「ラブシャ」初日 Suchmosがヤンチャ発言連発

2015/09/24 17:55 配信

音楽

陽が傾き始めた夕暮れ時を、メロウかつグルーヴィーに彩ったSuchmos

8月28日~30日の3日間、山梨・山中湖交流プラザきららにて開催されたロックフェス「SWEET LOVE SHOWER 2015」。ことしも3日間で総勢60組以上のアーティストが白熱のライブを繰り広げた。その中から、28日に行われた初日の後半の模様をリポートする。

少しずつ日が傾き始めた夕暮れ時、湖に隣接するWATERFRONT STAGEにはSuchmosが登場。ことし7月にファーストアルバムをリリースしたばかりという、今話題のバンドをひと目見ようと、小さなステージの周りには多くの人が詰め掛けた。

「ここは標高1000mらしくて。標高1000mってお母さんのおなかの中と同じ環境らしいです。そんなところで演奏できてうれしいです」というボーカル・YONCEのあいさつとともに、“Pacific”からライブはスタート。このシチュエーションに絶妙にマッチする爽やかなナンバーに、早くも観客の心をつかむ。

続いてアルバムのリードトラックである“YMM”では、ブラックミュージックをそしゃくしたメロウでアーバンな香り漂う小気味よい演奏を展開。詰め掛けた観客も心地よさそうに体を揺らしていく。

「思ったより人いるんですね(笑)。す~げぇ楽しいです! こんな通り道に、誰かのライブの合間に観てもらって…」と謙虚にコメントするYONCEに、メンバーからは「絶対俺らが一番マイナスイオンと合うんだよ」と自分たちのサウンドを自画自賛する声が上がり、観客を笑わせていた。

YONCEが「あっちゅう間ですが最後の曲です」と語ると、観客からは「え~!」という声が。それに対し、YONCEは「いいね、(こっちも)それ聞きに来てるとこあるよね」とニヤリ。

続けて「二年前の誕生、富士山に登ったんですよ。でも下山道でこけて傷が残っちゃって…。きょうはその時の恩返しをしに来たつもりなんで、これで勝った、かな?」(YONCE)と挑戦的にコメント。

「きょうは僕らがまだ行ったことないところから来てる人もたくさんいるとおもうけど、そのうち行くので首洗って待っててください!」(YONCE)とヤンチャに語り掛け、最後は「こんな山ん中まで音楽聴きに来ちゃう、おバカで愛らしい皆さんにささげます」という言葉とともに“Life Easy”で締めくくった。

FOREST STAGEでは、SWEET LOVE SHOWER初登場となる米津玄師のライブがスタート。ボカロP「ハチ」としても有名な米津だが、この日はギター、ベース、ドラムを迎えた4人編成で登場。ステージ後方までびっしりと観客が詰め掛け、さすがの注目度の高さがうかがえる。

「どうも初めまして米津玄師です。きょうめっちゃ涼しいね。これがことし最後の夏フェス(出演)なんで、楽しんで帰りたいと思います」(米津)とあいさつに続いて、彼が「ハチ」名義でネット上に発表したナンバーを立て続けに演奏していく。

シンプルなギターロックと見せかけて、独特の不協和音を盛り込むなど、一筋縄ではいかないポップセンスをさく裂させていく米津。“マトリョシカ”ではこの日一番の盛り上がりに。ラストは新曲“アンビリーバーズ”を披露し、「新世代のカリスマ」たるゆえんを存分に見せつけていった。

この日のMt.FUJI STAGEトリ前はサンボマスター。冒頭から山口隆(Vo./Gt.)は、この夏観客たちがやり残したことを「宿題」と総称し、「宿題終わったら悔いだけは残すんじゃねえぞ!」などと、残りわずかとなった夏休みの心残りを全て吐き出させようと煽り立てる。

その後も山口は「オイ、誰だサボってるヤツは!」「オイ、おまえらそんなもんか!」「ここまで来て恥ずかしがってんじゃねえぞ!」などとまくし立てる。そして「宿題! 宿題!」というコール&レスポンスも飛び出し、異様なテンションの盛り上がりに。

一方で「後ろまでギュウギュウに入ってくれてありがとう。おめえと生きるために歌いてえんだ。おめえのことを誰にも笑わせたくねえんだよ。今この一瞬だけでも、サンボマスターが力になれる可能性はあるか?」と真摯(しんし)に、熱く語り掛けた山口は“可能性”を熱唱。観客をどんどん引きつけていく。

そして「あんた方の名前わかんねえから、俺は『ロックンロール』って言いたいんだ。10代のヤツも50代のヤツも、『ロックンロール』と名付けたあんた方が生きててほしいんだ。死ぬんじゃねえぞ! 次会う時まで!」というメッセージから、“ロックンロール イズ ノットデッド”で豪快に締めくくった。

辺りが少しずつ暗くなり始める中、LAKESIDE STAGEには日本ロック界のレジェンド・Charが降臨。ことし還暦を迎えた彼は、12人のアーティストとコラボしたアルバムをリリースするなど、ますます精力的に活動している。

バンドメンバーと共にさっそうと登場したCharは、「おお、涼しくなってきたね」と言いながら、メンバーとセッションのような音出しを開始。「これずーっと、30分くらいやってますから」と軽く冗談を言った後、“ALL AROUND ME”からスタート。

若い世代が多く集うフェスということもあり、彼のライブを初めて目撃する観客も多い中、湖畔という環境にこれ以上ないほど映える爽やかな楽曲で、早くも心を掴んでいく。流麗なギタープレーで、若い女性からも思わず「カッコいい~!」という声が漏れる。

観客とのコール&レスポンスを楽しんだところで、早速メンバー紹介へ。するとCharは「Charと、モンチーです!」と、この日出演したチャットモンチーをもじってザックリとした紹介を行い、観客を笑わせる。が、すかさずDr.kyOn(key.)、佐橋佳幸(Gt.)ら、腕利きのメンバーに敬意を払って紹介していた。

終盤には、Charが自身と山中湖の思い出について言及。「40年近く前の話なんですが、ファーストアルバムのジャケットを、ちょうどそこ(湖畔)で撮ったんです。富士山をバックにして」と明かし、スタッフが持ってきたLP盤のジャケットを実際に見せながら解説。

「きょうは富士山見えないんで、これで我慢して」と、ジャケットに映っている富士山を観客に堪能させた後、そのアルバムに収録された“SHININ' YOU SHININ' DAY”を披露。古くからのファンも大いに沸かせた。

そしてラストはお待ちかねの“SMOKY”。正しくギターアンセムといえるこの曲に、観客のボルテージも最高潮に。日本が誇るギターヒーロー・Charが、その卓越したギタープレイを存分に見せつけていった。最後に「どうもありがとう。Charと、モンチーでした。風邪をひかないように!」と語り掛け、ステージを後にした。