爆笑問題「文春が目立ち過ぎ」報道に警鐘

2016/06/23 06:00 配信

芸能一般

毎年恒例となっている1時間以上のノンストップ漫才について語った爆笑問題の田中裕二と太田光(写真左から)

爆笑問題がDVD「2016年度版 漫才 爆笑問題のツーショット」を6月29日(水)に発売。芸能界、スポーツ界など、世間をにぎわせた'15年度の衝撃的ニュースを、爆笑問題が漫才で取り上げている。

毎年恒例の1時間以上のノンストップ漫才で、今回は80分間喋りっ放し。収録を終えた爆笑問題太田光田中裕二に、今回の漫才について、今後の展開などを語ってもらった。

──80分の漫才を終えた今の心境はいかがですか?

田中:年に一回やっているので、だいぶ慣れてきているとは思いますけど、この1カ月前、2カ月前ぐらいは、空いた時間のほとんどがネタ作りとか、稽古になるんです。結構しんどいですけど、終わると本当にホッとするという(笑)。毎年恒例の感覚でもありますけどね。

──今回も非常に多くのネタが詰め込まれていますね。

田中:ネタを作る時は一つずつ、順番も考えずにベッキーでネタを作り、清原(和博)でネタを作りってね。時事ネタというか、最近のいろいろな風潮ですよね。それが何十個かあって、なるべく自然に流れるように、ネタの順番を考えるんです。最初はこの辺から入ってとか、最後の大オチはこの辺のネタかなぁって。あとはどう組み合わせるかって僕が考えているんですけど、なるべく自然にいくようにはやっています。

──後輩芸人のネタが出たり、太田さんのアドリブのようなところもありましたが?

太田:あれは、そういうの(アドリブ)もあったと思うし、そういう中で(ネタとして)やっていたのもあるよね?

田中:例えばハライチのネタとか、ああいうのはちゃんとネタを作って練習してやっていたりとか。「斎藤さんだぞ」みたいな一発ギャグとかは、その場のノリでね。それはもう漫才に限らず、普段のバラエティー番組での収録でもそんな感じですから。

──80分の漫才の中で、田中さんが太田さんの右肩をたたく数もすごく多かったですよね? しかも、結構強くツッコんでいるように見えました。

田中:どうしても「おまえ、そんなこと言うなよ!」というネタも、どんどんエスカレートしていくので。前のネタより弱くツッコむことはできないというのがあるんですよね。例えば“5”ひどいこと言ったら、次は“10”ひどいことを言うので。そうすると、さっきよりも強めにツッコむことになる。そういうこともありますよね。だから、太田の肩は痛いと思いますよ。

太田:今回はないけど、結構長いのをやった時は…単独ライブかな?

田中:5ステージとかあるとね。

太田:ちょっと勘弁してくれねえか、みたいな話になった時はありますよね。(田中が)不器用だから、本気で来るんだよね。しかも、それを練習でも(強く)たたいてたから。

田中:ふふふ(笑)。

太田:それはいいんじゃないかって。力を抜いてやれないんですよ。本当に運動神経がないなって、いつも思うんだけどね。

田中:だから、練習ではクッションを持って、そこにツッコんだりとか。

太田:何ていうのか…鈍いよね?

田中:どうだろうね?(笑) でも、こういう感じはなかなか(昔から)変わらないかなって思いますけど。

──漫才の中で「文春がネタ帳」と仰っていましたが、確かに「週刊文春」さんのスクープネタが中心でした。

田中:まあ、僕らがやってることは世の中の関心の高いことの方がネタにしやすいということなんですよ。別にニュースを必ず“斬る”みたいな感覚はないです。だいたい(DVD資料を指さし)こうやって“ぶった斬る”って書かれるんですけど。

太田:ぶった斬るって(笑)。

田中:だから斬ってやろうとか、そういうメッセージ性は本当にないんですよ。たぶん、みんなも今年はベッキーの話題を、一般の人もみんなしていましたよね。家族や友達と。それと同じで、それを普通クラスの教室で言っているようなことの延長に過ぎなくて、それで面白いと思うものをやっているだけなんです。

今年はそういう世の中の関心ごとがたまたま文春発でバンバン続いていたってことで。必然的に世の中の関心ごとをやると、同時に文春のネタばかりやっているということになったんですね。

太田:このままどこまで文春が行くのかなって。それも逆に年末ぐらいに文春が廃刊になったりすると一番面白いんだけどね。

田中:面白いね。やり過ぎちゃってね(笑)。ただ、ちょっと他の媒体も「頑張らなきゃ」って、結構過激になってきているからね。この間の熱愛報道でも“妊娠”ってやっちゃって、それで本人が否定して。ちょっと、どんどん過激にいき過ぎている傾向はあると思います。

──悪い影響が出てしまっていると。

田中:まあ、昔からなんだろうけどね。特に最近は文春があまりにも目立ち過ぎたから。

太田:ワイドショーが結構ね。そういう傾向になってくると、いわゆるオウム(真理教)の前のテレビの感じってやっぱりいき過ぎ。(ビート)たけしさんのフライデー(襲撃)事件の直前の写真誌の感じとかね。それで一回、何かあるとみんなが「いき過ぎは良くない」ってことになるんだけど、またちょっとエスカレートしてきてるよね。

田中:今はまたネットがあるから。ネット(の人たち)はそういうのが大好きだから。さらに「やれやれ」って感じにもなっているのかもしれないですよね。

──スキャンダルだけではなく、熊本地震など笑いとしては扱いにくいネタもありました。

田中:そうですね。今までも東日本大震災とかオウム、阪神・淡路大震災など、なかなかネタにしづらいことも一応全部を漫才にしてきたんですね。

今回も熊本の地震というのはおちょくれないし、(被災者を)傷つけちゃいけない問題なので。そこはもう細心の注意を払って、こういうネタだったら例えば被災した人が聞いても笑えるかなっていうようなことを考えて作るというか。

ただ、これを俺らは今までもやってきているので、やらないわけにはいかないみたいなところもあったりね。あれだけの大きなニュースだと。

──では、今後挑戦していきたいことなどはありますか?

田中:この間、2月に「タイタンライブ」の20周年記念のライブを2日続けてやったんですけど、そこで久しぶりに舞台でコントをやったんです。ライブ用のコントっていうのは20年以上ぶりで。

太田:まあ、ようやく目覚めたって感じたな。

田中:ふふふ(笑)。でも、今の若い人たちは俺らがコントをやってたことなんてほとんど知らないしね。

太田:そうだね。で、ようやく目覚めてね。

田中:いや、言っている意味よく分かんないけど(笑)。まあ、久しぶりにやりましてね。

太田:長い眠りから覚めたんでしょ。

田中:でも、あのコント長過ぎたんだよね。27分か。

太田:いや、あれぐらいでいいんだよ。

田中:2日続けてだったので、ちょっと迷ったんですけどね。太田が「じゃあ、コントでもやるか」って。漫才もどっちもやったんですけど。

太田:そもそも俺らはコントから始めているんで。漫才に切り替えたのは俺が「コント作れない」って思って、コントの作り方が分からなくなっちゃったっていうところから漫才に変わっているんで。それがようやく「もしかしたらまたコント作れるかな」って思ったのが、たまたま20周年の時で。ようやく長い眠いから覚めたというね。

田中:そういうことだったのね(笑)。おまえの中でのその感じは分かるわけないだろ(笑)。

太田:いろんな旅をして帰ってきた。

田中:25年くらいかけてね。

太田:また、コントはやろうかなって思っています。分からないですけど、ライブだけではなく、こういうDVDの形もありだなと。

──では、最後にメッセージをお願いします。

田中:われわれが漫才をやっているのを見たことがない人がまだまだいると思うし、なかなか1時間20分ぶっ通しの漫才って、恐らく人生でほとんど見る機会がないと思うんですよ。なので、それを一回経験してもらいたいなと思います。

太田:まあ、環境ビデオだよね。

田中:環境ビデオではない(笑)。

太田:美容室とかで流してほしいな。

田中:オシャレな(笑)。あまりないだろうな。

太田:たまにバーとかで映像が流れてる所があるじゃん。ああいう感じで。

田中:外国のサッカーの試合とか、誰かのライブ映像とかね。

太田:別に(全編見られなくても)どこから切り取って見てもらっても構わないので。結構、(ネタの中で)遊んでいるところもあるし。楽しくなっちゃっているところもあるよね。

田中:よく「爆笑問題で爆笑したことがないんですけど」みたいなことを言っている人がいるんですよ。

太田:それが問題だってね(笑)。

田中:「爆笑できないことが問題なんですけど、ワラ」とか言ってる人たちに見てほしいですね。一個も笑えなかったら負けですけど、一個くらいは初めて笑えるかもしれないから(笑)。