10月10日(土)夜10時からスタートするドラマ「破裂」(NHK総合)の取材会が都内で行われ、出演する椎名桔平、滝藤賢一、仲代達矢が出席した。
「破裂」は、現役医師でもある作家・久坂部羊原作の医療サスペンス。
「医者は三人殺して一人前」という哲学を持つ冷徹な外科医・香村(椎名)が、心臓を若返らせる“夢の治療法”を開発したところから物語はスタート。そこへ、心臓を病み、最後にもう1本だけ映画を撮りたいと願う国民的名優・倉木(仲代)がやってくる。実は、香村は倉木の隠し子。実父に暗い感情を抱いていた香村だが、自分の体を実験台にしろという倉木の言葉に折れ、治療を引き受ける。
しかし、あとになって治療法には副作用があることがわかる。心機能が劇的に回復する代わり、やがて心臓破裂を起こしてしまうのだ。それを知った国民生活省の官僚・佐久間(滝藤)は、治療法を使えば“老人が長い間苦しまずに死ねる”ことに目を付け、超高齢化社会を解消するための“プロジェクト天寿”を計画。治療法を乗っ取ろうと佐久間に近づく。
取材会に登場した椎名は、「医療について勉強する中で、『手術の成否は手術前にどれだけ準備ができるかで決まる』という名医の言葉を見つけました。スタッフの皆さんの“準備”を肌で感じて、それがドラマの真実味や密度を限りなく高めてくれていると思っています。また、それに対して自分がどう応えられるかを考えてきました」とアピール。
一方、椎名と知力を尽くした戦いを演じる滝藤は、「医療について“こんなことを描いていいのか”という作品になっています。僕は『医者はばかだ』とかめちゃくちゃを言っているので、病院に行ったときに医者に診てもらえないんじゃないか」と戦々恐々。
しかし、「NHKだからこそできるような核心に迫った作品で、やるのが怖い部分もありますが、やるからには責任を持って伝えたい」と椎名に負けず劣らずの意気込みを見せていた。
また、仲代は「“国民的名優”と言われるとすごく照れくさい」とはにかみながらも、「僕は、ある意味で“体制に抵抗する”という映画や演劇をずっとやってきたし、そういう“戦う精神”のある作品が好き。その意味で今作は『こんなドラマってあったかな』と感じられる非常に辛口な作品で、そこらのあまっちょろいドラマとは違うと思っています」と作品に自信を見せた。
ちなみにこのドラマ、原作が発表されたのは'04年。製作統括を務める勝田夏子CPには作品に深い思い入れがあるという。
「その当時、原作を読んで企画を出したのですが、通りませんでした。『老人にピンピン生きてポックリ死んでもらいましょう』という佐久間のせりふが、“(放送に)流せるわけがない”と却下されたためです。しかし、10年の時の流れがあって、高齢化が誰の目にも明らかになり、“終活”という言葉によって、老いや死について語るのが昔ほどタブ―ではなくなった結果、今回の企画が通ったと考えています」と語る。
原作にはない香村と被験者・倉木の親子関係などアレンジを加え、佐久間を含めた3人を主軸にした濃密なドラマに生まれ変わらせた今作。10月クール、世間を騒がせる“問題作”になりそうだ。
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