7月11日(土)に放送される「SWITCHインタビュー 達人達(たち)」(NHK Eテレ)で、映画監督の園子温と漫画家・永井豪が対談する。
同名漫画を綾野剛主演で映画化した「新宿スワン」、小説を原作にした「リアル鬼ごっこ」、20代で書いた脚本を半世紀ぶりに映画化した「ラブ&ピース」など、ことしだけで4本の映画が公開される園。来年はなんと6本を手掛けるという、今もっとも多忙な映画監督。
「紀子の食卓」('06年)で吉高由里子、「愛のむきだし」('09年)で満島ひかりを女優として開眼させ、「ヒミズ」('12年)では当時まだ無名だった二階堂ふみと染谷将太に、ベネチア映画祭の最優秀新人俳優賞をもたらすなど、その演出手腕には定評がある。
そんな奇才が「ふがいない子供時代、こんな自分でも生きていていいんだと思わせてくれた人」とリスペクトしてやまないのが、漫画家・永井豪。
永井といえば、「デビルマン」(講談社)、「マジンガーZ」(集英社)、「キューティーハニー」(秋田書店)などで一世を風靡(ふうび)。一時は週刊漫画雑誌5誌同時という前代未聞の連載もこなしていた。「デビルマン」の新作をはじめ、69歳の現在も3本の連載を抱えるバリバリの現役だ。
園は、そんな永井の仕事場に潜入。ヌードのペン入れや、「ハレンチ学園」(集英社)などの原画を目撃した園は感慨深げ。「先生が描く女性がいつのまにか理想像に(なった)。同じような人を無意識に探している」と打ち明ける。
園はその後も、「このコマ覚えてる!」「このカット割りはまるでヌーベルバーグ」と興奮を隠せない様子。対して永井は、「『デビルマン』のような作品を描いていると、自分のインナースペースにどこまでも下りて行かざるを得ず、思いもよらないものが出てきて苦しい」など創作の舞台裏を打ち明ける。
後半は、園のアトリエへ。園は「やばい、俺のところ何も見せるものがない。今から沢尻エリカ呼ぶか」と軽口をたたくが、実は、前夜は緊張のあまり明け方まで沢尻と飲んでいたという。
園が描き殴った絵があふれる空間で、園は「(監督業は)生きている女優相手の仕事なので、花に水をやり続けるように『愛しているよ』『君の裸は美しいよ』と毎日言わなくてはいけない」と演出の苦労を明かす。
さらに、愛犬家殺人事件をモチーフに人間の狂気を描いた出世作「冷たい熱帯魚」('10年)は、「やりたくなかった企画」「園子温らしい、なんて言われると心外」と告白は続く。「まだ自分の映画を作れていない気がする」「仕事は質より量」と映画への尽きない情熱を語る園。売れっ子監督の心の内は、ファンならずとも興味深い。
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