松田翔太主演で実写ドラマ化、映画化が決まり話題になっている「ディアスポリス-異邦警察-」。ドラマ版を撮影中の松田の囲み取材が行われ、作品に対する思いなどを語った。
本作は、漫画家・すぎむらしんいちと脚本家のリチャード・ウーによる作品で、'06~'09年に「週刊モーニング」(講談社)で連載。東京にいる密入国外国人約15万人の中で、難民認定を受けられず貧しい生活をしている者が、自分たちを守るために作り上げた秘密組織「異邦都庁(通称:裏都庁)」を舞台に、裏都庁で働くただ一人の警察官、久保塚早紀の活躍を描いた物語。先日、松田主演で製作されることが発表され、追加キャストとして浜野謙太、柳沢慎吾、康芳夫、マリーの出演も決まった。
松田が演じるのは複数の言語を操り、自治社会で弱きものを助ける国籍不明の裏の警察官・久保塚。
原作が連載されていた当時からリアルタイムで購読し、もし映像化することがあれば絶対に久保塚役を演じたいと10年熱望していたという松田の熱き思いに迫った。
――出演が決まった時のご感想は?
監督の真利子(哲也)さんはうわさで聞いていてすごく興味があったし、熊切(和嘉)さんと冨永(昌敬)さんは10代くらいから知っていたりしていて、監督全員が好きな方だったのでご一緒できるって聞いてうれしかったです。やっと一緒にできるなって思ったし、長い期間、たっぷり(この作品のドラマで)10話と映画でできるのが本当にうれしかったです。
――4人の監督の印象は?
まず熊切さんは名前と写真の感じで見るとひげ面だからすごいイメージを持っていたんですけど(笑)、実際会ったら小さくて、目も二重でくりっとしていて、親近感を抱きました。身構えていたんですけど、(実際に会ったら)ほぐれましたね。冨永さんは、逆に映画を見て感じる違和感みたいなのが好きで、実際ご本人もいい意味で違和感のある人で、好きになりました。真利子さんは本当に裏都庁にいる人なんじゃないかなって思いました(笑)。
――国籍不明な久保塚を演じるに際して気を付けたことは?
映画監督が(ドラマを)撮り、これが映画版につながるという、このフォーマット自体もルールがないように感じられて。僕もテレビもCMもいろいろやらせていただいている中で、それが何かのジャンルにはまっているという俳優でもないような気がしていたので、そういうことは表現したいなと思いました。
お芝居の仕方からせりふの言い方など、(監督たちと)一緒にご飯を食べながらこういうキャラクターなんじゃないかなって話し合っていましたね。それがそのまま現場に反映されていたように思います。
例えば最後のシーンは僕ギプスをしているんですけど、それもつい最近決めましたし、じゃあこのシーンはこの部分をたたかれることにしようとか、みんながこうだったらいいなって思うことをやれるような現場にしたいと思ってやりました。
僕も俳優部として存在してるというよりは、スタッフと同じ気持ちでいたいなと。テレビだからこうしようとか映画だからここをこうしようとかではなくて、みんなが好きなことをやっている感覚です、それをやりたかった。
――ドラマ版の久保塚は漫画版とはビジュアルが違いますが、それも話し合って決めたんですか?
久保塚早紀という役はあのままやると(非現実的過ぎて)そんなに人気が出ないんじゃないかと思って、もっと現実的なものにしたかったんです。僕が漫画家のすぎむら先生に、「衣装とかどういう感じでデザインされたんですか?」と聞いたら、単純にあの格好が書きやすかったっておっしゃってたので、「あ、よかった」と思って。
車に乗ってたり、バイクに乗ったり、いわゆる探偵ものとかだとそういうものがアイテムとして出てくるけど、(久保塚は)そういうんじゃなくて走ったり、自前でやっている感じにしたいって、監督4人と飲んでいるときにそういう話になって「だったら象徴的なスニーカーを履いていたらいいんじゃない?」っていう流れになって、それで赤い靴を履くようになりました。
きっかけが誰なのか分からないくらい、みんなで同じことを話していましたね。それとシャカパンですね。“シャカシャカ”鳴ったら久保塚がやって来る、みたいな感じになるのかなと。本当にみんなでアイデアを出し合いました。
――柳沢さんなど共演者の方との現場での雰囲気は?
柳沢さんは僕に近づいてくれるというか、いろいろ話し掛けてくださるし僕のことを好きになろうとしてくれてる感じがあったので、僕もそれに応えたいなと思いました。でも、それ以上に僕が柳沢さんのことが大好きだったので壁がない状態でいられたというか、もしかしたら柳沢さんが気を使ってくださってるかもしれないけど、僕は本当に素直に好きな人と接している感じだったので普通に仲良くなれたと思います。
現場では、とにかく柳沢さんが止まらなくて、“ドントストップ”なので(笑)。極力聞き逃さないように、全部受け止めるぞっていう気持ちで接していて、それがお芝居にも生かせたらいいなと思ってやりました。柳沢さんは今回、ご本人の印象と違う役どころで、ご本人はすごいポジティブだけど役はたまにネガティブになったりするので、それがどういうふうになっているか楽しみです。
みんなこの状況が好きなんだと思います。映画監督とテレビドラマもやれて、映画もやって、いわゆる探偵とかヒーローが出てきてというわけではなくて独特な世界観にいられることがみんな楽しいんだと思うんです。僕自身も楽しい、男性が多いし、外国人の方が多い現場で、壁を作らないでエキストラの人もガンガン喋ってきてくれるので、そういう意味でよかったなと思います。浜野さんは音楽の世界から来て、柳沢さんはバラエティーでも活躍されている方で、そういうことも単純に楽しい。
現場がリラックスしてると泣き芝居も怒り芝居もすぐに感情が入ってくるし、変に力むとテストで鎮火しちゃうっていう自分の経験からなんですけど、リラックスしてるとお芝居も人生も楽しいと思うので、狙いとしてもリラックスするようにみんなでわいわいやるようにしています。
ドラマ版は4月からTBS/MBSで放送開始し、映画は夏に公開される。松田の10年の思いが詰まった作品をその目で見てみては。
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