『罪の余白』主演の内野聖陽「女性はみんな悪魔です(笑)」

2015/08/21 18:00 配信

映画

絶望のあまり暴走していく行動心理学者の父親を演じる内野聖陽©2015「罪の余白」フィルムパートナーズ

野生時代フロンティア文学賞を受賞した芦沢央のサスペンス小説「罪の余白」が映画化され、2015年10月3日に公開される。本作は、娘を亡くした行動心理学者の父親と命を弄ぶ邪悪な女子高生の対決という、究極の心理サスペンス。父親役を演じるのは、舞台・映画と幅広い分野で活躍する内野聖陽。失意に暮れながらも復讐(ふくしゅう)を誓い暴走する父親を迫真の演技で好演した。そんな本作を演じる上での心境を、主演の内野が語った。

――初めて台本を読んだ感想をお聞かせください。

「娘を失った父が、いじめの張本人かもしれない“スーパー女子高生”と戦うという設定と、自分が心理学者なのに、娘の心理状態すら何も分かっていなかったところに惹かれましたね。原作も読ませていただいたのですけど、パワーがあるというかぐいぐい引き込まれる本で。これはぜひ参加させていただきたいと思いました」

――緊迫感のあるシーンが多いですが、撮影現場はどういった雰囲気でしたか。

「クランクイン前に毎日リハーサルがあって、毎日女子高生と過ごしてました(笑)。(吉本)実憂ちゃんとは対峙する空気感が大事だと思っていたので、なるべく好かれないようにしてましたよ。16歳の若い子たちから触発されるものが結構あって。みんなとても一生懸命で全身全霊でぶつかってくるから、『おっさん負けてらんないな』と思う瞬間が多々ありました(笑)」

――スクールカースト頂点に君臨する狡猾で残忍な悪魔のような少女、「咲」を演じる吉本実憂さんとは、共演されていかがでしたか?

「非常に強い意志を持つ女の子という印象でした。自分の夢に向かってブレてないってご自身もおっしゃってたので、そこは咲と被るなと。演じていて、咲は自分の娘を殺したかもしれない対象なのに、すごく色っぽくて惹かれそうになる瞬間がありましたね。ふと純粋無垢な16歳の少女がいると知ってしまうシーンがあって。人って勝手にレッテルを貼ってるだけで、実は相手のことを分かっていないことってありますよね」

――内野さんの周りには、咲みたいな悪魔のような女性はいますか?

「女性はみんな悪魔じゃないですか(笑)男からすると女性はみんな悪魔だと思いますけど(笑)」

――この作品をどんな人にどんな風に観ていただきたいですか?

「お子さんがいらっしゃる親御さんとか高校生とか皆さんに観て欲しいですね。スクールカーストって言葉があるけど、ガキ大将はいつの時代もいるわけで、成績優秀、スポーツ万能、先生にも受けがいい、でも邪悪なところがある人って、今も昔も変わらず普遍的にいる。どんな世代の方も身近に感じとれる話なので。子供って大人以上に閉鎖的で人間関係がドロドロした世界で生きているから、逃げられないところってありますもんね。その究極が(娘役の)加奈だったりするし、学校という世界の恐さはありますね」

――本作の見どころはどういったところですか?

「今回は、気が弱くてお酒の力を借りないと何も出来ないような、今までにない繊細なキャラを演じていて、女子高生に上位に立たれてしまう父親のふがいなさも含めて世のお父さんも身につまされる作品になっています。親近感のわく男なので、ぜひ感情移入して楽しんでいただければと思います。父親が少女に追い詰められていくという、大人と子供の対決ってあんまりないじゃないですか。スリリングに物語が展開していくので、その楽しさをぜひ劇場でみてほしいですね」

――舞台でも活躍され、8月にCS放送の映画・チャンネルNECOで放送されているゲキ×シネ『メタルマクベス』で主演を演じられた際は、王になる野望を持って国王を殺すという役柄でしたが、今後の野望はありますか?

「くせのある変な男をどんどん演じて、楽しめるエンターテインメント作品に関わっていきたいです」

――これから演じてみたい役はありますか?

「実際の自分に近くない役の方が演じやすいですね。前に人がやった役はあまり興味がないので、映画ではクレイジーな人を見るのが好きだし、クレイジーな役にチャレンジしていきたいです」