世界のトッププレーヤーたちが集うNBAの2015-2016シーズンがついに開幕。昨季の王者ゴールデンステイト・ウォリアーズ、“キング”レブロン・ジェームズを中心に王位奪取を目指すクリーブランド・キャバリアーズなど、全30チームが優勝を懸けた戦いを繰り広げている。
今回、WOWOWのNBA中継でメインキャスターを務める長澤壮太郎を直撃。本場アメリカでチームの取材を行い、さまざまなスター選手へのインタビュー経験を持つ長澤に、現地取材の様子や選手の素顔、今季の注目選手やチームについて語ってもらった。
――シーズン開始前にクリーブランド、シカゴ、オクラホマシティーでチーム取材を行ったそうですが、クリーブランド・キャバリアーズの取材時、レブロン・ジェームズの印象はいかがでしたか?
「レブロンは元々大人しい性格なので、そんなに多くは語らないし、必要以上のことは言わないんですけど、やはり全ての人が彼を中心に動いていましたね。全ての選手が彼の動きを察知しているし、フロントもそう。彼もそれを受けて、リーダーとして行動していますし、全ての言動がリーダーとしてのものなので、重みがあります。レブロンは近付きにくいオーラは出さないんですけど、大物であるオーラはにじみ出ちゃってますね。怖い感じではないんですけど、『うわっ…』ていう重圧感はあります(笑)」
――昨年、マイアミ・ヒートからレブロンが戻ってきて、キャバリアーズのチーム状況は一変しました。長澤さんから見て、今季のレブロンとキャバリアーズはいかがでしょうか?
「レブロンは、年齢もベテランの域に入って、『自分が100%背負わなきゃいけない』ってなったときに、しんどくなるってことをイヤというほど経験してきている。1人では成し遂げられないということを一番よく分かっているのがレブロンなので、チームの一体感を彼ほどアピールする、強調する人はいないですね。
正直言って、僕はここ1~2年が一番、優勝の可能性あると思います。長く待っても、レブロンはどんどん歳を重ねていくし、全盛期を過ぎる日は必ず来るので、周りを育てる年ではなくて、優勝を掴みにいく、勝負の年だと思うんですよね。今年は本当に強いと思いますよ。しかも昨季はNBAファイナルで負けているので、それが経験になっているし、やり遂げてない仕事をやり遂げなければいけない使命感でいっぱいだと思います」
――クリーブランドに続いては、シカゴ・ブルズの取材に行かれたそうですね。
「練習後の囲み取材で、新監督のフレッド・ホイバーグやジミー・バトラー、パウ・ガソルに話を聞きました。パウは以前にインタビューしたのを覚えてくれていて、『元気?前にロスで会ったよね』って声を掛けてくれて。『いろいろ聞きたいんだけど、ちょっと時間ある?』って聞いたら『全然いいよ』って何でも答えてくれました。彼はね、一番紳士、ジェントルマンです。
ロサンゼルス・レイカーズから去年ブルズに来ましたが、彼の話を聞くと、システムが合う合わないでNBAの選手ってこんなにも違うんだ…っていうくらい、最後の方のレイカーズのシステムは、彼には動きにくかったのかなって思う部分もありましたね」
――デリック・ローズは取材されたんですか?
「デリック・ローズは眼窩骨折した翌日だったので取材できなかったのですが、2013年の来日に密着したときの印象だと、ローズは純粋ですね。大人しいタイプで、はしゃがないし、あんまりバカもやらない。コート上が一番、自己主張が強いかもしれない。それも役割としてやっているだけであって、真面目で気を遣うタイプでした」
――続いてはオクラホマシティ・サンダーの取材について聞かせてください
「練習を見学して、ちょうど行われていた紅白戦を見てきました。ラッセル・ウェストブルックは昨季大爆発して、MVP候補にもなって、誰も止められないという状態が続いたので、自信に満ちていたし、何の不安も感じられなかったですね。常にスイッチが入っていて、『いつでもいける』という感じで。ああいうキャラクターなので、現地でも『ちょっと変わってる』と思われてると思います(笑)。ただ、敬遠される『変わってる』ではなく、受け入れられる『変わってる』。ちょっと面白いよねって」
――昨季はケガに苦しんだケビン・デュラントはどのような状態でしたか?
「ケビン・デュラントはケガ明けということもあり、『自分はトップ中のトップなんだ』っていうのを証明するための並々ならぬ覚悟を感じましたね。圧が凄かった。今はみんな、レブロンだカリーだと騒いでいて、デュラントのことを後回しにしているから、それをモチベーションにしているんでしょうね。本当に静かなんだけど、すごい怖さを感じましたね(笑)。
威圧とかじゃないですよ、決意が見えるんです、目の奥に。だから今年は、あの2人は止められないと思いますよ。デュラントと昨季得点王のウェストブルック2人で、50点ずつ獲ろうと思えば獲れますからね(笑)。去年プレーオフ出場を逃したのに、『サンダーが今季優勝するんじゃないか』っていう意見も多いですから」
――それではここで、長澤さんの注目選手を教えてください。
「ヒューストン・ロケッツのジェームズ・ハーデンです。去年MVPをウォリアーズのステフィン・カリーと争いましたし、プレーオフ西決勝までほぼ1人でヒューストン・ロケッツを押し上げたので。もう一つ違うレベルまでいく自信がついたと思います。彼、元々はサンダーですからね。そう考えるとハーデン、デュラント、ウェストブルックが同じチームだったっていうのは凄いことですね(笑)」
――もう一つ、ダークホースとなりそうな注目チームを教えてください。
「面白いと思うのはマイアミ・ヒートです。紙の上で言ったら優勝争いできるスタメンがいます。あとは、レブロンと対峙して、精神的に負けていないのが唯一ヒートだと思います。何せ『自分たちが彼をスーパースターに育てた』という意識もあると思いますから。特にドウエイン・ウェイドなんかは、レブロンの親友で、お兄さんとしての役割をずっと担ってきたので、レブロンが来たからって圧を受けることはないと思います」
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