かもめんたるは7月15日(水)、DVD「かもめんたる単独LIVE『抜旗根生 -ある兄弟の物語-』」をリリースする。
「抜旗根生―」は、彼らの16回目の単独ライブを映像化したもの。8本のコントが小さなサーカス団を舞台としたストーリーの中で演じられ、構成には人気劇団・ヨーロッパ企画の上田誠が担当するなど、演劇色の強い作品となっている。
そこで今回はかもめんたるの岩崎う大と槙尾ユウスケに「抜旗根生―」への思い、そして「キングオブコント2013」で優勝したこときっかけにブレイクし、現在に至るまでに見つけたという“新しい方向性”や”テレビとの付き合い方”について聞いた。
――今回DVD化されるライブ「抜旗根生―」で、新たに取り組んでみたことはありましたか?
岩崎う大(以下、岩崎):今回でいうと、コントを組み立てる時にその場のノリを重視する回数を増やしてみました。
槙尾ユウスケ(以下、槙尾):いつもはひとつひとつの行動をじっくり考えて作ってるからね。
岩崎:僕はかもめんたるでは即興的なものをやるコンビじゃないと思ってたんです。でも、少し心変わりがあって。
――ファンにとっては、新たなかもめんたるさんを見る感覚ですね。
岩崎:そうですね。オヤジギャグを連発するネタ(「オヤジミーツオヤジ」)は、まさにノリ重視で作ったネタでした。でもお客さんからはけっこういい評価を受けて、意外な気もしましたね。
――劇団・ヨーロッパ企画の上田誠さんが構成として参加された理由は?
岩崎:ずっとブレーンを入れたいなとは思ってたんですよ。ただ、僕らがこれから向かっていく方向性と合致した人を捜している中で、上田さんはまさに適任者でした。
槙尾:なるほどね。僕は今理由を知ったよ。
――ははは。「僕らがこれから向かっていく方向性」とはなんでしょうか?
岩崎:もう一度お芝居を重視していくというか、演劇的な方向に活動を広げていきたいと考えているんです。だからこそ今回は、ライブ全体をひとつのストーリー仕立てにしたり。
槙尾:上田さん、ライブに来てくださってね。最悪な男とクズな女の「地獄の元カレ」っていうコントが好きだって言ってました。クズっぷりが良いと。あとバルーンアートのコント(「バルーンアーティスト・ペルの受難」)も。
――「キングオブコント2013」で演じられていた路上アーティストのコントに近い、「きれい事を言っている人も実はクズ」というコントでした。
岩崎:同じ系統のものですよね。僕が演じているバルーンアーティストのペルに不満を持つ男が、ペルの作るバルーンアートを実際にどんどん割っていくっていう。あれは良かったです。効果音とかで表現するよりは、よりペルを否定している感じが出るんですよ。
――ペルは子供の前ではいい人であろうとするのに、バルーンアートを割って妨害するんですよね。
槙尾:子供の前でバルーンアートを割ってやろうとは普通考えないですよね。多分岩崎は、普段からああいうことをやってみたいと思ってるんでしょうね(笑)。
岩崎:いやいや(笑)。あれは、普通じゃない“モンスター”同士がやりやってるだけなんですよ。作り方はいろいろ工夫し始めてますけど、「モンスター同士の対決」という笑いの根元の部分はずっと変っていなくて。
――最近では「劇団かもめんたる」を結成されたりと、まさに先ほどの「お芝居重視」という方向性に進まれています。
岩崎:そうですね。だから今回のDVDは「とりあえず今の時点は、俺たちはこういうことをやっていくんだ」ということを示していると思います。
――今後、テレビにはどう関わっていきたいですか?
岩崎:テレビに出させてもらうようになって、僕ら器用じゃないなあってすごく自覚したんですよ。求められていることをやるっていうのが得意でないというか、そういう性分じゃなかった。
槙尾:だから今、自分たちの得意なことを伸ばすほうがいいってなってるんだろうね。
岩崎:そうだね。でも得意なことだけで食べていこうとするには、その領域を極端に掘っていかなくちゃいけないし、それもテレビで大活躍することと同じぐらい難しいと思うんですよ。でも、まずはそっちで行くしかないかなあ。
槙尾:今回、ネタ番組のスタッフさんも来てくれたんですけど、「これ、一個も流せるもんないなあ」って言ってたしね。
岩崎:やっぱりキングオブコントで優勝して、かもめんたるを気にしてくれる人は格段に増えたし、状況は前より確実に良くなってるんですよ。だからテレビに感謝する意味でも、こういうお笑いも極端に掘っていけばなんとか食えるもんだよ、っていう先例を見せていければと思っています。
槙尾:テレビに出たいっていうのは変わりないからね。
岩崎:うん、出たい。
槙尾:バラエティーでなくても例えばドラマとか映画とかなら合ってくるんじゃないかなって思っているので、これからも積極的に出ていきたいですね。
――最近、お二人がかつて所属されていた「WAGE」のメンバーがここ数年、さまざまな分野で頭角を現していると思います。小島よしおさんを筆頭に、脚本家の森ハヤシさんや歌ネタ王になった手賀沼ジュンさんたちの活躍も刺激になっていますか?
岩崎:刺激というより、みんなのがんばりは励みになってますよね。森さんとはドラマとかで仕事できたらうれしいし、手賀沼ジュンもそうだし、小島とは今も一緒にポッドキャストをやってますけど…テレビでは芸風が違いすぎて難しそうですね(笑)。
槙尾:新しい方向に向かっていくことで俺らもいろんな結果が出るだろうし、もしかしたら一周回って、バラエティー番組のMCになってみんなを呼ぶかもしれない(笑)。その予告編としても、ぜひDVDを見てほしいですね。
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