いよいよ本日11月8日(日)に東京・新宿文化センターを皮切りに全国ツアーが行われる、「『男だけのバレエ団』GRANDIVA グランディーバ バレエ団ジャパンツアー2015」に出演する上遠野太洸にインタビューを敢行した。
後編では、前回の日本公演での反響や、役者としての目標、開幕する本公演の見どころなどを語ってもらった。
【「再び“女装バレエ”に挑戦! 上遠野太洸の決意」より続く】
――本番での演技は1年半ぶりだと思いますが、体で覚えていることもあるんでしょうか?
ありますね。先日2日間ほどフリを思い出す名目で練習した日がありましたが、ある程度は覚えていましたから。音を聴いて動いてみたら意外と動けるんだなと自分でも驚きました。少なくとも以前、ニューヨークでやってきたことがゼロになっていなくて良かったです。ゼロだったら絶対に本番に間に合わないので(笑)。それは不幸中の幸いかなと思っています。
――前回公演時、周りの反響はどうでしたか?
反響は良かったです。あまり期待されていなかったのか(笑)、「ここまでやると思わなかった! すごいよ!」などと、純粋にお褒めいただいたので、それはすごくうれしかったです。ここまでやってきた努力が認められたのだなと思いました。
――とてもインパクトのある女装姿についてはどんな反応がありました?
「意外と似合っていたよ!」と言われることが多かったです(笑)。だから「あ~、似合っちゃってた?(笑)」って少し複雑でした。まあ、でもそう言われたらそこまでかなと(笑)。
――「美しくなければ意味がないのよ」というコンセプトですが、上遠野さんにとって「美しいもの」と聞いて思い浮かぶものは?
ちょうど先日、「美しいなあ…」と思ったことがありました。蜷川幸雄さんの舞台で、僕の事務所の先輩・溝端淳平さんが出演されている「ヴェローナの二紳士」を見たときです。この作品に限らず、シェイクスピアのものは全部そうですが、“言葉の流れ”が本当に美しいなと思いますね。ちょっとしたしゃれが効いている部分もそうですが、言葉の種類、数の多さもそうですし、美しいという言葉一つで済むことを、言葉を5つも6つもつなげて、ようやく「美しい」という意味につなげるんです。
現代の人たちからすると一見遠回りしているようですが、昔の人にとってはきっとそれが当たり前だったのかなと。言葉の流れが流麗と言いますか、本当に自然で感動しました。僕は普段から言葉遊びのような言い回しが好きなので、そういうのが純粋に美しいなと思います。今だったら、「何をごちゃごちゃ回りくどく言っているの?」と思われがちですが、何かを形容するために、さまざまな言葉を無理なく自然とつなげるシェイクスピアはすごいですよね。
――ちなみに上遠野さんは、それまで演じていた役にプライベートなどでも引きずられることはありますか?
割とオン・オフが激しいので、僕は全くありません。現場でたまに監督にも言われるのですが、あまり集中力が持続しないんですよ(笑)。その分、カメラが回っているときに、より高い集中を持っていくようにしています。裏を返せば、カメラが回っていないときは、現場でもフラフラしてしまうんです(笑)。そういうアンバランスな人間なので、終わった後はあまり引きずらないですよ。
――今後、明確に役者としての目標はありますか?
どういう役者になりたいかではないのですが、今後やってみたい役は、それまでにやったことがない役ですね。「仮面ライダードライブ」('14年~'15年、テレビ朝日系)のチェイサーも、それまで僕がやったことがない役どころでした。最初は機械で、悪いやつで、僕は全くやったことがない役で面白そうだなと思いました。これまでは割といい子の役が多かったですから。
先日「痛快TV スカッとジャパン」(フジテレビ系)に、“学生で、最低の元彼”という役で出させてもらったのですが、それが思いの外楽しかったです(笑)。本当にクズな役ですが、クズをやるのが楽しかったですね。どうすればもっとクズに見えるかなと考えているととても楽しくて。普段出せない僕の“闇”が出せているような(笑)。そんなことを言っていると、僕がそういうダークな人間に見えちゃいそうなんですが、今まで出したことがない役は楽しかったです。
皆さんのイメージが僕=いい子になっているでしょうし、それもありがたいですが、そうじゃない黒い一面もあるというところを、今後も役を通じて見せていきたいです。
心底嫌なやつだったり、無気力人間だったりとか。仮面ライダーでは、最初は悪人だったけど最終的には正義の味方になったので、本当に徹頭徹尾悪い、倫理観なんて皆無な人間のクズを演じてみたいです。それが僕にできるのかは置いておいて(笑)。
――では、最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。
グランディーバの日本公演初日プレ公演にお越しくださった皆さん、ありがとうございました。まだご覧でない皆さんは、もう既にご覧になった方の口コミや、ネットの情報、僕のSNSにもいろいろなことが書いてあるので、それを読んでいただいて、実際見に来ていただけたら幸いです。見に来てくだされば満足していただける内容になると思います。
僕を以前からご存じの方は、これまで目にしていた僕とは違う、変わったことをしている僕の姿を楽しんでいただけると思います。
反対に僕のことをご存じなくて、グランディーバがきっかけで僕のことを知ってくださった方には、その方にとって僕はグランディーバに出ている姿が全てだと思いますが、それ以外にもいろいろな僕の面があることを知ってもらいたいので、今後も追い掛けてもらえたらうれしいです。
グランディーバはまだ初日なので、これから何日も続いていきますし、その中でさら舞台の完成度を磨いていけたらなと思いますので、今後とも応援よろしくお願いします! どうもありがとうございました。
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