玉山鉄二が意外な俳優論明かす「現場は楽しめない」

2015/11/18 14:38 配信

ドラマ

「誤断」の見どころを語った主演の玉山鉄二(C)WOWOW

WOWOWプライムで11月22日(日)より放送スタートとなる連続ドラマW「誤断」で主演を務める玉山鉄二がインタビューに応じた。

本ドラマは、堂場瞬一の社会派ヒューマンサスペンス小説をドラマ化した作品。薬害事件を抱える大手製薬会社を舞台に、法の網をかいくぐり、会社の繁栄と存続を優先する企業人と巨大企業の利益のために犠牲となった被害者たちの姿を描く。

連続テレビ小説「マッサン」('14~'15年NHK総合ほか)でもタッグを組んだ羽原大介氏の脚本を読んだ玉山は「WOWOWだから描けるドラマだなと思いました。10~20年前にはピンとこないテーマでも、今の時代だからエグみを感じられる物語です」と解説。

また「羽原さんの脚本を演じるのは3度目。羽原さんは人情味、日本の良き姿を描くのがうまい。その一方で、社会派ドラマを描くイメージがなかったので、脚本をもらうのをすごく楽しみにしていました」と目を輝かせた。

玉山は、副社長・安城(小林薫)から隠蔽(いんぺい)工作を指示された製薬会社の若手社員・槙田(玉山)として、会社での立場と罪悪感の間で心揺れる役どころ。

見どころを「2万人の社員と、遠く離れた場所で暮らすわずかな人たち、どっちが大切なんだという問い掛けが物語中にありますが、突き付けられても答えは出せない。企業の存在によって多くの人が便利になったり、命が救われたり、多くの利益が生まれる。その裏には多くの人柱も存在している。見てくださる方にはそこを見てほしいですね」と語った。

さらに「今の時代は、SNSなど“見る人至上主義”で何でも知れて当たり前で、隠すことは悪とされる。企業をかばうわけではないけれど、明るみにしないことも日常的にあるはずなのに、隠していることが発覚すると、これまでの功績はゼロにして、やってしまったことをすごく責められる。難しい問題ですよね。そんな現状があることを、ドラマを通して視聴者が物事を斜めに見るきっかけになるのでは」と期待を寄せる。

撮影現場での雰囲気については、「題材が題材なので暗いですよ(笑)」とおどけながらも、「村上(牧人)監督はセンシティブにディレクションしてくれているし、古厩(智之)監督も主人公の心情を大事に撮ってくださって。槙田の恋人役・蓮佛(美沙子)さんは、オッサンくさい現場に光を差してくれました。いてくれるとスタッフのテンションが違いますし、まず罵声が飛ばないですから(笑)」と振り返った。

また、「大ファン」と公言している小林との共演に「1~2話で槙田が安城から特命を受けるシーンがあるんです。脚本からでは感じ取れなかったのですが、薫さんのせりふを聞いていると声のトーンやあふれてくるせりふ量に洗脳されるような感覚があって驚きました」と圧倒されたことを明かした。

インタビュー中、玉山から語られたのは意外にも「まだ俳優として自信はない」という言葉。「俳優を始めて15年たつけど、根本は変わらないです。どの現場に行っても今でも緊張するし、正直楽しめていない。大変なシーンの前日は『明日雨降らないかな』とも思うし、まだまだ勉強していかないと、この気持ちは解消されないのかな」と分析する。

「『ちょっと手伝ってよ』なんてスタッフさんにドラマ出演を求められることがあるけど、心の底では『あなたは簡単に言うけど、こっちはそうじゃない。あとからヒョイッと入って行ってなじめなかったらどうするんだ』と思いますもん。器が小さいですね、すみません(笑)」とぼやく一面も。

記者から「ベテランの俳優さんでも『現場を楽しめない』と言う人は多いですよ」と声を掛けられると「そうなんですか? それはホッとするなあ。子供が大きくなるまでは第一線でやっていかないといけないと思うし、おじいちゃんになってもやっていたいですから」と表情を和らげた。

玉山は「作品が成功すれば自信になる。『マッサン』でも達成感があって自信がついたし、やり終えると『何でも来い』という気持ちになるけど、ちょっと休むとまた『(次の作品は)できるかな…』と繰り返していますね。僕はこうしていくしかないんだと思います」と一貫して「自分はまだまだこれから」という姿勢を言葉の端々に示した。

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