世界中のファンを熱狂させるプロスポーツ界において、その頂点で活躍し続けるスタープレーヤーたち。彼らの姿を追ったドキュメンタリーが、WOWOWライブで7月5日(日)に放送される。バスケットボールからはNBAで5度の優勝経験を持つコービー・ブライアントと、'13-'14シーズンのMVPに輝いたケビン・デュラントが登場。第一線で戦い続けることの厳しさや、彼らの激動の半生に迫る。
今回、トヨタ自動車アルバルク東京に所属するバスケットボールプレーヤー・伊藤大司選手に、NBAのトッププレーヤーであるケビン・デュラントの魅力について語ってもらった。ケビン・デュラントとは、モントローズ・クリスチャン高校で共にプレーしていた伊藤選手。ベールに包まれているスター選手の意外な素顔と、本当の兄弟のように過ごした高校生活を明かしてくれた。
――ケビン・デュラントとは、最初からチームメイトとして出会ったんですか?
「最初の出会いは対戦でしたね。僕は4年制の高校に通っていたんですけど、2年生のときです。ケビンがワシントンDCの高校にいたときですね。その時も細くて、190cmちょっとしかなくて、そこまで凄い選手じゃなかったんですよ。それからケビンは、カーメロ・アンソニーやレイジョン・ロンドを輩出した名門高校のオークヒル・アカデミーに行って、そこですごい名前が売れて、夏にキャンプで一緒になったんです」
――そのキャンプはどういったものだったんですか?
「NBAが主催するキャンプで、選ばれて招待された人が集まるんです。それこそステファン・カリーもいたし、ブランドン・ジェニングスやケビン・ラブ、タイ・ローソンもいましたね。現在のNBAや海外で活躍しているトップ選手たちが集まっていました。その時にケビンとルームメイトになって挨拶したら、『俺来年から同じ高校行くから』って言われて、『えっ!?』って(笑)。だからケビンにとっては3つ目の高校で、4年生のときにチームメイトになったんです」
――対戦相手、キャンプでのルームメイト、チームメイトと関係が変わっていったんですね。そのころのケビン・デュラントにどんな印象を抱いていましたか?
「最初会ったときは、すごい人見知りでした(笑)。でも時間たったらめちゃめちゃ喋るようになって、そしてコートで見るとすごい奴だ!って。190cmちょっとのときもシュートはよく入っていて、普通のシューティングガードだったんですけど、それが10cm以上伸びて2mいくつになって、その身長でドリブルできてシュートが入るってなると、脅威ですよね。アメリカ全体でもすごい注目されて、ランキングを付けるサイトで、'06年に卒業する高校生の1位がグレッグ・オデン、2位がケビンになったり」
――コート以外でも一緒に過ごすことは多かったんですか?
「休みのときは一緒に映画行ったり、ケビンに『俺の友達がタイシのこと良いって言ってたんだけど紹介してあげよっか』とか言われてダブルデートしたり(笑)。あと、彼の家が高校から遠くて、僕のホームステイ先が高校から歩いて10分だったので、シーズン中は練習終わったら夜遅くなったりするし、シーズン中はほぼ家に泊まっていましたね。1カ月に1回実家に帰るか帰らないかくらいで、ずっと一緒にいました。でも僕の部屋にベッドは1つしかないので、薄いマットレス持ってきて、僕がベッドで寝て、ケビンが下で寝て」
――まさに兄弟のように過ごしていたんですね。
「学年が一緒でクラスも一緒だったから、宿題やテスト勉強もするんですけど、ケビンはすぐふざけるんですよ。だから全然勉強進まなくって。同じ宿題を『一緒のペースでやろう』って始めると、携帯いじりだして、僕がけっこう進むと、横目で見て写し始めるんです。そういう意味でも、勉強の面では面倒見てあげました(笑)」
――伊藤選手から日本の文化を教えてあげることなどはあったんですか?
「海外生活が長くなると日本食が恋しくなりますよね。炊飯器を買ってお米を炊いたり、でもそんなに自分じゃ買えないから、せめて醤油とテリヤキソースなんかを冷蔵庫に入れていたんです。あとは時々親からチャーハンの素を送ってもらったり。そしたらケビンも気になったみたいで、『ちょっとくれ』って一緒に白米とか食べたりすると、テリヤキソースをご飯にかけたり(笑)。僕が『チャーハン作ってあげるよ』って食べさせたら、『これうまい!』ってなって。しばらくしたら『俺もチャーハン作る』って言い出して、棚からチャーハンの素を出して、フライパンでチャーハン作って『どうだ!』って(笑)」
――伊藤選手の影響で日本の食べ物にハマっていったんですね。
「中でもケビンはトンカツが一番好きでしたね(笑)。僕は月一回、自分へのご褒美で日本食のレストランに行っていたんです。高いけど、月一回だけってことで。その時一緒に行くと、ケビンが『何がおいしい?』って聞いてきて、僕はいつもトンカツを食べてたんで『これ食べてみな』って薦めたら、『うまっ!』ってなって(笑)。それからレストランに行くと、毎回トンカツ定食を食べて、『トンカツ!トンカツ!』ってトンカツソースをめちゃくちゃかけるんですよ (笑)」
――コート上のストイックなデュラントからは想像できない姿ですね。
「子供のときはとことん子供で、ランチの時も、すぐ人にブドウの種とか投げたりして。バスケのチームメイトで一緒に昼食を食べていて、隣のテーブルに知らん顔しながらポイポイ投げるんですよ、延々と(笑)。それが関係ない人に当たったりして、女の子が『バスケ部のテーブルから飛んできた』って先生に報告して、コーチの耳にも入って。コーチが『今日は練習しない。犯人が名乗り出るまで走り続けろ』と怒るんです」
――そんなイタズラ好きな面があったとは(笑)。
「それで何回も何回も走らされて、さすがに疲れて『ケビンそろそろ言えよ!』って(笑)。でもケビンは言わなくて、みんなケビンに切れてるんですよ(笑)。ずっと走らされて、もう走りたくないから『もういいや…俺ってことにしよう』って思ったら、さすがにケビンが『コーチ、アイムソーリー』って告白したんです。コーチも分かってたんでしょうけど、ケビンを試してたんでしょうね(笑)」
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)