水曜日のカンパネラ・コムアイがMV撮影の裏側を激白

2016/03/25 16:45 配信

芸能一般

「SPACE SHOWER MUSIC ART EXHIBITION」のトークセッションに登場したコムアイphoto by 小見山峻

スペースシャワーTVが主催する、音楽をテーマにしたアート展「SPACE SHOWER MUSIC ART EXHIBITION」が開催され、水曜日のカンパネラ・主演のコムアイがトークセッション企画「CREATOR'S SESSION」に登場。イベント前半の模様をリポートする。

次世代を創造する新たな音楽とカルチャーの祭典「TOKYO MUSIC ODYSSEY 2016」の一環として開催された同イベントは、現在の音楽表現に欠かすことができない、音楽と隣接するアートワークにフォーカス。

音楽の世界観を増幅させるアートワークや映像作品の魅力を、音楽ファンに伝えることを目指し、最前線で活躍するトップクリエーターたちの貴重な作品を多数展示。アーティストたちのポートレートや、CDジャケットの原画など、“音”だけではない音楽の楽しみ方を提案していった。

期間中開催されたトークセッション企画「CREATOR'S SESSION」では、「音楽×広告」「音楽×アニメーション」などをテーマに、クリエーターが音楽と他ジャンルとの関係性について熱いトークを展開。

最終日となった3月6日には、コムアイと“ラー”のミュージックビデオ(以下MV)を演出した児玉裕一、“ナポレオン”の山田智和が「進化するミュージックビデオの今」をテーマにトークを行った。

発表されるたびに大きな話題を集める水曜日のカンパネラのMV。先日開催された「SPACE SHOWER MUSIC AWARDS」では、アートワークが最も優れたMVに贈られる「BEST ART DIRECTION VIDEO」を“ラー”が受賞するなど、各方面から高い評価を受けている。

それぞれ親交はありながらも、こういった形で話すのは初めてという3人。コムアイは、「実はきょうの組み合わせは、私が絶対見たいと思って提案させてもらったんです。今までいろんな監督にお世話になってきた中で、この機会に“ラー”を撮ってもらった児玉さんと私が話すのはアリかなと思って。

それとつなげて、児玉さんがかわいがっている(山田)智和くんとのツーショットを見てみたいと思って。いた時期はかぶっていないですけど、同じ会社の先輩後輩でもあるし…」と明かし、山田監督も「こういう機会がなければ、児玉監督とお会いできることはまずないのでありがたいです」と率直な思いを口にした。

冒頭では、コムアイが先日音楽番組で生パフォーマンスを披露したことについて言及。派手な演出が施されていたが、「監督がいないので、(歌唱時の演出を)全部自分で考えなくちゃいけなくて。結構つらかったです。ヒーヒー言いながらやってました」と、自らこだわった結果であることを告白した。

その後、両監督が撮影したMVを基にトークを展開。まずは山田監督の“ナポレオン”のMVについて。山田監督が担当することになった経緯を聞かれたコムアイは「監督から『MVを撮らせてほしい』と連絡を頂いたんですが、それをスタッフから聞いた時は、山田って名前が普通過ぎて聞き流しそうになっちゃって(笑)。

でもその後、監督が手掛けた『A Little Journey』っていう作品を見せてもらって、撮っている人のヤンチャさが伝わってきてボロボロ泣いちゃったんです。『あ、これはヤバいな』と思ったんですけど、それまで撮っていたPVを考えると、ちょっと頼む曲がないなと思ってしばらく待ってたんです。

そんな時に、(サウンドプロデュースを担当する)ケンモチヒデフミさん以外の人に初めてプロデュースしてもらったのがこの曲で、『これだな』と思って。ようやくお願いする曲ができたので(一緒にやることになった)」と、常に楽曲のイメージと合う監督に依頼していることを明かした。

実際に撮影へ臨むに当たり、コムアイは「初めて打ち合わせした時に、監督から出てきたイメージが、完全に自分の頭の中で想像していた画と同じで。『あ、もう大丈夫だ』と思ってほとんどお任せしました」と、全幅の信頼を置いていた様子。

山田監督も「“1カット”とか“街を歩く”とか、そういうキーワードがお互いすぐに出てきて。あと、水曜日のカンパネラチームはロケハンにも来てくれたんです。アーティストがロケハンに帯同して、一緒にモノ作りを楽しむことってあまりないので、イメージの共有はしやすかったですね」と振り返った。

駅から劇場へ向かう道のりを1カットで描いた同MVだが、山田監督は「映画館や道中出てくるタクシーなど、いろいろ仕込んでいて全部計算してはいるんですが、コムアイさんも僕も、どこか計算されていない部分に賭けるという思いがありました」と、お互いのアドリブ力に期待したことを告白。

コムアイも「映画館の中に入ってからのシーンは、何十回も撮って全部違う動きをしていたんです。だから(動きに付いてきてくれた)カメラマンが本当にすごいんですよ。どんな動きをしても、カメラを揺らさずにステップできるような人で。

毎回違う動きをすることを許してくれるカメラマンって結構少ないので、だから『自由に動いちゃえ!』と思って。本当にありがたかったです」と、自由な動きを撮りきったスタッフの技術力に敬意を表していた。

また、山田監督は「(歩く)ルートやビデオコンテなどは綿密に作られているんですけど、それをコムアイさんが平気で現場で越えちゃうので。ちょっと困るんですけど(笑)、撮影方法も『ここまでにここに来てもらえれば、あとは歌いたいときに歌って』とか、結構自由度はあって。

それを撮れる体制をこちらが準備しておけばいいかなと思ってやってました」と、「決められたことをやるのが超苦手」と語るコムアイのやりやすさに重点を置いて撮影したと明かした。

合わせて、「身体表現にしても表情にしても、コムアイさんは感覚的には無限に撮れる人ってイメージ。同じことをやるのが本人も苦手みたいなので、自由にやってもらった方が良かったりするので、必然的にどんどん撮影したくなる人」(山田監督)と、コムアイの表現者としての魅力を監督ならではの視点で評した。