暴力団の金庫から現金強奪を企てた5人の男たちの顛末を描いた傑作バイオレンスアクション映画『GONIN』の19年ぶりとなる続編『GONIN サーガ』が9月26日(土)より公開される。監督・脚本を石井隆が続投し、前作で死闘を繰り広げた登場人物らの息子に焦点を当て、19年前の因果に翻弄(ほんろう)された復讐(ふくしゅう)劇が描かれる。本作への思いと裏話を、主演の東出昌大が語った。
――石井組初参加ですが、監督の演出はいかがでしたか?
僕はあまり演出されなくて、全部終わってから「キリン」と言われました。背が高いのに掛けていたと思うんですけど、監督は「キリンを先輩俳優やヤクザ役の人とかいろんな猛獣がいる檻に放り込んで、映画が終わる頃にまだ立っていればいいなと思って」と、そういう意図があったからか、細かい演出は全然なかったんだと思います。
――役作りの上で、参考にしたアクション映画はありますか?
やはり最初は1作目を意識したんですが、当時とはカメラも撮り方も違うし、美術や装飾もあのバブル期の19年前に撮った『GONIN』の派手さと現代の雰囲気とは違う。だから同じものには絶対ならない今の『GONIN』なんだと思いながらやっていました。
――先輩俳優の方々の背中、お芝居を見て受け取ったものはありますか?
根津甚八さんと石井監督のつながりを感じました。ずっとお体を悪くされていて、映画出演を断り続けていたのに、石井監督とならと言って出演した根津さんの思いと、普段現場ではすごく静かな石井監督が、お体が悪いのを知っているのに「根津さん顔あげて」って大声で演出した時があって。作品を良いものにするためとはいえ、そこまで容赦(ようしゃ)なく接することができるなんて、こんなに尊敬できることはないなと、当たり前のことなのに本当に感動して、この人たちはすごいなって心底思いました。
――竹中直人さんはいかがでしたか?
すごくマイペースな方で、何を考えているか分からないですね(笑)。口笛を吹きながらしゃべりかけてきて、僕や安藤(政信)さんが切羽詰っている時で「今じゃないんです」っていう空気を出しても、全然意に反さないんですよ。話題を変えるごとに口調も性格も変えてくるから、それが現場での竹中さん流のウォーミングアップなのか、そうやって芸をし続けて鍛錬しているのか惑わされないようにしようと思っていました(笑)。
――どんな時に役者業って面白いなと感じますか?
演じている瞬間は苦しいんですけど、1~2カ月経った後に振り返ると「あぁ、あのころ充実してたな」と思うんです。答えはないから辛いけど、出させていただくからには試せることも選択肢もどんどん増えていくから、こうありたいっていう目標も高くなっていくので、それはやり甲斐以外の何ものでもないなと思います。
――役者としてやっていく決心をした作品はありますか?
俳優デビュー作の『桐島、部活やめるってよ』です。吉田大八監督は緊張感や一言に重みがある方でしたし、共演者もみんな、登場人物たちの気持ちをきちんと理解して演じているんです。原作者の朝井リョウ君も、この作品を執筆した当時は19歳で若かったんですけど、年下なのに尊敬できる人が多いなと思いました。こういう怪物たちがいろんな所から寄せ集められている仕事なのだと実感して不安もあったんですが、天秤にかけた時に「楽しそうだな」っていうのが一番大きかったです。僕は次男だし、ある程度好き勝手にやろうと思って決心しました(笑)。
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