「いつ恋」浦井健治、パワハラ演技でブーイングも感謝

2016/03/16 07:02 配信

ドラマ

介護施設の“パワハラ所長”神部正平を演じた浦井健治

3月21日(月)に最終回を迎える「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」(フジテレビ系)で、有村架純演じるヒロイン・音が働く介護施設の所長、神部正平役の浦井健治にインタビューを敢行。これまで演じてきた思いや現場の雰囲気などを聞いた。

――“ザ・パワハラ所長”という役どころでしたが、いかがでしたか?

いやぁ強烈な役でしたね。あれだけ感情をほとばしらせない「負けないで」(ZARD)を歌ったのは初めてです(笑)。

――あの場面は弊誌の編集部でも騒然でした。

でも、神部とは別に僕個人の思いとして、練(高良健吾)と音の2人にはすごく幸せになってほしいと思うすてきな作品で、物語の中に身を浸らせることができたことは幸せだったなと感じています。

――介護の現場にも足を運ばれたのですか?

僕が行かせていただいた施設に神部みたいな人はいなくて(笑)、みんなが支え合っている笑顔の絶えないところだったんです。入居者の方たちが、逆に介護している人たちを支えているような構図がすごく印象的で。みんなで一つのところに住んでいるようなイメージを持つぐらい、幸せを感じる素晴らしい環境だなと思いました。

それから知り合いの介護職の方たちが、こういうふうにドラマで取り上げてもらうこと自体が、すごくうれしいと仰っていました。なかなか描き切れていない部分もあると思いますけど、音ちゃんを通じて、介護という仕事の大変な部分を見せることができたのは、僕にとっても勉強になりました。

――神部というキャラクターに対して、周囲の方の反響はいかがですか?

「怖かった」とか「むかついた」などと言われて(笑)、ある意味、役者冥利(みょうり)に尽きるなと思いました。あと同時期に出ている「ニーチェ先生」(日本テレビほか)など他のドラマも見られた方からは、「こんな表情もするんだ」とも言っていただけました。「今度は浦井にこういう役をやらせてみたい」と思っていただけるような役者を心掛けていたいので、新たな一面をお見せするチャンスをいただけたことはありがたいと思っています。

――作品全体を通して、どんなせりふや場面が印象に残っていますか?

映画のような重厚感のある“画”が印象的ですね。スタッフさんたちの努力の結晶だと思うのですが、やはりあの“画”がこの作品の世界観を作っていると思うので。そこにあの坂元裕二さんの言葉が紡がれていくという。

――介護施設の場面はとても忙しそうでしたが、オフの時間は和気あいあいとされていました?

そうですね、スタジオの前室でみんなでいろいろな話をしたり、音ちゃんの出ている(有村が載っている)雑誌を見て、「あ、これにも出てる、これにも出てる!」って盛り上がったりしていました。たわいない話をするうちに、介護施設側のチームワークは徐々にできていきましたね。

――有村さんと共演されてみて、どんな印象を持たれましたか?

誰よりも作品を愛していて、誰より音の幸せを願っている方です。睡眠時間とか体力的なものを一切気にせず、純粋にただ情熱的にその場に存在していた印象があって、それは全てのスタッフさんにとっての原動力だったと思います。

「いつ恋」を撮影している隣のスタジオで、僕が別の作品を撮影していた時に、有村さんも知っている監督だったので顔を見せに来てくださって「撮影で大変なのに、ああ…」ってうれしくなりましたね。本当に優しい方です。嫌悪感を誰にも抱かせない、絶対的な安らぎというか、そういったエネルギーの持ち主ですね。すてきな女優さんだと思いました。

――ちなみに、タイトルにちなんで「いつか●●を思い出してきっと泣いてしまう」ということは何かありますか?

何でしょうね、昔サッカーやっていたんですけど、帰りにお腹が空いてコンビニに寄ったんですよ。で、「棒々鶏(バンバンジー)まん」という文字が目に飛び込んできて、珍しいなって思って「“ぼうぼうどり”まんください!」って言ってしまった…ということを思い出すと、泣いてしまいますね(笑)。

しかも、店員さんが優しさで「“ぼうぼうどり”まんです」って言ってくださって。その後一緒に居たサッカーのメンバーに「“ぼうぼう”…」って言った瞬間に、ゲラゲラ笑われて、そこで気付いて「うぁ~っ!」ってなりました。

――店員さんの優しさがかえってつらかったんですね(笑)。今は舞台の稽古など忙しいと思うのですが、浦井さんがリラックスできる瞬間はどんなときですか?

親しい仲間と語らったり、温泉行ったり買い物しているときですね。

――お酒を飲んで語らったり?

お酒は全く飲めないんですよ。たばこも受け付けなくて。紅茶やコーヒーになるので、僕がおごる時はモーニングトーストとかになりますね(笑)。しかもオール明けのモーニングではなくて、普通に朝食として。

――爽やかですね(笑)。マイブームは何かありますか?

マイブームと言えるかは分かりませんが、休暇は演劇の調べ物をしていることが多いです。調べ物も、今のデジタルな時代だからこそあえて本屋さんに行きます。お目当ての本の隣に置かれている本にも目を向けてみると、視野が広がって新しい知識が得られるような気がしています。

――では、舞台を中心に最近はドラマなど幅広く出演されていますが、今後の活動目標を教えてください。

舞台として4月には「アルカディア」、6月には「あわれ彼女は娼婦」、8月には帝国劇場にて単独初主演ミュージカル「王家の紋章」が控えています。ことしは15周年の節目に合わせて8月にはCDをソロで出させていただくことになりました。

さらにソロコンサートも9月29日(木)に東京国際フォーラムAで行うのですが、そうしたさまざまな挑戦をさらに進化させていけたらいいなと思っています。たくさんの人の支えに感謝しつつ、今後も新たな出会いを大切にしながら、どんどんチャレンジしていきたいです。

――最後に見どころを教えてください。

いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」というタイトルにふさわしい、視聴者の皆さまのこうあってほしいというたくさんの思いと願いがぎっしり詰め込まれた最終話です。きっと涙なくしては見られない、心の中に桜が咲くような、春が来たと感じる温かい最終話になるので、じっくりと見ていただけたらいいなと思います。