テレビ朝日系で3月12日、13日に二夜連続放送された松本清張の“二大旅情ミステリー”第一夜「地方紙を買う女~作家・杉本隆治の推理」と第二夜「黒い樹海」の平均視聴率が発表され、「地方紙を買う女」「黒い樹海」共に平均視聴率11.0%だったことが分かった。(数字はビデオリサーチ調べ、関東地区)
第一夜「地方紙を追う女~作家・杉本隆治の推理」は金沢を中心とした石川県が舞台で、主演は日本を代表する名優・田村正和。
地方紙で連載をする小説家の杉本(田村)が連載小説「遠い記憶」の執筆に専念していたところから物語は始まる。そんな中、東京の芳子(広末涼子)というホステスから購読を希望する手紙が届くが、杉本は途中からの購読希望を不思議に思う。
数日後、芳子から再び送られてきた手紙は「つまらなくなった」と、購読を断る内容だった。杉本とアシスタントのふじこ(水川あさみ)が、芳子が購読した期間の新聞を読み返すとある心中事件を発見する。そして杉本は、芳子と心中事件の関連を探り始める。
第二夜「黒い樹海」は、長野県を中心に展開される北川景子主演作。唯一の身内である姉・信子(小池栄子)を事故で亡くした祥子(北川)が、姉の死の真相をたどるというもの。
新聞社に勤める真面目で貞淑な姉・信子は、ある日祥子に告げていた旅先とは全く違う場所で事故に遭い、命を落とす。悲しみに暮れる祥子の前に、姉の同僚記者である吉井(向井理)が現れ、祥子は共に信子の死の謎を調査することに。
そして、信子の後釜として新聞社で働き始めた祥子は、姉が担当していた小児科医・西脇(沢村一樹)ら一癖も二癖もある文化人たちに会いに行く。しかし、祥子が真相を知ろうとすると、渦中の人物が次々と殺害されていき、祥子の身にも危機が迫る。
主人公・事件の背景や追う過程、出演者など何もかもがまるで違う両作。共に甲乙つけがたい良作だったが、視聴者も甲乙つけがたかったことを、数字が証明した格好だ。しかし、数字以上にどちらの作品もズシンと重い何かを見る者全ての人の心に与えたのではないだろうか。
死してなお、誰もが一度は目に触れる松本清張作品。清張作品の“常連”で、近年はほぼ毎年1本くらいのペースで主演作が放送される田村の次回作への期待はもちろん、役者として初めて清張に触れたという北川の、女優としてのさらなる“成長”に期待せずにはいられない。