尾野真千子「他の人にこの役をやられたくない」

2016/01/13 06:00 配信

映画

映画「きみはいい子」の呉美保監督と尾野真千子にインタビュー

'15年6月に公開された呉美保監督の映画「きみはいい子」が、1月20日(水)にBlu-ray&DVDでリリースされることが決定。発売を記念して呉監督と難役に挑んだ尾野真千子がインタビューに応じた。

原作は坪田譲治文学賞を受賞した、中脇初枝の同名ベストセラー小説。問題に真正面から向き合えない教師、幼いころのトラウマによって自分の子供を傷つけてしまう親。大人と子供にまつわる現代の問題を孕みながらも、「人が人を愛すること」を描いた作品だ。

――原作はお読みになりましたか?

呉監督:はい、読ませていただいて、プロデューサーさんからいただいた企画だったんですけど、企画をいただいたというよりは、イチ読者として名作にすごく入り込んでしまって、たぶん企画を持ち掛けられなかったとしても私も映画化したいと思ったんじゃないかなと思いました。

尾野:私は読まずに台本のみですね。私の役は虐待をする母親の役なので、はっきり“好印象”というのはなく、やる側なのでどうしようかなと思ったところはありました。でも私が断ったら誰がやるんだろうと思って。私は他の人にこの役をやられたくない、演じられたくないというか(笑)。そう思って「だったら私が責任もってやります」みたいな、そんな感じはありましたね。

――尾野さんのキャスティングももちろん監督が?

呉監督:そうですね。でもそれはお仕事させてもらうとか関係なく思っていたことですが、出てらっしゃるドラマにしろ映画にしろ、尾野さんが一人でいるシーンはもちろん、複数人とか画面に映っているシーンでも、必ず目で追っちゃう人だなとずっと思っていて。

存在感があり、一人だけ目立っているとかではなくて、ちゃんと役として私が入り込むお芝居をされているんだろうなと思って。今回の役は、「これやってもらいたい」と思って、普段からそういう思いもあってお願いしました。

――尾野さんが虐待をしてしまう娘役の三宅希空(のあ)さんはいかがでしたか?

尾野:いやぁ大人でしたよね。ほかの子たちがいる中で、大人のように振る舞っていたり。でもそういう点では私の子の役という部分では通じるものがあるのかなと。でもちょっと目を離すと、子供たち同士でわいわいとやっているようなかわいい、もちろん子供らしいところもちゃんとあって。

希空ちゃんから私の役がどう映っているか分からないけど、虐待をするシーンが多かったりもするので、なるべくコミュニケーションをとるようにして。撮影の最後には「大好きでした」っていうお手紙をいただいたりもしましたので、大好きでいてくれてたらうれしいですけど(笑)。

呉監督:私も手紙をもらって「面白かったです」って書いてありました(笑)。尾野さんには「きれいな尾野さんへ」とか「かわいい尾野さんへ」みたいのがあったみたいなんですけど、私には「面白い監督へ」って、“面白推し”でした(笑)。

――尾野さんの希空さんへの第一印象は?

尾野:第一印象はね、一緒にご飯食べに行ったんですよね、お芝居する前に。子供らしいなと思ったんですよね。大人ぶるというか、そういう子が多い中で、ちゃんと子供でいてくれる。子役の子って普段から役者さんとか監督さんの前に出るとシュッとするじゃないですか。じゃなくてママにも甘えて、あれが食べたいこれが食べたいとか言っていたり。子供らしいな、かわいいなと思いましたね。だからなおさらこの子をたたくのは嫌だなと思いましたね(笑)。

――ちなみに尾野さんの子供時代というのは、どんなお嬢さんだったんですか?

尾野:活発は活発なんですけど、山の上で育っているので。遊ぶのが山の中というか、大自然の中で遊んでいたんですよね。ただ体が少し弱かったのと、人見知りがすごくて、すごく恥ずかしがり屋だったですね。今となっては意外かもしれませんが(笑)。みんなに言われますね。でも本当恥ずかしがり屋で、郵便屋さんが来るだけで家の中に入って隠れてたみたいな。

――作品の中で、高良健吾さん演じる岡野先生が子供たちに「誰か家族の人に抱き締められてください」という宿題を出して、翌日にその感想を聞くシーンがありました。子供たちの素に近い表情なのではと感じたのですが?

呉監督:もちろんこういうシーンを撮るというのが台本にもあったんですけど、ただ撮影を経ていく中で、高良さんと児童たちの関係がどんどん密になっているのを目の当たりにしていたので、これは実際に宿題を出して実際にしてきてもらった方がより脚本を超えたものになるんじゃないかと思って。高良さんに相談したら「ぜひやりたい」と前向きに捉えてくださって、実際に宿題として出しました。

ポジティブなことだけじゃなくて、「キモかった」とか(笑)。でもそう言いながら照れ笑いを浮かべたりね。それでいいんじゃないかなと思いました。

――尾野さんは最近、(映画のテーマでもある)抱き締めた・抱き締められたことってありましたか?

尾野:最近? 最近?

呉監督:伴侶から?

尾野:伴侶から? それくらいですかね(笑)。

呉監督:ハグとか? 普段から?

尾野:こっちからはなかなか行きづらいんですけど、来てくれる人がいるとウェルカムですね(笑)。家族とは別れ際に母親と父親とハグしたりとか、必ず触れるというか。握手したりとか。ただ街中だとハグしづらいというのがあるので、握手して必ず触れたりとかはありますね。

――これまで数多くの作品にご出演されてきたかと思うんですが、今後やってみたい役などありますか?

尾野:具体的なものはないんですけど、ただ、結婚をしたりとか、自分の中でいろんな出来事があったりとかして、何か挑戦はしたいなとは思っていますね。

いろんなことに挑戦して、私ってどう変わっていっているんだろうとか、結婚したことによってどう変わっていくんだろうと。

たぶん芝居している最中は気付かないと思うんですけど、見た時に何か「私ってちょっと変わったのかな」とか「変わったね」って言われるのか。何というわけではないですけど、挑戦していきたいなと思っていますね。