんですね。
――構想の時点から決まっていたんですね。
それでも、元はコメディーではなくヒューマンタッチな予定だったんです。プロデューサーと話しているうちに、もっとはっちゃけてみた方がいいのではないかと変わっていって。逆に、制約なく自由に作れる結果となって、楽しいものに仕上がりました。
――6月19日放送の第11話では、前代未聞のギネス世界記録を達成しました。
出演者、スタッフ、地元の人との隔たりが本当になかったんですよ。何をするにもNGがなくて、全て協力してくれました。ギネス世界記録に至っても、みんなでガチで挑みましたから(笑)。ドラマとドキュメンタリーの融合ができたし、いろんな人のおかげでできたものだから、最終話では、エンドロールも並列で監督が誰とかそういったことはなく50音順にしているんです。
――そんな主人公・純の成長物語は、松井(鈴木浩介)と梅本(遠藤憲一)の営む便利屋を手伝いながら、進んでいきますね。
「便利屋」は3人でセットなんですよ。僕がサッカー好きなこともあって、フォワードでゴールゲッターの純くん、守備にも徹する中盤のボランチ・松井、サイドバックのくせに上がり過ぎて、1人で息切れしてる梅本、といったようなね(笑)。
――赤青黄と3色に分かれた衣装も印象的です。
キャラクターを分かりやすく分ける意味もありますが、この3色ってシグナル(=信号)になっているでしょう。
まず梅本は赤。バツ3だし、止まれのイメージ。純くんは青で、とにかく思い立ったらどんどん進んでいく男ですよね。松井は左右をきちんと確認しながら、注意深くうかがっている人間、といった色合いで分けました。他にも3人の名字に、ある秘密が隠されているのですが…それは最終回で明かされます。
――最終回では、純はどんな成長を見せてくれるのでしょうか。
はじめは「何でこんなところに」とふてくされていた純くんが、町にとってどんなことができるのかと考え、ギネス世界記録にも挑戦して、見事やり遂げました。舞台となった名もなき町には、本当に何もないんです。
だけど、「何もない」という町にも、人がいて、そこには物語があるんですよね。見方を変えれば、不便だったり不自由だったりすることも、自分で考えたり、作ったり、時間を割いたりして、知らなかったことを知る機会になるんです。純くんはそういったことをこの町で学んで、その結果どんな道を選ぶのか。ぜひ最終回で彼の物語を見届けてください。
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