沖縄発のしゃもじは何をすくう?

2016/06/21 09:00 配信

芸能一般

初のコンビ名義作品集DVDをリリースするお笑いコンビ・しゃもじ

那覇市出身のお笑いコンビ・しゃもじのDVD「ダンチングヒーロー」が6月22日(水)にリリースされる。

しゃもじは、キャリア13年になる、たーにー、しゅうごパークによるコンビ。「新人内さまライブ チャンピオン大会2014」で優勝、「発掘!ブレイクネタ 芸人!芸人!!芸人!!!」(BeeTV)でMCの関根勤の好評を受けて番組常連になるなど、今後の飛躍が期待されている。

沖縄県出身のコンビは今後芸人の世界で何をすくい取ろうとしているのか? 初の作品集リリースを前に話を聞いた。

――コンビ名義のDVDが出るということで、まずはその感想をお願いします。

しゅうごパーク:初のDVDリリースは、一つの作品を世に出せるということで、シンプルにうれしいです。沖縄の両親も喜んでくれるでしょうし、形に残るものを作らせていただけるのはとてもありがたいです。

――「ダンチングヒーロー」に収めた10の作品で、一番古いものはどれですか?

たーにー:一番古いのは「パパ」かなあ。ほとんどは、ここ1、2年で作ったものです。

しゅうごパーク:「パパ」は、8年くらい前。昔あまりうまくできなかったネタでも、掘り起こしてもう1回練る作業をよくやるんですが、「パパ」は3年ぐらい前に一度掘り起こして、まあまあ面白かったけどちょっと忘れていたんです。マセキ(所属事務所)のYouTubeサイトに上げてくれていて、それを見た「コンテンツリーグ」担当の方が「あれ面白いね」って、ニコニコしながら言ってくれたんで、それならやろうかなって思って。今回久しぶりに掘り起こして、ここに入った感じですね。だから、ラッキーボーイともいえますよね。

――10作の選択で意識したことはありますか?

しゅうごパーク:一番は、著作権に触れないってことですかね(笑)。僕ら、音を使ったりするコントが多いので。歌ネタも多いし。どうしても欲しいやつは著作権フリーの音源を探したんですが。そこは意識はしましたかねえ。

たーにー:2本ぐらいは入れられなくて、悔しい思いをしました。僕らのせいですけど。

しゅうごパーク:著作権のことは置いておいて、なるたけ似たようなパターンのネタは外すようにというか、一つのパターンは一作だけっていう感じで選びました。いろんな形の作品を入れるようにしての10本。今の時点で完成度的にいいところにある作品だけを収録した感じですね。でもあと何年かしたらもうこのネタ古くなってきてるなあと、考えるんでしょうね。なるべく長く残るネタを作れたらいいなとは、思ってるんですけど。

たーにー:僕らは時事はやれない。入れ込むのがヘタクソで。だからそういうネタはないんです。

――最も好き、最も思い入れがあるというネタはどれですか?

たーにー:もちろん全部好きなんですけど、最初の「成長」というネタですかね。だんだんと話がうまくなっていくというネタなんですけど、相方がボケを演じて、僕がツッコむというのをやって、ライブでいい反応だったという喜びもあって。衝撃だったんです、このパターンでも笑いを取れるんだ!って。お客さんのイメージ的にどうしても、顔的にもキャラクターも体形も僕が確実にボケ役なんで。相方がボケて、それで反応があるっていううれしさがデカいんです。

――この「成長」がパターン化されたところはありますよね。

たーにー:そうですね。「成長」があって、「BAR」のネタとかも生まれてきているんですけど。このDVDには入ってないですけど、「プロポーズ」のネタとか、全てのスタートがこの「成長」。

しゅうごパーク:2人とも細かい性格のA型なんですけど、設定の細かい細かいネタを作るようになった、そのきっかけですね。「成長」は作るのにめっちゃ時間がかかって。

たーにー:ホント時間がかかりましたね。ずっとファミレスにいました。

しゅうごパーク:一番最初にできたネタの尺は、12分あったんですよ。

たーにー:もっとあったかもしれないです。

しゅうごパーク:12分バージョン、9分、7分、5分、3分と、いろんなバージョンを作って、今のところ、この5分バージョンが一番見やすいかなというので、その5分のバージョンでやっています。12分バージョンも好きですけど、序盤6分くらい笑いが無いので…。

――ネタ作りはどのように行っていますか?

しゅうごパーク:2人でとりあえずしゃべって、雑談して雑談して雑談して、あれ何かこの形は使えるんじゃないかとなったら、一度やってみて、これはいいな、なんかイマイチだなあというのをずーっと繰り返して、ふんわり何か見えて、それでまた明日集合しようかって感じで。

たーにー:それを箇条書きして、最後にまとめていく感じですかね。

しゅうごパーク:「成長」とか「BAR」とかは台本にまとめるんですけど、「カツアゲ」のネタとかは箇条書きにしかしてないですね。内容の細かいやつだけはまとめます。一回テレビで「プロポーズ」をやらせてもらったとき、僕らはちゃんと台本に起こしてなかったんですけど、映像を見たスタッフさんが台本にしてくれて、今も大事に持ってます。

たーにー:有効活用させてもらってます。

――子どものころは、どんな芸人さんを好きでしたか?

しゅうごパーク:僕ら、がっつりガッツリダウンタウンさん・ウッチャンナンチャンさん世代です。そこが憧れ。

たーにー:僕は、ロバート秋山さんです。

しゅうごパーク:それ最近やろ。それは今好きな人の話やろ。僕、実家が厳しくて、中2まで夜9時までに寝ないといけない家だったんです。教育に悪いからって、ダウンタウンさんの番組は見ちゃダメっていう家だったんですね。高校生になって沖縄のお笑い事務所に出入りするようになって、ダウンタウンというコンビがどんなに面白いかっていう話を先輩に聞かされて、ごっつ(「ダウンタウンのごっつええ感じ」'91~'97年フジテレビ系)の映像を見ました。同世代がもっと前に受けていた衝撃を、僕は高2の時に初めて受けて、ギャーっ!てなりました。

――中学生時代は、お笑い番組をよく見ていましたか?

しゅうごパーク:「爆笑オンエアバトル」('99~'10年NHK総合)が確か中学の時に始まったんですよ。毎週録画して、東京の芸人さんたちのネタを見てました。田舎の団地に住んでる子どもにとっては、すごい衝撃的でしたね。ネタを見られるというのは。

――そのころから2人は仲良し?

たーにー:そうですね。オンバトとかネタ番組を団地の中の同級生同士で一緒に見てました。

しゅうごパーク:幼小中高で一緒だったんで。中2の時、美術の先生で、映像編集が大好きな先生がいまして。生徒に映像化できることをやらせては、それを発表するみたいなことをやってくれたんです。もう1人の仲のいい男子と3人で先生にコントのビデオを作ってもらいました。美術室でコントをやって、先生が撮って、先生がやりたいように編集するんです。

たーにー:全体朝会で流してくれたり、美術の授業の前に5分間だけ流してくれたり。そこで受けたらヒーローになるんですけど、スベると授業時間がとんでもない空気になるんですよね。作品として残った!みたいなのはそのときのVHSが初めてかもしれないです。でも僕はそのVHSを相当隠したと思うんですよ、家の倉庫の奥の奥の奥の方へ。「凡人の逆襲」というタイトルだったんですけど、かなり恥ずかしいんで。オンエアバトルで見たものを、まんまやってるみたいな感じでしたね。

――7月には、その始まりの地、沖縄でDVD発売イベントを開催されますが、心に期していることはありますか?

しゅうごパーク:目に付く限りの知り合いに売りつけるってことですかね。声を掛けて呼んだ知り合いも、たまたまそこにいる知り合いにも、絶対に買ってもらおうかと。意地でも(笑)。ステージはたぶん漫才みたいなものやネタをやらせてもらうと思うんですけど。沖縄でローカル芸人やってたころよりは、だいぶ沖縄弁は出なくなっているかなあと。当時僕らを見ていた人たちは、だいぶ言葉がきれいになったな、と思ってくれるんじゃないですかね。「心は沖縄にありますよ!」的なノリのことは言って、沸かせようかな。

――沖縄出身の影響もあってか、2人のネタは野球を感じさせるところがありますが、野球の経験は?

2人:はい。あります。

しゅうごパーク:中学までですけど。中学校は同じチームで、小学校では、一つの学校に少年野球チームが2つあって別だったんすけど。野球をお互い知ってるんで、「成長」にしろ、ネタのフォーマットみたいなものができて、どんな話にしようかなと考えるときに、野球の話が当て込みやすくて。野球は、みんなの共通言語と思っちゃってるんでしょうね。野球を知らない人なんていないくらいにとらえてますね。

たーにー:少年野球チームのカラーが赤と青だったんですよ。だからDVDのパッケージ写真も赤と青のジャケットを着たというのはあるんです。相方が被っている青い帽子は、実際に所属していた少年野球のチームから取り寄せたものなんですよ。実は、相方がバットを持った写真も撮ろうとしたんですけど、こいつがバット持つとガラが悪いんですよ。

しゅうごパーク:なんか違う!って。

たーにー:すぐバット置きましょう!となって(笑)。

――今後の展開については、どのように考えていますか?

しゅうごパーク:今後は、バラエティー番組にいっぱい出たいですね。ネタで出てきたねっていう言われ方をしたい。ナイツさんやサンドウィッチマンさんのように、ネタ番組特番があったら絶対この人たちいるよねっていうような、ネタが面白い芸人でありたいなと思います。

――8月には単独ライブもありますね。

しゅうごパーク:今回は時間の短いものを意識しつつ、新ネタをおろすような単独ライブにしたいです。過去ネタの焼き直しじゃなくて、勝負できる新ネタをこれから考えて披露したいと思っています。

しゃもじ単独ライブ「そわそわ」は、8月21日(日)、赤坂RED/THEATERにて。今後はテレビ東京のネタ番組「じわじわチャップリン」(毎週土曜夜11:55)に立て続けに出演することも決まっている。作り込んだネタで勝負していくこのコンビに今年は注目しておこう。

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