ベンチャー企業家が唱える「大学発」の可能性とは!?

2016/03/12 10:00 配信

芸能一般

意欲的にベンチャー企業に関わる多彩なパネリストが登壇し、これからのベンチャー企業について熱い議論を交わした

国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)20周年記念事業の一環として第3回JST20周年記念シンポジウム「明日への飛躍を目指して~ベンチャー企業が日本を救う~」が3月1日、グランフロント大阪ナレッジキャピタルで行われた。

まず来賓あいさつで文部科学省科学技術・学術政策局長の伊藤洋一氏が「我が国の成長のためにベンチャー企業はなくてはならない存在であり、ベンチャー企業が成長するための仕組み作りを強化したい」と述べられた。

基調講演は、大阪大学総長・西尾章治郎氏が「University4.0への始動~Opennessを基調とする大阪大学ビジョン~」をテーマに、産学連携を前提に、同大学が新たに目指す人材輩出のためのオープンエデュケーションをはじめ、「Openness(開放性)」を基調とする次世代モデルの大学像「University4.0」を熱く語った。さらにこれからの社会システムに合った知財の創出や人材の育成を目標にすることを宣言した。

続いて、「どうして日本ではベンチャーが活発でないのか」というモデレータの問題提起を受け、ベンチャー企業経営者、ベンチャーキャピタル、ベンチャー学会の関係者を交えて、パネルディスカッションへ。ベンチャー企業を取り巻く課題をもとに活発に以下の登壇者が議論した。

パネルディスカッション登壇者(敬称略):伊藤毅(Beyond Next Ventures株式会社 代表取締役社長)、窪田規一(ぺプチドリーム株式会社 代表取締役社長)、十河慎治(株式会社アドインテ 代表取締役社長)、田村真理子(日本ベンチャー学会 事務局長)、塚原保徳(マイクロ波化学株式会社 取締役CSO)(50音順)/モデレータ:豊玉英樹(株式会社ナカニシ 常勤監査役)

大学と連携した技術開発については日本ベンチャー学会の田村氏が「大学教授をはじめとした先生方は、ベンチャー企業との事業推進より論文提出に重きを置いている方が多く、ベンチャーとの連携に興味を持つ人はまだまだ少ないのが現状。どれだけ企業に協力したか、また資金を得たかという部分をもっと評価していくべき」と発言。

一方でモバイルアドネットワーク事業を展開する十河氏は「確かにそういう側面はあるが、弊社に協力いただいている九州大学の先生は、若くて企業協力へのモチベーションも高い。とにかくいろんな人にアプローチして連携できる研究人材を見つけることが大切です」と語る。

東大発創薬系ベンチャーを経営する窪田氏も「ベンチャーといっても商売の基本となる『売る人がいて買う人がいる』というシステムは同じ。必ず自分が関わるビジネスや知財に興味を持ってくれている人はいるはず。なので、そういう人たちを介在するコミュニティーがもっと増えれば日本のベンチャー企業がもっと活性化するのでは?」と話すと、「人や技術をコーディネートするような人が必要」(田村氏)という意見も。

さらに、日本のベンチャー企業の在り方について、マイクロ波を利用した化学システムの事業化を進める塚原氏は「モノは何とかなるけれども、人とお金を集めることがとにかく難しい。特に人を集めるためには、成功事例を作り、存在意義を強めていくことが必要」と語った。

伊藤氏は「日本では大学発ベンチャーを立ち上げ、実際に成功まで導いた方がほとんどいらっしゃらない。今はそういった方を増やして育てている段階だと考えている」、また窪田氏も「アメリカでは、一度失敗しても技術や人材を再び投入して“Reborn”する起業家も多いのに、日本では失敗してしまうと終わり…というイメージが強い。失敗から学べることも多いので、一度の失敗で諦めるべきではない。一度の失敗で終わらせないセーフティネットが必要」と提案した。

また『ベンチャー企業に必要なもの』として、伊藤氏は「情熱とリスクテイク、さらにリーダーシップと実行力が大事」、十河氏は「アイデアはあるが金がないという状態からスタートしたが、国や京都府の助成金制度を活用し、人との出会いを大事にしながら、何事も諦めずに進めてきた」とベンチャー起業家らしい情熱的な言葉が次々と発せられた。

そんな中、塚原氏が「ベンチャーを起業し育てるということは、資金があったとしても壁だらけで自分から何かを進めないと何も変わらない。とにかく強い思いを持たないと難しい」と、これからベンチャー企業を志す若い世代に向けて自戒を込めた(?)提言を口にした。

会場にはシルバー世代も多く見られ、窪田氏の「元気な若者と、経験のあるシニアの組み合わせもきっと面白いのではないか?」という提案に大きな拍手が湧くなど、シンポジウムは熱いテンションのまま終了。その後、来場者と登壇した起業家たちがあいさつを交わすなど、日本のベンチャー企業の高い可能性を感じさせる一日となった。

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