「福田和子」主演の寺島しのぶにインタビュー

2016/03/17 10:02 配信

ドラマ

「実録ドラマスペシャル 女の犯罪ミステリー 福田和子 整形逃亡15年」で福田和子を演じる寺島しのぶにインタビュー(C)テレビ朝日

3月17日(木)夜7時より放送の「実録ドラマスペシャル 女の犯罪ミステリー 福田和子 整形逃亡15年」(テレビ朝日系)で主演を務める寺島しのぶにインタビューを行った。

――今回のドラマ「福田和子」主演のお話を聞いた際の、率直な感想は?

事件に関して私もあまりダイレクトに知っているという年代ではないです。捕まった当初、事件があったというのはうっすら覚えているくらいで。それほど印象にはなかったですが、いろんな本を読んで福田和子という人を知っていくうちに、なんとなく私がやらせていただく意味があるのかなと思い、お引き受けしました。

――やらせていただく意味ですか?

いつも勘でしか選んでないですけど、これは今やった方がいいんじゃないかなと思ったんですよね。

――主演のお話を聞いてから本などで学ばれて、ピンときたということですか?

とは言っても殺人者なので。それを果たして私ができるのか、今これをやる意味があるのか、なぜそれをやるのか、どういったふうにやるのか、それをだいぶ迷っていましたね。それで本を読んで、もう一度台本を書き直してもらったり、監督とディスカッションして「こうなんじゃないか」と話を詰めていくうちに、すごく真摯(しんし)に取り組め、信じられるスタッフさんがそろっているなと思ったので、「いけるな」と思いました。

――福田和子は多くの偽名を使い別の人間として全国を逃げ回りましたが、寺島さんはその役に挑むに当たってどういったプランで臨まれましたか?

プランは無いですけれど、実録と書いてある限りは、福田和子自体を完全に変えちゃってとか、美化するとかは一切無く、スタッフとみんなで同じ方向を向いて、極力「こうだったのではないか」と1カットずつ撮っていくという作業だったので。文献と、自分たちの想像と、それプラス“ドラマ”であるから私はこうやりたいっていうことが混じっている作品で、何だか分からないけど手応えは感じています。

――演じる中で一番苦労した点は?

顔が変わることですね。化粧だったり、髪形だったりをしょっちゅう変えているので、1日に3~4パターンやらなきゃいけない時は、くたびれました。あと、私たちはたった2~3週間の出来事をオムニバスで撮っているだけですが、この人(福田)はほぼ15年間逃げ続けているわけですよね。私たちはかいつまんでやっているから、そこの裏ストーリーのつなげ方の表現が難しかったですかね。

――整形はどうやって表現されたんですか?

整形はメークさんをはじめ、今あるいろんな技術を使って、かなり変わって見えているので、説得力があると思います。具体的に何がとは言えないですけど(笑)。オンエアを見ても分からないかも? ただ人相は変わっています。

――滝藤賢一さんや杉本哲太さんら共演者の方々の印象はどうでしたか?

皆さんそれぞれ自分の実在した人物を読み込んで、それプラス自分のオリジナリティーを作ってと、ちゃんとその役に成り切ってできる役者さんたちがそろっています。ですので、本当にやっていて信じられた、素晴らしいキャストだなと思いました。本当にみんなこんな感じだったんじゃないかな、と思わせるような落とし込み方をしているので、説得力がありますね。

――カメラが回っていないときはどうですか?

知っている役者さんが多かったので、回っていない時はいろんな話をしました。福田和子について自分の知っていることの意見交換とか、これはどれぐらいの期間でどうだろうねみたいな、意思の疎通はしましたよ。

――春はスタートの季節ということで、寺島さんがお仕事やプライベートでことし新しく挑戦したいことは何かありますか?

ことしは本当に新しいことずくめで! 子供も学校が変わりますし。「福田和子」は年初めにすごく重たい題材に取り組めたという新しい挑戦でしたし、ことしは去年と違って結構新しいこととか新しいジャンル、新しい人とやるプランがあるので“挑戦の年”になると思います。

――最後に視聴者にメッセージをお願いします。

とにかく見ていただくと、私たちが何を訴えたかったのか分かると思います。夜7時という早い時間でかなり過酷な内容ですので、初めから最後まで見続けてくださったら、この人の人間性のようなものがちょっとは伝わるかと思います。

昭和に起きた、監視カメラもない、携帯電話もない、電話といえば公衆電話という、ものすごくアナログな世界で起きた殺人事件というのが、ちょっと今の極悪性とは違うと思います。ただ、こういう人だったというのを真摯に取り組んでやっていますので、ぜひ見ていただきたいと思います。