11月21日(土)公開の映画「デジモンアドベンチャー tri.」で、主人公・八神太一の声を演じる花江夏樹と、石田ヤマトの声を演じる細谷佳正のインタビューをお届け。
映画「デジモンアドベンチャー tri.」は、'99年にフジテレビ系で放送されたアニメ「デジモンアドベンチャー」の続編となるデジモンシリーズの最新作。高校生なった八神太一や石田ヤマトをはじめとした“選ばれし子どもたち”の成長後の物語を全6章の映画として描く。
――「デジモンアドベンチャー」の作品についての印象は?
花江夏樹:当時小学生だったのですが放送を楽しみにしていました。そのころは「デジモンが進化してかっこいい、スゴイ」と思いながら、見ていました。
大人になって見返すと、作品に込められたメッセージがたくさんあることに気付いたんです。子供たち同士の関係性や、デジモンの絆など、深いテーマがあるので、大人になっても楽しめる作品だと思いました。
細谷佳正:僕はデジモン世代ではないのですが、当時はやっていたアニメというのは記憶にありました。少しばかり大人びた子供が見るアニメという印象があったのですが、ヤマト役が決まってから作品をあらためて見たところ、分かりやすいストーリーの中で、投げ掛けてくるテーマがシビアなものが多くて、“少し大人になった子供が見るアニメ”という印象を受けた理由に納得しました。
その哲学的な部分を、新シリーズでは16年前とは違った問い方をするんだろうな。その違う部分が今「デジモン」の続編をやる意味であり、今の若者に見てもらいたい部分なんだなと思いながらアフレコに臨みました。
――役を演じるに当たって苦労した点などは?
花江:子供のころのイメージがどうしても強かったので、太一の元気で明るい部分や、目標を決めたらそこに向かっていく熱さがそのまま成長しているとしたら自分でどう表現すればいいんだろうと不安もありました。
ですが、今回特に太一が一番変化をしていると思うのですが、大人びた部分があったり、戦うことに対しての悩み、葛藤もあるので、小学生の部分は引継ぎつつ、元の部分はありつつも新しい部分を出していくところが大変でしたね。
周りから見れば「どうしちゃったの太一?」と感じる部分もあると思うんですけど、そこはいままでの太一にない、僕が新しく作っていく太一なので、相当悩みました。でも、アフレコ現場で実際に演じてみると、周りの雰囲気に解け込めてそこまで悩みはなく演じられました。
細谷:今回“選ばれし子どもたち”にキャスティングされた声優さんたちは、高校生の役柄を演じるのにぴったりな人たちが選ばれたという印象があるんですよ。僕は“子どもたち”のキャストで一番年上で、気を抜くと高校生じゃない部分が出てしまいそうになるときがあるので(笑)、そこにヤマトの青臭い部分を出していかないといけないということに一番気を使いました。
――どのキャラクターが一番成長したと思いますか?
花江:僕は太一が一番成長したと思いますよ。ヤマトはまだバンドにイタイ名前をつけたりする部分がありますから。でも、二人とも成長しましたよね。方向性は違うんですけど、太一はより大人びた考え方、周囲を気遣うという点で成長しましたし、ヤマトも熱さは変わらず、ポジティブな方向に成長している。
細谷:そこに戸惑いが生まれるか、覚悟を持っていってしまえるかの違いで、成長は二人ともしていると思います。でも普通の高校生の成長じゃないですよ(笑)。デジタルワールドでの冒険は成長期の彼らにとても大きな影響を与えていると思いますし、そこでは命の危険なども何度もあったから、もっともっと大人びていて命の大切さなどを知っていると思います。
――同級生の役での共演は初めてですか? 今回の共演で感じたお互いの印象をお願いします。
細谷:こんなに年が近い役柄は初めてだよね。
花江:こんなに役同士でがっつり会話をするのも初めてです。
細谷:太一とヤマトが言い争うシーンを演じているときに思ったことなんですけど、直情的にヤマトが言うことに対して、感情に感情で返すわけではなく、そこでグッと飲み込む花江くんの太一の演技が素晴らしくて、本当にすまないと思ってしまって…。そのとき「あぁ、太一もヤマトも大人になったな」と思いました。その花江くんの表現はすごいなと思いました。
花江:細谷さんの演技を聞いていて、いつもすごいと思うのは細谷さんとしての気配がなくなるということなんですよ。
細谷:それは(言われて)すごくうれしい。
花江:デジモンの収録の時も、細谷さんじゃなくてヤマトが隣にいるような感覚があって。細谷さんのお芝居を聴いていても細谷さん自身が楽しんでいるのが分かるので、掛け合いをしていてとても楽しいです。相手とのやりとりに重きをおいてくれているところが、僕の中で、細谷さんのお芝居が好きだなと思う理由の一つです。
――デジモンたちは前作から引き続きのキャスティングですが、共演しての印象は?
花江:“大御所=怖い”というイメージがあって、認められなかったらどうしようと考えてしまっていました。でも、そんな心配は無用で、アグモン役の坂本千夏さんは会うなり「太一」と呼んでくださって、その瞬間に余計なプレッシャーが和らぎました。そこからパートナーとしてやっていくんだという覚悟があらためてつきました。
坂本さんは太一の呼び方にこだわりをもっていらっしゃって、本当に太一のことが好きなんだなというのが、呼び掛けだけで伝わってくるので、坂本さんに「太一」と呼ばれると、すごく幸せです。
――ファンへのメッセージをお願いします。
花江:「再会」という第一章のタイトルにふさわしい内容になっています。当時ファンで、今でも愛してくれているデジモンファンに贈る作品です。さまざまな設定が引き継がれてちりばめられていて、思わず涙が出てくるところもあります。「デジモン」の進化のシーンもすごく格好良くなっています。
「デジモン」を知らない人にも、この作品から入っていただいても楽しめる、デジモンを抜きにしても楽しめる人間ドラマや青春が描かれているので、何度も何度も繰り返し見ていただけるとうれしいです。
細谷:劇場にワクワクしながら足を運んでいただいて「デジモンアドベンチャー」という作品と“再会”していただけたらうれしいです。僕らは送り出す側ですが、僕らと一緒に6章まで盛り上がり続けていきましょう。
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