2016年1月1日にCS放送の映画・チャンネルNECOで映画『神宮希林 わたしの神様』が放送される。この作品は、樹木希林が人生で初めての「お伊勢参り」をする姿を追ったドキュメンタリー。2013年、伊勢神宮の二十年に一度の式年遷宮の年に伊勢を訪れた樹木が、当時の心境を語った。
―神宮希林の企画はどういうところから始まったのですか。
「伊勢神宮に興味ありますかと言われて、“あります”と答え、行きますかと言われて、まだ一度も行ったことがないので“行きます!”という返事をして始まりました(笑)。あんなに人が集まるということは、何かある、1度は行かなくてはと思っていたので。行ってみて、なるほど人が集まるものだと思いましたね。行って良かったです」。
―映画の冒頭はご自宅の様子から始まりましたが。
「あのシーンは、本当はなかったんですよ。車で自宅に寄ったときにスタッフが皆降りてくるから、あ、ここを撮る気だなと思って(笑)。お宅拝見企画ではないから、いつも掃除しているので、普段はこのような感じですというふうに撮影し始めたら、掃除のシーンからのスタートになりました」。
―とてもきれいなご自宅ですね。
「いつもあんな感じに片付いていますよ。何でもしまってしまうんです。テレビも。よく人に『家にあがっていい?』と言われたら招き入れるんですが、モデルルームみたいと言われます。基本的には必要なものは、ほんのちょっとのもので良いなと。なるべく減らそうとしています」。
―神様などの「目に見えないもの」の存在についてはどう思われますか。
「重さや形も分からないけれども、無いということは証明しにくい。あるということの方が、これからは証明しやすいのではないかと思います。無いと言い切れる科学者や、物理学者はいないと思う。私もそういう感じで捉えています」。
―神様はいて欲しいと思いますか。
「いや、いて欲しいという気持ちは嫌でしょうね。悪いことをしているところを見られて、もしいると思ったら嫌じゃない(笑)。いて欲しいとは思わないけど、災害とかがあると、いないのか!と言いたくなるような自分勝手なところはありますね(笑)」。
―今回、東北にも行かれていますね。震災のときはどんなお気持ちでしたか。
「震災の時には、立っても座ってもいられないけど、食べるものは食べなければならない、寝なければならない。という日常に流されていました。その後、私なりに発信できるものがないだろうかという意識は出てきましたね。ただ芸能人をやっているというだけだったから。今でもそうなんですけど(笑)。そしてこの作品に携わらせて頂いてから、もう少し腰を落ちつけて、人間社会というのを考えないとまずいかなと思い始めましたね」。
―式年遷宮前とその後では、伊勢神宮に行って感じるものはありましたか。
「やっぱり神様がおられるのかな。気配がちゃんと移動しているなという感じはありましたね。最後に御幌(みとばり)がフワーとあがっていくシーンがあるんですけど、偶然だとは思うけど、うちの婿が『あれは内側から扇風機をかけたんですか?』と言ったくらい綺麗にあがったので、ドキュメンタリーの神が必ずいると思いましたね」。
―この作品をどういうふうに見ていただきたいですか。
「この作品はあまりに映像がさりげないでしょ。台所に立って作業をしながら見ていると、話は分かるんですけど、大事なシーンを見逃してしまうんですよ。だから、旅をするつもりでじっくり見てもらいたいと思いますね」。
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