「人を裏切る感覚を体験してほしい」三浦監督を直撃!

2016/02/01 17:35 配信

ドラマ

dTVで配信されているオリジナルドラマ「裏切りの街」で、メガホンを取った三浦大輔監督にインタビュー

映像配信サービス“dTV”にて、2月1日(月)より配信開始されているオリジナルドラマ「裏切りの街」でメガホンを取った三浦大輔監督にインタビューを行った。

同作は、'10年に上演された同名タイトルの舞台を監督自らの手で映像化した意欲作で、寺島しのぶ演じる専業主婦と池松壮亮演じる15歳年下のフリーターの不倫劇をリアルに描き出している。

映像化に至った経緯を「自分の舞台原作で、一番映像化したかった作品だっていう思いはずっとあったのですが、それがなかなか実現しなくてdTVさんからお話がきたこの機会に実現できたという感じです」と語った。

今回のキャスティングについて「ほぼ僕の要望です。自分の原作で、すごい強い思い入れがあった作品なので、今まで僕が出会った人の中で役にはまって、信頼を置ける人っていう基準で選ばせてもらいました。過去にガッツリ関わった人っていうか、その時にうまく関係性を結べたというか、信頼できた人たちです」と明かした。

池松、寺島の演技については「曖昧な人の曖昧な感情を描く物語なので、『あまり強い意志を持ち過ぎないように』と現場で言いましたね。強い決断とか、強い意志をなるべく排除して曖昧にしていることがこの作品の色であり、やりたいことなので」と要求したそう。

「映像に関してはまだ僕は…」と謙遜するが、リアルな描写の秘密を「テクニカルなこととかは分からないですけど、普段の映画だったり舞台で、人が注目しないところを執拗(しつよう)に描くというか、普通だったら省略するところをあえて描こうという意図はあます。

作品になりにくい要素として排除しがちなんですけど、そこに大事な物だったり、おいしい要素が転がってたりするので、それをあえてしつこく必要に描いていますね」と解説。

撮影秘話を「原作のイメージは(東京の)荻窪や吉祥寺だったり、西荻窪だったり、中央線沿いの街の風景がどうしてもイメージの中にありました。そのため、駅前のロケが多かったので、人混みの中をかいくぐって撮影するのがすごく大変でした。別の路線とかもう少し撮りやすい環境でも撮れたんですけど、沿線の空気感が大切この作品には不可欠なのでこだわりましたね」と撮影を強行したそう。

スマホだけでなく、PCやタブレット、テレビでも視聴できる今作だが、「文字を読めるようにしなくてはいけないっていうのは気を付けましたけど、他のカットに関しては、 (視聴)ジャンルにこだわらず、逆に普通の映画的に撮るという意識を持ちました。じゃないと、dTVの中で目立たないのかなって(笑)」と撮り方を明かした。

三浦作品には官能的な表現が多く出てくるが「SEXに至るまでの過程というか、そこで右往左往したり、もがくさま、不毛だということも含めて描いていますが、SEXの行為自体に関してはあまり興味はないですね。

それにロマンチズムも持ってないですし、何か自分が描きたいテーマがそこに集約されているわけでもないんです。僕は、そこに至るまでを描くことに執着しているので、性欲に突き動かされて動く人間というところが大切な要素なんですね」と熱弁を振るった。

最後にポイントを「(不倫が世間を騒がせており)タイムリーですが、配信日が決まってたので偶然です(笑)。不倫とか浮気って相手を裏切っている行為ですけども、裏切る行為の瞬間ってそんなに確固とした理由があるわけじゃないと思うんです。なんとなーくな感じで、空気に流されながら、なあなあな感じで、人を裏切っていく感覚をリアルに体感してほしいです。

浮気をする瞬間の姿は、視点を変えると人間らしいというか、いとおしく見えたりするので、少しでも価値観が揺らぐことになればと思います。浮気ではなく、人を裏切ることの大小はあれど、人は人を裏切ることを繰り返して生きている瞬間はあるはずなので、自分の中に置き換えて見てほしいです」とアピールした。

dTVオリジナルドラマ「裏切りの街」は2月1日(月)より配信開始(全6話一挙配信)。他にも、三浦大輔が監督を務めた「ボーイズ・オン・ザ・ラン」(2月6日配信予定)や70タイトルを超える舞台作品も見放題で配信中。