4月3日、植田真梨恵にとって初となるビルボードライブ大阪でのライブ“Live of Lazward Piano「カレンダーの13月 again」”が開催された。“Live of Lazward Piano”と題されたライブは、ピアノ・西村広文との2人で構成されるライブで、'13年より毎年開催されている、植田にとっても思い入れのあるライブだ。
今回のライブでは、「カレンダーの13月」を織り交ぜたSEが流れる会場に、静かに植田が登場。1曲目に演奏されたのは、東京・大阪で開催された「カレンダーの13月」公演以来、約3年ぶりの演奏となった「カレンダーの12ヶ月たち」。
1曲で20分を超えるという同曲は、'12年に植田が「毎月1曲、新曲を持ってライブに臨む」と掲げた目標の元、カレンダーの一月ごとに曲を作り、一年間で作り上げた12の楽曲を連続する一つの話のように歌い上げた壮大な楽曲だ。
“虹の橋を探して独りきり旅に出た一人の男”と“世界の反対側で同じように旅を続けていたもう一人の誰か”が、それぞれの運命にめぐり合い、交差しながら全てを受けとめて生きていく物語となっているが、1曲ごとに旅立ちの月、出会いの月、悲しみの月…とそれぞれの物語に合わせ、メロディーやテンポ、拍子さえも変わっていく組曲のような楽曲となっており、聴いていると悲哀、悦楽、狂気、哀愁とさまざまな感情が呼び起こされていく。
柔らかく艶のある声で客席をあっという間に魅了していく植田と、その歌声にじっと聴き入る会場。ビルボードライブ大阪での記念すべき初ライブにふさわしく、3年ぶりに演奏された20分に及ぶ楽曲を歌い切った植田に、会場から大きな拍手が送られた。
植田は「ビルボードライブ大阪、お集りの皆さんこんばんは! 植田真梨恵です!! 一番最初に聴いていただいたのは『カレンダーの12ヶ月たち』という曲でした。この曲は、一言で言うとテーマは“旅”なんですけれども、若い男の人が旅に出て、虹の橋を探す中、その途中で女の子と出会うというお話でした。1部公演と2部公演でテーマを決めてライブを行っておりまして、2部の選曲のテーマは“あたし”という言葉が出てくる女の子目線よりの選曲にしてみました。ちなみに1部は“僕”というテーマでした。ではここからは、そういう選曲で進めてみたいと思います!」と語り、Doris Dayのカバー「センチメンタル・ジャーニー」が披露された。
植田のライブでは珍しい英語詞のカバーは、歌の途中で英語から日本語へ、原曲にはないセクションが披露されていく。その植田自身で日本語詞を付けたという「センチメンタル・ジャーニー」をパフォーマンスすると、続く「くちびるの奥」では、原曲のどこかひねたかわいらしさではなく、控えめに響くピアノに合わせて、ささやくように優しく歌う植田。最後は、フェイクで力強く締めた。
「きょうはビルボードライブ大阪ですが、とても良い音で、本当に皆さんにいい気持ちで帰っていただきたいなと思っています。次の曲は、とっても大好きな人への気持ちをつづっている歌です。聴いてください」と語り、流れるようなピアノに乗せて、いちずな思いを込めた「プリーズプリーズ」、対照的に穏やかさを排し、非日常を描いた「a girl」を連続で演奏すると、続いて新曲披露を宣言。
植田は「女の子しばりの選曲でお届けしている2部の公演ですが、次に歌う曲は、東京で一日ぽっかり空いた日があって、私の中で曲を作りたいという気持ちが湧いてきまして、西村さんと一緒にスタジオに入って作った曲です。裏テーマとしては、私の曲で“幸せな曲”ってないんですよ(笑)。結婚式でも歌える曲があったらいいなと思って作った曲でもあります。楽しく聴いてもらいたいので、良かったら、軽めに手拍子を、大きめでも大丈夫ですので手拍子をください(笑)」とほほ笑み、新曲「パエリア」を披露。
曲を聴きながら思わず料理をしたくなるようなウキウキの曲調・歌詞で、癖になるピアノのフレーズ、リズムに早口言葉のように詰め込まれた言葉、日常の幸せを切り取った心温まる曲に、会場も手拍子で応え、大きく声援を送った。
その後、アコースティックギターに華やかなピアノ、思わず踊り出したくなるような「よるのさんぽ」に、ライブでは欠かせない「ハルシネーション」が演奏された。激しいピアノ、思い詰めるように歌う植田の歌声、どんどん加速し、勢いを増す2人の音に引き込まれたまま、本編最終曲を迎えた。
「“あたし”しばりの『カレンダーの13月 again』楽しんでいただけましたでしょうか。本当にきょうはとっても良い経験をさせていただいたなと思います。こうやって初めて私のライブに足を運んでくださった皆さん本当にありがとうございました!! 次が最後の曲なんですけれども、私は歌が好きで、歌詞も大好きです。メッセージのある歌が大好きです。皆さんの毎日に辛い時とか楽しい時があっても、胸に入ってきて、パワーになれるような歌詞が書けたらいいなと思っています。そういう歌を歌う歌手になりたいなとずっと思っています。皆さんの中に届いてほしいメッセージがある曲を最後に歌います。本当にありがとうございました!!」というあいさつに続き、最新シングル「スペクタクル」を原曲とは異なるピアノならではのアレンジで前半しっとりと聴かせ、後半は全身から振り絞るように声を出し、客席へと思いを届けた。
ステージを後にした植田に会場からアンコールが鳴り響き、再び姿を現したシルエットに大きな拍手が。「早かった!! ビルボードライブ大阪。マジ緊張した! でも、またいつか戻ってきたいと思います! きょうは本当にありがとうございました!!」と語り、ラストソング「メリーゴーランド」のイントロが流れる。
ピアノのみだが間違いなくロックな一曲に、客席もリズムを取りながら、この場を楽しんでいる様子。“つらい時でも、攻めて戦い続けている人に歌いたい”という植田の言葉通り、懸命に全身を使って歌う姿に鼓舞されるよう、必死にステージを見詰める客席。会場が植田真の世界観一色になったところで、“Live of Lazward Piano「カレンダーの13月 again」”は終演となった。
誰もいなくなったステージに聴こえてきたのは最新シングル「スペクタクル」のカップリング曲「カレンダーの13月」。20分超の楽曲「カレンダーの12ヶ月たち」のエピローグ的に書き下ろされたこの曲で、この日のステージは幕を閉じた。
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