26年目を迎える劇団・猫のホテルの最新作が上演中!

2015/12/12 00:00 配信

芸能一般

小川菜摘ら個性派ゲスト陣が、作品をさらに魅力的にする写真=近藤健嗣

劇団・猫のホテル(猫ホテ)が旗揚げ26年目にして、新たな取り組みに挑戦している。実際にあった事件をモチーフとし、2013年から始めたリーディングの会の内容をベースに、作品を作り上げてきた。作・演出の千葉雅子に今回の作品ができるまでの流れ、思い入れを語ってもらった。

「かねてより強く興味を覚えていた、1997年に起きた渋谷区の(東電OL)事件をモチーフに、リーディングの会を催して断片を書き進めて来ました。会は2013年からスタートして、隔月で2014年の春まで続け、いつ芝居として公演をうつのかは、決めないままにしていたんです」。そこへ、劇場サイドから声がかかる。

「たまたまアゴラ劇場さんから共催公演のお誘いを受けました。まとめたものを、最初に発表する場としてはとても良い空間だと思い、今回の上演を決めたんです。その後劇団で稽古を重ねて創っていきました。が、まだまだ一本の芝居として、公演後磨いていき、2017年までには、劇団としてメンバー総勢で発表したいと思ってます」と今後も継続されていく様子。公演日も決めて進んだものではなく、意識せずに書いていったことが逆に新鮮で、自由な発想を得られたという。

今回、さらなる初挑戦としては、キーになる役をトリプルキャストにした点だ。

「同じ役でも、こんなに演じる人によって違う味わいになるものか、と驚くことばかり。

結果、三つの作品ができあがりました。台詞が変わるわけではないのですが、やはり同じシーンを三倍の時間をかけて稽古することになりました。小川菜摘さんは、やわらかい優しさと愛らしさ、芯の強さが魅力。平田敦子さんは、人間愛にあふれた母性が垣間見える瞬間が切ない。中村まことくんは、ペーソスあふれるたたずまいがおかしく哀しい」と日替わり出演陣が、同じ役でありながら三者三様といえよう。もちろん、おなじみ劇団員も稽古場を盛り上げる。

「(森田)ガンツ君が自宅に台本を忘れて来て、他のメンバーが本読みをしている間、手帳を開いてさも読んでいるかのような振りをしたこと、持ってくるお弁当の莫大な量、自分で漬けたというぬか漬けのすごみを帯びた色味など…ガンツ君の行動が、ゲストさんの興味を引いて放さなかった。ゲストさんのあたたかいツッコミに、笑いが絶えない稽古場でしたね。また、初期のころ、稽古場が予約できなかった日に、市川(しんぺー)君の家で稽古をするという初めての経験。稽古終わりで、リビングでの飲み会。夜も更けて解散となりましたが、のんびりとした一日でした。稽古がすすんだかどうかは、不明ですが(笑)」。

久しぶりのアゴラ劇場での公演に、千葉をはじめ猫ホテメンバーみな気合いも十分。

「初心にかえって、劇団の26年目に突入です! 育休や家業のために帰郷してるメンバーの分も頑張りますよ!」。