宮藤官九郎が新ドラマで“ゆとり世代”に切り込む!

2016/04/13 12:45 配信

ドラマ

「ゆとりですがなにか」で脚本を担当する宮藤官九郎

4月17日(日)より日本テレビ系でスタートする日曜ドラマ「ゆとりですがなにか」(毎週日曜夜10:30-11:25)。岡田将生が主演を務め、松坂桃李柳楽優弥などが共演する“ゆとり世代”が活躍する物語で、“ゆとり第一世代”と呼ばれる'87年生まれのアラサー男子3人が理不尽な世の中に立ち向かう姿を描いている。

食品メーカーに勤める正和(岡田)は、系列の居酒屋チェーン店への出向を命じられる。不満に思った正和は悩みを打ち明けようと、帰り道に偶然目にした“レンタルおじさん”というサービスを利用。そして現れたレンタルおじさんこと麻生(吉田鋼太郎)との出会いをきっかけに、同い年の山路(松坂)やまりぶ(柳楽)との交流が始まる。

自身初となる社会派ドラマを手掛ける脚本家の宮藤官九郎が、ドラマの魅力、そして“ゆとり世代”について語った。

――ゆとり世代の男性を主人公にして脚本を書こうとしたきっかけは何だったんでしょうか?

もともと、演出の水田伸生監督と久しぶりに連続ドラマをやりましょうと話していました。水田さんが演出した「Mother」('10年日本テレビ系)のような社会派ドラマを視聴者として見ていて、「なんで俺の時はこうならないのかな」と(笑)。

そのころ、大人計画(宮藤が所属する劇団)に新人が入ったり、映画の現場で若い助監督さんと接する機会が多くて、“ゆとり”という言葉を耳にしたんです。「僕ゆとりなんで…」や、「ゆとり世代だからしょうがない…」などの言葉が引っ掛かり始めて、この切り口で若者は何を考えているのかをドラマ(のテーマ)にしたら面白いのではないかと思いました。

――脚本を書き進めるに連れて、ゆとり世代の人のイメージは変わりましたか?

(ゆとり世代に対して)ジェネレーションギャップを感じていたので、20代中盤の人たちを取材させてもらったんです。その取材を通して彼らがどういうことを考えて、不安に思って、上の世代を見ているのかが分かってきました。本やインターネットだけでは実態が分からなかったので、一人一人と会って「なるほど」と思ったことをドラマにしています。

――劇団にいるゆとり世代の後輩に対して気になる部分はありますか?

年が離れているせいもあるのですが、飲みに誘っても来ないし、来たとしても何を喋っていいのか、自分も相手も分からない。自分が若い時のムードではないなと感じる部分があります。僕らの世代はバブル末期に社会に出て、もっとギラギラしてたように感じます。自分がどれくらい頑張ればどこまでいけるか分からない時代だったからこそ、面白かったような気もします。

――ゆとり世代に対して逆にうらやましいと思うところはありますか?

(若い世代は)自分の時間を大切にしていますよね。あとはコミュニケーション能力が高い! FacebookとかLINEを使い分けて、うまく人間関係を築いていると思います。芸能界のゆとり世代は、むしろ熱い気がします。食い下がってくるところとか。

タクシーに乗りかけたところに「いつか宮藤さんのドラマ出してください!」と。「そこはハッキリ言うのか!」とか(笑)。

僕らは絶対に(上の世代の人にそのようなことは)言えない世代だったなと。そういう意味では、芸能界にいる若い人たちはガツガツしないとやっていけないんだなと思いました。

――アラサー男子を演じるメーン3人の印象はどうですか?

(作中の)3人のキャラクターの真ん中に正和がいて、学校の先生がいて、一人自由なやつがいる。3つだけ決めて1話書いてから、イメージを擦り合わせて途中からは当て書きで書いています。岡田君たち世代の俳優は層が厚いので、その中で考えたらタイプが(キャラクターのイメージと)合っていましたね。

――「3人がどう演じるか」という部分で楽しみなシーンはありますか?

ドラマの中で初対面3人の関係性がだんだんと完成していくところがこのドラマの面白いところだと思うので、3人の会話のシーンはお互いの呼び方をあえて統一していません。呼び捨てにしたり、ちゃん付けにしたり…面倒くさいというのもありますけど(笑)。

――脚本を書いていて手応えは感じますか?

今回は(今までの作品と違って)シンプルに書いていて、それは(自分の中で)チャレンジしている部分です。面白いことが思い付かないという煮詰まり方はしないので、新鮮ですね。(ストーリーの)終わり方が気持ち悪いと思っても、「今回はこれが正解なんだ」と言い聞かせて。

会話の部分でも恋愛が2話にも3話にもわたって続いていくのは好きではないので、今まではスッキリさせてきたんですが、今作は(あえてスッキリ)させていません。中途半端に終わってもいいかなって。

――タイトルにはどのような思いが込められているのでしょうか?

最初は「これだからゆとりは」というタイトルで考えていました。「ゆとりですがなにか」はそのせりふに対する“返答”です。(ゆとりと聞くと)悪い面ばかりいわれていますが、実際には良い面もあるわけで。声高にいうわけではないのですが、反発もあるんだというそのニュアンスが「ゆとりですがなにか」にはあると思います。

――このドラマを特にどのような人たちに見てほしいですか?

ゆとり世代の人たちに「そういうことある!」と思っていただければ。若者とどう接していいか分からない大人の世代も楽しめますが、一番は同じように社会で頑張っている20~30代の若者たちに何か感じてもらえたらうれしいですね。