4月2日(土)にWOWOWプライムで放送される「ドラマW この街の命に」で主演を務める加瀬亮が、共演した篠原篤とインタビューに応じた。
本ドラマは、ある街の行政組織「動物愛護センター」を舞台に、罪のない動物たちの命を救おうと踏み出した獣医たちの葛藤と再生を描いた作品。加瀬は、動物愛護センターに配属され、殺処分の現実に困惑する主人公の行政獣医・牧田洋を演じる。篠原は、動物愛護センターで清掃や犬猫の追い込みなどを担当する作業班の一員で、淡々と日々の業務に当たる木崎良太を演じている。
今回の対談は、加瀬たっての希望で実現。2人はドラマの見どころや、撮影時のエピソード、演技に込めた思いを語り合った。
最初に加瀬から語られたのは、出演の経緯。「題材を聞いた時は勝手な先入観で、動物愛護について感情的に訴えているイメージがありましたが、脚本を読んだらすごく丁寧に取材されていて、いろんな角度から静かに描かれていました。この機会に、動物愛護について真剣に向き合ってみようと考えました」と述べる加瀬に、篠原は興味深くうなずく。
また、加瀬は役どころについて「牧田は動物が好きで救いたくて獣医になったのに、殺処分をメーンとする施設に配属されてしまいます。彼が感じた違和感はよく分かりました。きっと自分がその場に居ても同じように感じたでしょう。でも、一人ではどうしようもできない。長い間苦しんだんだと思います」と振り返った。
多くの犬猫が登場する今回のドラマ。2人のペット歴について尋ねると「団地暮らしだったのでクワガタぐらいです(笑)」と答えた篠原に続き、加瀬は「中学生のときに犬を飼いました。祖父母、おば、両親、弟、みんなで面倒を見ました。僕もクワガタの経験はありますよ(笑)」と回答。“クワガタ”という意外な共通点に、2人は大笑いする一幕も。
「人間と犬猫は心が通うと思いますか?」という質問に、加瀬は「僕は、犬が話すと感じたことはないです。だけど、犬ってなんでこんなに飼い主が大好きなのだろうと思うことはあります。そんな動物珍しいな、不思議だなと」と犬の魅力に触れ、篠原は「日頃の関係性において信用できる人が『私は犬としゃべれます』と真剣に言うなら、僕は信じます」と持論を展開。篠原の話を加瀬は楽しそうに聞いていた。
次いで語られたのは互いの印象。篠原は「本当に兄貴肌で、勝手にいとこのお兄ちゃんくらいに思っています」と明かす一方で、加瀬は「スマートにそつなくこなしちゃっている人が多い中で、(篠原は)思いがストレートで、それが現場での佇まいに出ている」とコメント。
加瀬は、対談熱望の理由を問われると、現場での篠原を振り返り「僕があるシーンのせりふを悩んでいて、同じ控室にいたシノに聞いたんですよ。そしたら『ああ、あのシーンのことですよね』とスラスラっと僕のせりふまで言ってくれた。そこに台本もありませんから、つまり丸暗記しているわけです。本来なら当たり前のことかもしれない。でもそういう人は少ない。そういうことがあって現場でも信頼できました。あと、現場中も何度かごはんに行ったんですけど、まあ面白かったっていう(笑)」と照れくさそうに笑顔を見せた。
その話を聞いた篠原は「器用な方ではないので、自分のやり方でしかできないですが、そんなふうに言っていただいてうれしいです」と感激。加えて「加瀬さんには結構恥ずかしいことや生意気なことを言ってしまいます。僕もなかなか会えない人に会えたと思います」と語り“相思相愛”であることが判明した。
最後にドラマを通して伝えたい思いをそれぞれに語ってもらった。
篠原は、「今回、団地暮らしのころに、犬を飼いたいと親に言って反対されたことを思い出したんです。その記憶を通じて、動物を飼う責任や自覚ってなんだろうとあらためて考えました。『社会全体の病』と言ってしまったら、それは何でもくくれちゃう。でもそれを言っちゃう手前で、このドラマが個人の問題として考える機会になれば」と提言。
加瀬は「ドラマでは牧田が違和感を投げ、センターの『変化』を促していきます。安住したい人の気持ちも分からなくはないけど、『穏便にいきたい』という言葉は、物事が停滞する要因だとすごく思う。だから、違和感や憧れは大事で、僕自身も違和感を撮影現場で投げ続けるようにしています。それは面倒で体力のいることで、相当な覚悟がいるし、最終的には一人ではできないこと。それでも、自分が楽しんで仕事をやっていくために、これからも続けていたい」とドラマの裏テーマ“変える”ということに、共感を示した。
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