前説の方々を取材し人気番組の新たな魅力を掘り下げるインタビューシリーズの第4回は、前回に引き続き「月曜から夜ふかし」(毎週月曜夜11:59-0:54、日本テレビ系)で前説を務める浜ロンが登場。
前回はMCである関ジャニ∞・村上信五、マツコ・デラックスの魅力や舞台裏の様子を聞いたが、今回は浜ロン流の前説術について語ってもらった。
前回「【前説に聞く】「夜ふかし」村上信五さんのたたき方が…」より続く
――前説拝見しました。トークで盛り上げるだけじゃなくゲームも交えたりされて、お客さんがとても楽しそうでした。「月曜から夜ふかし」の前説は担当されて長いんですか?
ありがとうございます。番組開始からなので、4年ぐらいたちますね。
――他にも担当されている番組はあるんですか?
僕、上田晋也さんの運転手をさせもらっているんですけど、その関係で上田さんが出演されている「しゃべくり007」や「おしゃれイズム」(共に日本テレビ系)でも、ローテーションで前説をさせてもらっています。
――今回は前説の仕事内容について具体的にお聞きしたいと思っています。
分かりました。前説について聞かれるってなかなかないですよ(笑)。
――まず、「月曜から夜ふかし」の前説で心掛けていることを教えてください。
この番組に関しては、割とマツコさんと村上さんがお客さんに話し掛けることが多いので、イジられる状況に慣れてもらおうとは思ってますね。まずお調子者っぽい人を見つけて話し掛けて、その人がしゃべってくれると、他の人も「私もしゃべって大丈夫かも」って空気ができるので、話しやすくなると思うんです。
――ずっとフリートークでお客さんとの掛け合いをやられていましたね。
話すことを用意していくとネタっぽくなるから、見る側にも緊張感が走るような気がして、出たとこ勝負みたいな感じでやってますね。ちゃんとフリ聞いて、オチ聞いて、笑って…だと、一度盛り上がってもまた次のフリに入ったら(盛り上がりが)沈むじゃないですか。
お客さんは50人ぐらいいるんですけど、正直、50対1のコンパだと思ってやってます(笑)。今起きたことをしゃべったり、今起きたことをいじった方が絶対盛り上がると思うんですよ。それにスキルアップというか、追い込まれないと面白くならないのかなと思って、あまり深く考えないで出るようにしています。
――端から順に点呼していくゲームなどもされていましたが、ああいう趣向はお客さんの緊張がほぐれやすそうですね。
大体二人で来てるお客さんが多いんですよ。ということは、必ず片側の隣の人は他人なんですよ。だから、知らない人ともちょっと顔見知りになった方が和むだろうなと思って、一体感が生まれるようなことをして、笑いやすい環境を作るということを心掛けています。
あと、ああいう勝負事にして、拍手や声を出すことに必然性が出るといいのかなと思ってやってますね。僕いろんな前説を長くやってきましたけど、拍手することって結構大変なことだと思っていて。というのも一時期、手に青タンができるぐらい前説してたんですよ。「拍手って痛いな」って思いをしたから、それを強要するのがすごく嫌いで、自然にできる方がいいなと。
――お客さんがおとなしい日もあると思うのですが、そういう時の対策はありますか?
お客さんがおとなしいな、と感じた日には、言葉遣いも気を付けるというのはありますね。例えば拍手をしてもらったときに「今の良かったんですけど60点。じゃ100点目指して頑張りましょう」って言うと、60点って時点で「なんだ駄目出しかよ」ってどこかで思うと思うんですね。
だから「素晴らしい、100点! でも今回プロデューサーに言われた合格点が2億6000万点なんですよ」みたいな(笑)、100点って言って安心していただいて、で、大げさなことを言って「じゃあ頑張ろうかな」って思ってもらうとか。
――細かいところにまで気遣いをされてらっしゃるんですね。そういった前説の心得みたいなものはどこかで学んだりされたのでしょうか?
あのー、10年ぐらい前に狂ったようにナンパをしていた時期がありまして(笑)。ずっと昔に前説が面白い芸人は売れるって話を聞いて。でも自分は“緊張しい”で、ネタじゃなくフリートークで舞台に出るのって怖いなと思っていて。じゃそれを練習しよう、何が一番それに近いか? よし、ナンパだなと思ってナンパを始めました(笑)。ナンパを始めたきっかけが、まさしく前説だったんです。最初の異常な緊張は今でも忘れられないです(笑)。
――そこでどんなことを学んだんですか?
出会って最初の10秒で良い印象を持ってもらわないと、話を聞いてもらえないってことですかね。それは今も気を付けてやってますけど。ダラダラしていないというか、人として快活というか、そういうイメージを持って、前説もしています。
例えば収録が午前中とかだと、お客さんのテンションが低かったりするんですよ。これ“前説あるある”だと思うんですけど(笑)。テンションが低いからこそ、あいさつをきちんとしたり、丁寧に説明したりします。結婚式の二次会の仕事なんかもしたことあるんですけど、あれも同じように、最初からいきなり「イェーイ!」って乗りでいくのはリスクが高いんです。最初の10秒でいかに味方になってもらうか。
――面白いかどうか以前に気を付けるべきことがあるわけですね。
「この人の話は聞いてあげてもいい!」って思ってもらうことが何より先決な気がしてます。面白いことを言うよりも、「あ、しっかりしてる」って印象を持ってもらうことが第一条件なんじゃないかなって思います。僕は見た目が面白くないので、なおさらちゃんとしてないと駄目なのかなって思いますね。
――見た目の印象が弱いと感じてらっしゃるんですか?
だって「―夜ふかし」に出てくるADのジャイアンさんっているじゃないですか。あの人、街ですごい声掛けられてるんですよ。キャラが強いんでしょうね。僕はやっぱりインパクトがないのか、全然なんですよ。
この前大分に一緒にロケに行った時も「あっジャイアンさんだ」って僕より先に注目されてましたからね。で、その隣に居るってことは…みたいな感じで「あれ、よく見たら浜ロンじゃない?」(と識別される)みたいな。頑張ります(笑)。
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