日本のプロバスケにNBAスター選手を呼ぶ方法とは!?

2016/04/13 17:03 配信

芸能一般

NBA解説、リポーターとしても活躍するNBAアナリスト・佐々木クリスがB.LEAGUEへの期待を語る

日本の男子プロバスケットボールリーグ、B.LEAGUEがこの秋開幕を迎える。これまで2リーグが並立していた男子国内リーグが統一され、日本のバスケットボールが新たな局面を迎えようとしている。今回、WOWOW NBA中継で解説やリポーターを務めるNBAアナリスト・佐々木クリスに、B.LEAGUEへの思いや、自身が取り組んでいるバスケクリニックについて語ってもらった。

――今秋ついに、国内男子バスケの統一リーグ、B.LEAGUEが開幕します。スタートラインに立とうとする今、どのようなことが期待されるでしょうか。

これからバスケットボールがビジネスとしてのポテンシャルを十二分に発揮するためには、“見る文化”をどれだけ強めていくかが大事になると思います。バスケットをしている人というのは、クラブチームや大学生、高校生にしても、残念ながら多くのプレーヤーは日本のプロリーグを見に行っていない、そういう現状がある様に感じます。

あれだけ近い距離で見られる、迫力のあるスポーツって他にないと思うんですよ。コートサイドに座ってゲームを見る、そういった魅力を存分に生かすために、普段からプレーする人にも、しない人にも、見る文化を植え付けていくいくのは大きい。そして、その中で選手が良いパフォーマンスをしていくことですよね。

より良いバスケットをすれば、おのずと面白くなっていくわけですし、リーグ全体の力が上がっていけば、日本代表の強化にもつながる。女子はオリンピック出場が決定していますけど、男子も今回は最終予選まで進んでいます。最終予選とは言わず、将来的にオリンピック出場となれば、日本のスポーツ報道はオリンピック中心になるので、Bリーグ誕生、そしてオリンピックと、中期的なスパンで2段階でロケットブースターになっていくと思いますし、期待したいですね。

――BリーグにNBA選手を呼んでほしいという声も多く聞かれますが、可能なんでしょうか?

例えば、Jリーグ発足のときに招聘されたジーコ、あの方はスーパースターだったわけですよね。じゃあ、アレン・アイバーソンを連れて来れるのか、となると、アイバーソンに何億円払うの?という話になります。元NBAとか、NBAのサマーリーグに参加した選手だったら、過去にもいたし、今もいるわけですよね。それこそマクムード・アブドゥル=ラウーフ(クリス・ジャクソン)のような、NBAでもキャリアのあった選手がいた時もありましたが、それでも大きな興行の後押しにならなかった。

それならあえて、どこかのチームがアイバーソンに1億円出す、そしたらリーグも1億円出す。チームが2億円出したならリーグも2億円出す、そうやって連れてくる、サポートするインセンティブもありますよね。もしアイバーソンがいたら、そのチームだけチケットの収益が増えてずるいんじゃないか、って他の球団も言うかも知れません。それならチケットの収益を、その1シーズン、チーム半分リーグ半分に折半する方法もあると思うんです。

そのチームのホームゲームはもちろん超満員になりますし、アウェイの試合も満員になりますよね。それでアウェイのチームも恩恵を受けるし、ホームに関しては折半して、リーグが一度回収したものを、さらに他の球団に分配する。運命共同体、テレビの放映権をリーグと30チームで分配しているNBAと同じですよね。並みのスターではファンにも響かないし、何も変わらない。それだけリーグの積極的な介入は、開幕からの2~3年は大事だと思います。

――日本バスケの発展には後進の育成も必須かと思いますが、ここでクリスさんが取り組んでいるクリニックについて聞かせてください。

スポーツをしながら英語を吸収でき、友達とゲームをするかのような感覚で英語が学べる、小学生向けの「えいご de バスケ」というクリニックを開催しています。元々自分が競技していたときも、仲の良いプロ選手たちと一緒に、子供たちに教えるクリニックをやっていたんです。現在、ライジング福岡にいる青木康平がバスケットアカデミーを立ち上げて、僕もコーチとして参加しながら自分たちで運営していました。青木が福岡に行って、自分一人になった時、どういった部分が自分の強みかと考えて、英語が使えるのが僕の一つの強みだと思ったんです。

先ほどのBリーグの話ともつながりますけど、例えばBリーグを経て海外挑戦できるような、そういったリーグになっていくべきだと思うんですよね。それがNBAでなくても、ヨーロッパのリーグであったり。あとは、もっと早い海外チャレンジですよね。高校から海外チャレンジする場合、日本の選手みんながNCAAのトーナメントに出るような大学に行けるわけではないけど、アメリカで挑戦できるだけの十分な素質を持っている選手はもっといるはずなんです。その一番大きな弊害が言語だと思うんですよね。

バスケットも元々アメリカの文化ですし、子供たちに早めに言葉への抵抗感を取り払ってもらうことで、彼らの可能性は飛躍的に増えるんじゃないかと考えたんです。基盤としてあるのは、子供たちの可能性を広げること。英語に抵抗感がなくなって、外国の方と積極的にコミュニケーションが取れたり、世界に多く埋もれている、英語でしか入手できない情報を入手できるようになると、科学者になりたい、宇宙飛行士になりたい、となった時に一歩リードできると思うんです。

世界への扉、子供たちが開けられる扉がどんどん増えていくんじゃないかなって思ったのが、この取り組みのきっかけです。4月から東久留米で毎週火曜日に開催していて、要望があれば出張版も行いたいですね。子供たちを奨励して励まして、やはり楽しくないといけない、ということに重きを置いています。僕らの催しに来ていた子供たちが、あの時は楽しかったな、ああいう風に出来たから僕は続けていられるんだ、と思えるような場にしていきたいですね。