アート寄りパフォーマンス集団ともいわれる劇団・クロムモリブデンの46本目となる最新作「翼とクチバシもください」が東京・赤坂にて上演中だ。80年代、90年代に比べて近未来となった今、“クロム”初のアンドロイドをモチーフにした作品を作った作・演出の青木秀樹に、今回の舞台について語ってもらった。
――今回の作品を作ったきっかけは何でしょう?
今作品は、30年ぶりに友人と再会した時に、昔映画「ブレードランナー」が好きだったと言われて原作の「アンドロイドは電気羊の夢をみるか?」(フィリップ・K・ディック)を読み直したりしたのがきっかけです。旗揚げでも今回“アンディー”と呼ばれるムチャクチャ語をやっていたというだけですが、今の方が機械っぽい人間は増えているんじゃないですかね。そういうモチーフは、(旗揚げ時よりも)扱いやすくなっています。
――アンドロイドをモチーフとしつつ、“アンディー”という名の目薬型麻薬が出てくるドラッグネタの舞台になっていますね。
クロムは舞台ドラッグを作っている劇団です。役者、音、照明、台本、演出を使って見るドラッグをやっています。現実ではないもう一つの世界を作るのです。
――苦労した演出などありましたか?
アンディーの世界と現実の世界を分けるために、アンディーの世界では小道具を使用せずパントマイム的な動きと擬音を多用しましたが、無意味な動きや擬音は役者には難しかったみたいです。役者も普段は意味のある言葉や動きをしているということですね。
――今回、訪問者の役は奥田ワレタ、葛木英、久保貫太郎のトリプルキャストですね? それぞれの見どころをお願いします!
スケジュールの都合でそうなりましたが、芝居に魂を込め過ぎるワレタ、高貴な振る舞いからしみ出るおかしみの葛木、存在感の久保といったところでしょうか。
――今回の舞台、どういったお客さんに見てほしいでしょうか?
寂しい思いをしている人ですかね。寂しくても美しいと感じてほしいですね。
東京公演は5月22日(日)まで、6月2日(木)からは大阪公演がスタートする。
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