又吉直樹“先生”「恥をかいてもいいので書きます」

2015/07/17 00:23 配信

芸能一般

7月16日、第153回芥川龍之介賞・直木三十五賞の受賞者記念会見が行われた。会見終了後、デビュー小説「火花」で芥川賞に輝いた又吉直樹が囲み取材に応じた。

■又吉直樹 囲み取材一問一答

――(敬愛する)太宰治の墓に今度行った時、何を伝えますか?

「いつも勝手なことを言ってすみません」という気持ちでお墓参りしています。あまり自分のことは報告する予定はないんですけど、お墓参りには行きたいと思います。

――芸人と作家を兼業しての受賞でしたが、報われたという感じですか?

報われないなともそんなに思わない。しんどいのは当たり前。しんどいぐらいの方がいいかなと思ってるんで。でも本当にうれしい。

――どこで受賞の知らせを聞きましたか?

ホテルの店でマネジャーと編集と一緒に。とにかく待ってましたね、ドキドキしながら「どうなんかなー」と言いながら。すごい緊張感でした。

――連絡はご自身の電話に?

ケータイの画面を、誰からかかってきたか分からんよう見えへんように裏返しにしてました。担当編集からだと落選したということらしいので、画面を見えないようにして電話に出てみて受賞したかどうか知ろうと。受賞したって聞いた時は手が震えましたね。

――電話ではどう伝えられたのですか?

「おめでとうございます」ということだったんで、「あっ、ありがとうございます」と。

――受賞を聞いた瞬間の気持ちは?

びっくりして、手が震えて。震えんようにせなと。

――受賞の前後で心身ともは変化はありましたか?

選考委員の先生方にあいさつさせていただいて、「おめでとう」という言葉と厳しい言葉もあったんですけど、本気で読んでいただいたんだなということに感動しました。

(受賞して数時間たって)ちょっとまだ状況が分かってへん。ふわふわしてる感じですね。

――芥川賞作家と呼ばれることにプレッシャーは?

喜びはむちゃくちゃあります。僕がもし明るい人間やったら「フー」とか言うてるんでしょうけど、あいにくこんな感じなので。

――少し目が赤いように見受けられます。

若干さっき乾杯を上(のフロア)で。緊張して、口つける程度のはずが2杯ぐらいいってもうたという。

――今回の受賞作家3人の中で、一番テレビ慣れしてるはずの又吉さんが一番緊張しているように見えました。

普段出ているテレビとは違いますし、ちゃんとせなっていうのが苦手で。だから芸人になりました。

――ご家族や相方の綾部(祐二)さんにどんな言葉を伝えたのですか?

母親には「受賞したよ。ありがとう」とメールしました。まだ返事は来てません。父親は寝ていると思うので、明日連絡するつもりです。

綾部はこの前財布を落として2万円貸したんですけど、お金入ったまま財布が返ってきたのに、「あの2万は返さんでいいよね」というメールが来ました。

――賞金100万円ですね。何に使いますか?

せっかくなんで貯金するよりは使ったほうがいいと思うんで、ご飯でも食べましょうかね。食べたことない料理、行ったことない国の料理とかを食べましょうか。

――誰と行くのですか?

後輩2人と住んでるんで。パンサーの向井(慧)とジューシーズの児玉(智洋)とでしょうね。

――綾部さんは?

綾部は好き嫌い激しいんで、食うたことないものは食わないと思う。

――(選考委員の)山田詠美さんは「『火花』は人生体験の元手がかかっている」と評していました。

小説なんで物語なんですけど、自分が知ってる感情だったりとか知ってる風景なんで、そう言ってもらえるのはうれしい。

――選考委員に厳しいことも言われたとおっしゃってましたが。

それは僕にとって励みなので。次回作で、声をかけてくださった先生の評価を覆すような作品を書いてほしいと言われたので、「頑張ります」と。

――芥川賞の歴史がことしでちょうど80年になります。その新しい歴史の場所に又吉さんがいらっしゃることについての思いをお聞かせください。

ボクの好きな作家が受賞されている芥川賞。そこに自分が候補に入れていただいただけで驚いていたんですが、まだ実感はない。

――芸人仲間にどう祝ってほしいですか?

綾部は最近「コンビ格差」とか自分で言ってるけど、はっきりと「時計を買ってくれ」って二人っきりのときに言われました。

――又吉さんにとって「小説を書く」ということとは?

漫才やコントをやることと同じで、自分がやりたいこと人を楽しませることができる。いい循環になります。途中に苦しいこともあるんですけど、ボクは楽しんでやっています。

――映画化の話も出るかもしれません。どんな人に演じてほしいですか。

思い入れが強い作品なので、(映画化)されるとしたら空気感を反映されたらいいなと思います。けど、誰にお願いしたいとかは、なかなか難しそう。

――受賞後第一作はいつごろになりそうですか?

どれぐらいの時期か分かりませんが、恥をかいてもいいので必ず書こうと思っています。

――又吉先生…響きはどうですか?

ちゃんと受け取ることはできないですよね。先生から一番程遠い人だと思うので。

――1回目の投票でトップでした。

読んでいただけたことがすごくうれしい。いたらない部分ももちろんあって、その指摘も今後していただけるでしょう。それを生かして越えていけるものを作りたい。

――今の気持ちを最後に一言。

めっちゃうれしいです。

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