ついにベスト4が出そろった「第97回全国高等学校野球選手権大会」。早稲田実業(西東京)、関東一(東東京)、東海大相模(神奈川)、そして仙台育英(宮城)と、東日本勢のみの4強という珍しい展開だが、いずれも前評判が高かった高校が勝ち残った。
■第97回全国高等学校選手権大会 準決勝組み合わせ
第一試合「仙台育英(宮城)×早稲田実業(西東京)」
第二試合「東海大相模(神奈川)×関東一(東東京)」
■ベスト4のクリーンアップの共通点とは?
戦前より大きな注目を集める“超高校級1年生”清宮幸太郎がうわさに違わぬ大活躍で連日マスコミをにぎわせ、所属する早稲田実業の試合は毎回高視聴率を記録するなど、清宮フィーバーは過熱する一方。
初戦から全試合ヒット、準々決勝とその前の2試合連続ホームランを放つなど、相手チームからしつこくインコース攻めをされても見事に対応してきた。準決勝でも持ち前のヘッドスピードの速さで一発の期待が懸かる。
そして清宮同様に大きな話題を集めているのが、関東一の外野手・オコエ瑠偉だ。初戦の富山・高岡商業戦の第1打席では、ファーストへの強いゴロを一塁手が弾いたところを、グングン加速して二塁打にし、甲子園で見ていたファンのド肝を抜いた。
その日は他に三塁打を2本放つなど、自慢の快足をいかんなく発揮した。彼のすごさは足の速さだけでなく、準々決勝の沖縄・興南戦での決勝2ランホームランなど、パンチ力や強肩も魅力。まさしく走・攻・守の三拍子そろった名選手で、今秋のドラフト上位指名が期待される。
その他、東海大相模の151キロ左腕・小笠原慎之介投手に、仙台育英の本格派右腕・佐藤世那投手というドラフト候補を加え、話題性豊かな彼らは準決勝でも期待大なのだが、変わった見方として今回のベスト4、全てのチームがクリーンアップ(3番、4番、5番打者)に遊撃手(=ショート)がいる。
さらに言えば、早稲田実業を除く3チームはいずれも3番打者(注:今大会実績)という奇妙な共通点がある。
■ベスト4の遊撃手たちをチェック
まず、早稲田実業の遊撃手は右投げ右打ちの2年生・金子銀佑。地方大会ではチーム最多の三塁打2本を打つパンチ力と走力に秀でたタイプだが、驚くことに三振はゼロ。3番の清宮、4番の加藤雅樹という高校を代表するスラッガーの陰に隠れがちだが、甲子園4試合で失策ゼロの鉄壁の守備と右方向へ長打が打てるミート力にも注目したい。
関東一の遊撃手はチームのキャプテンも務める右投げ右打ちの伊藤雅人。地方大会ではチーム最多の打点15、打率.684という驚異の成績を残し、オコエが塁に出て、伊藤が返すという必勝スタイルを築き、激戦の東東京大会を制した。
甲子園でも高岡商業戦の初回にその必勝パターンでタイムリーを打ち、さらに3回にはホームランでオコエを返すなど、関東一はオコエのワンマンチームじゃないというところを見せつけた。
東海大相模の遊撃手は、右投げ左打ちの杉崎成輝。神奈川大会ではチームトップの11打点、ホームラン2本を記録。決して大振りせずに打球を飛ばせるタイプの選手で、準々決勝の花咲徳栄戦ではシャープなバッティングでレフトオーバーのサヨナラタイムリーを打った。
それも含め甲子園で放った長打は全てレフト方向への飛球であり、準決勝で対戦する関東一の投手陣にとって脅威となりそうだ。
そして仙台育英の遊撃手は、右投げ左打ちの平沢大河。宮城大会では打率1割台と不振にあえいだが、甲子園に来てからは初戦の明豊戦で初回にホームラン、準々決勝の秋田商業戦ではプロ注目の好投手・成田翔から先制ホームランを放つなど、打撃は上り調子と見て良さそうだ。
守備の面では持ち前の積極性があだになってか、スコア上ではエラーを何度かしてしまっているが、強肩と打球に対するポジショニング、走力は一見の価値ありだ。
清宮、オコエ、そして各チームのエースや4番打者にどうしても目が行ってしまいがちの高校野球。今大会の準決勝は内野の守備の要であり、走攻守そろったいずれ劣らぬ遊撃手たちにも注目してみては?
また、球場を一歩出たところで繰り広げられる球児たちの“目に見えないドラマ”は「熱闘甲子園」(テレビ朝日系)でチェックしよう。
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