タランティーノ新作に参加!種田陽平の語る西部劇

2015/06/30 11:09 配信

芸能一般

『キル・ビル Vol.1』(’03)では、監督から「スタジオ内に現実の日本の再現ではなく、映画のために必要とする“日本”をつくってほしい」と頼まれたそうだ。

CS放送のムービープラスで7月6日(月)に放送される番組「この映画が観たい」の収録が行われ、昨年公開の『思い出のマーニー』の美術監督を手掛け、後に映画の世界を巨大空間アートで表現する体感型展覧会「思い出のマーニー×種田陽平展」が開催されたことでも話題になった美術監督・種田陽平が取材に応じた。

「この映画が観たい」はさまざまな分野で活躍する著名人に“映画体験”とそれにまつわる人生のエピソードを語ってもらうムービープラスのオリジナル番組。種田は、撮影に使われたアパートにプライベートで訪れるほどファンだという『ロング・グッドバイ』(´73年)や、若き日のロバート・デ・ニーロやメリル・ストリープらの演技が素晴らしいと絶賛する『ディア・ハンター』(´78 年)などの作品を挙げ、自身の人生の出来事に絡めて映画への思いを語った。

国内のみならず海外でも活躍する彼は、「キル・ビルVol.1」の美術監督を手掛けて以来親交の深いクエンティン・タランティーノ監督の最新西部劇『ザ・ヘイトフル・エイト(原題) / The Hateful Eight』(来年1 月にアメリカで公開予定)に美術監督として参加。もともと西部劇のセットを作ってみたかったという種田は「野外でセットを組むのは室内よりも大変なのです。作りが建築に近くなって自由度が少ないし、風でなぎ倒される可能性もある。実際に同作でも、標高3 千メートルの山の上に建てたセットは、雪が積もることによって完成しました」と野外に建てるセット作りの大変さを語った。

高い山に建てるセットを作るとき参考にしたのが、大好きで何度も観たという西部劇『ウエスタン』(‘68 年)。「この映画はイタリアとアメリカの合作、アメリカの西部に鉄路が到達する頃の物語で、監督はイタリア人だし、撮影はアメリカとスペインで行われ、セットのディテールにはイタリアのテイストが盛り込まれている。多様な視点によってできあがったこの映画には豊かで強靭な虚構があり、長く観続けられる映画になっている」と独自の映画観を繰り広げた。

また、この映画が大好きという種田のために、タランティーノ監督が自宅の試写室のスクリーンで上映会を開いてくれたそう。テレビ画面では繰り返し何度も観ていたが、その時初めてスクリーンで鑑賞し、とても感動したとか。その経験は心の中に鮮明に記憶され、改めて『ウエスタン』の素晴らしさに気がついたと、嬉しそうに語ってくれた。