二階堂和美の2年ぶりとなる新曲「伝える花」が、7月15日にリリースされた。この曲は、ことし終戦70年を迎えるに当たってRCC中国放送が展開する“被爆70年プロジェクト「未来へ」”のテーマソングとしても使用されている。
今回のリリースに際して、二階堂本人へのインタビューを実施。前編に続く後編では、シングルと同時にリリースされた作品などについても話を聞いた。
――今回、'11年に発売されたアルバム『にじみ』のアナログLPも合わせてリリースされますが、あらためてこのタイミングでリリースすることになったきっかけを教えてください
(リリースレーベルの)P-VINEさんが、CD購入特典としてLPをプレゼントするというキャンペーンを行うことになって、そこに私の曲も入れていただくことになったんです。それで、どの曲を提供するかという話になった時、『にじみ』のアナログを「出す出すって言ってたけど、もうその予定もないんだったらそこから選んでもいいんじゃないか?」と若干嫌味っぽく言っていたら、「出しましょう!」となりました(笑)。
もともとアナログの話は当初から出てはいたんですが、作品のボリュームが(あり過ぎて)LP1枚に収まりきらない長さだったので、ちょっと二の足を踏んでいたというか。でも私は、そうしてタイミングを逃しても、格好悪いようでも追い掛けてやり直すっていうのを、何においてもしたいなと思っていて。そういう「手遅れ」というのをあんまり認めたくないんです。
あとは、レコードで聴くということ自体が好きなんです。今は“配信”とかMP3とかで聴く形が主流になっているかと思うんですが、私の音楽の聴き方は依然として家のステレオで、もの(=レコードやCD)をかけて聴くという形で。特にレコードであれば、(盤面が)片面ずつに分かれているので、流している面が終わったら静寂が来て、それをまた能動的に入れ替えてっていう、この行為が好きなんです。なので、これからもレコードっていうものを作れたらいいなと思っています。
――今回のアナログLPで、CD版に追加された要素があるそうですが、その辺りについてもお聞かせください。
このアルバムを'11年にCDでリリースした際のツアーの最終日に初披露した曲なのですが、全国20カ所以上でライブさせてもらって感じた思いを1曲に込めたものでした。ただ、それを発表するタイミングが無かったんです。次のアルバムに入れるのも何か違うなと思ったので、遅れて出すことになったのを幸いに(笑)、ここしかないなという形で、今回アナログ盤のボーナストラックに入れました。
でも録音したのは今年で、ちょうど「伝える花」と同時進行でした。アルバムと同じメンバーで演奏していますが、この4年間の、バンドとしての成熟度みたいなものも乗せられたような気がします。
――ツアーの中で生まれた楽曲ということもあり、アルバムの内容ともリンクしたものになっているのでしょうか?
曲タイトルを『にじみ』としてしまったくらいですから(笑)。このアルバムが発表され、それを聴いてくださった方がライブに足を運んでくださったのが、'11年という、皆さんがいろんな心の揺れを感じられた時だったと思うんです。
東北にも行かせてもらいましたし、自分自身もそれを全力で受け止めた中で、「いろんな悲しみや迷いのようなものを、希望につなげたい」という、アルバムの総集編となる1曲のつもりで震災以降最初に作ったのが、この『にじみ』という曲なんです。
片や“いのちの記憶”という、映画「かぐや姫の物語」のために作らせていただいた曲も、『にじみ』というアルバムから、さらに抽出したような1曲なので、全部つながっているんです。先ほど(前編掲載)も言いましたが、「終わっていく命を生きている」ということで、(アルバムから今回のシングルまで)大きく見ればテーマはいつもそこにありますね。それは同時に、仏教徒でもある自分が常に持っているテーマでもあるんです。
――最後に、楽曲を聞かれる方にメッセージをお願いします。
「伝える花」は、今の安保法制のことなどを意識して書いた曲でもあって、武力を備えることを進めていっても、本当の平和は訪れないという思いを歌っています。いろんな見方があると思いますが、音楽を通じて平和の在り方を考えるきっかけにしていただけたらいいなって思っています。
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